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本編(完結)
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8月1日
PM2:00
「よし!始めよう。」
幸いにも天気に恵まれ、気分も上がっていた〇〇が、佐野家キッチンにて調理開始の合図を宣言した。
まずは下ごしらえということで、幼い二人には野菜の水洗いと皮むきをお願いした。
「おりゃおりゃ!」
「ちょっとマイキー!水がはねるー!」
万次郎がじゃぶじゃぶと勢いよく野菜を洗うものだから、隣に立っているエマが被害を受けている。
「こら、もっと丁寧に洗いなさい。」
「イテッ」
〇〇は、デシッと万次郎の脳天にチョップを入れた。
小さい子たちと料理をしたことがなく少し不安だったが、思ったより二人とも手際がいいようで、これならなんとかいけるかな。と、予定の時間通り進められそうで〇〇はほっと安堵した。
PM2:30
その頃、真一郎は明司に呼ばれバイクを走らせていた。
ライダー達が好んでよく来る峠道を抜け、景色のいい展望スポットまで来たところで休憩がてらバイクを停めた。
「にしても珍しいな。お前からツーリングに誘ってくるなんて。こりゃ雨が降るな。」
お前雨男だし。
真一郎の言葉に、ふっと鼻で笑うと、明司は目の前の景色に視線を向けた。
「俺が渋谷で〇〇に会った日、あいつに電話かけたんだって?」
「・・・は?なんでお前がそれ知ってんだよ。」
「〇〇から聞いた。」
明司がそう言うと、徐々に怪訝そうな顔をした真一郎が訊ねた。
「あ?あれから〇〇にまた会ったのか?」
「いや、電話で聞いた。」
電話ぁ!?
想定外のことに、思わず大きな声で聞き返した真一郎は、一体どういうことだと明司に迫った。
「なんでお前が〇〇の番号知ってんだよ。」
「渋谷で会った時に聞かれたから教えた。」
ぐっと真一郎が次の言葉を飲み込んだ。
相変わらずコイツは分かりやすいな。となんとか笑いをこらえた明司が口を開く。
「そんなにあの子のこと気になるか?」
「ばっ!?」
そ、そそそそそんなんじゃねぇ。
とどもる真一郎に、コイツ隠す気ねぇだろ。と明司は心の中でツッコんだ。
「らしくねぇな。気になる女片っ端から追っかけてたお前が、随分慎重じゃねぇか。」
明司のズバリな指摘を受けた真一郎が、思わずウっと言葉に詰まった。
この明司という男に、誤魔化しは効かないことを真一郎はよく知っていた。キレ者故に、右腕としてはとても頼りになるのだが。
真一郎は、すこし思案したあと観念したように口を開いた。
「・・・分かんねぇんだ、俺も。」
「あ?」
随分と弱々しい態度に、珍しいこともあるもんだと明司は様子を覗う。
「あいつは医者目指してるんだ。賢いし、本当なら俺みたいな不良と付き合うような子じゃない。」
コイツ、集会に連れて来ておいてよくそんなこと言えるな。と明司は思ったが、もしかするとあれがきっかけだったか?とも考えた。
〇〇がカンカンになって怒り迫っていた様子を思い出し、あの時の真一郎のヘコみ様が傑作だったな、とまた笑いをこらえた。
「〇〇の夢、応援したくて友達になったけど、逆に邪魔してないかって思ってよ。」
こりゃ相当だな。と明司は粗方察しがついたところで、帰宅した後の真一郎の反応がますます楽しみになった。何なら自分も同行したいくらいに。そこは空気を読む男?軍神 明司武臣。後日〇〇に聞くことにした訳だが。
「それは本人に聞くこったな。」
そう言うとタバコに火をつけ、今頃準備に追われているだろう彼女を思いながら、明司はその紫煙を青空いっぱいに吐き出した。
PM4:30
「お、いいねぇ~きれいに形成できた!」
ハンバーグづくりは順調に進み、タネを冷蔵庫で寝かせたあとハンバーグの形にならす段階に入っていた。
「これ俺の!」
「ウチのはコレ!」
自分たちの思い思いの大きさと形にしたタネを、しっかりアピールする佐野弟妹。かわいいしかありません。時間よ止まれ。〇〇は願った。
「ちょっと待って。万次郎のナニコレ。」
「ウ〇コ。」
たぶん焼いたら形崩れそうだけど。
〇〇はあえて黙っておくことにした。
「よし、そろそろ先輩帰ってくるかな。」
焼き始めよう。弱火でじっくり焼くのがコツである。
すると、フライパンに火をつけたタイミングで、万次郎が後方から声をかけてきた。
「〇〇、そういえばコーラはどーすんだよ。」
〇〇は、待ってましたといわんばかりに満面の笑みで答えた。
「お肉を焼いた後に使うよ。」
PM5:00
「ただいまー」
「おかえりー!」
真一郎が帰宅すると、エマが出迎えに走って来た。
彼女が真一郎の足にしがみついたとき、ふと足元に家族のものではない靴が並んでいることに気づき、彼女に問いかけた。
「誰が来てんの?」
「〇〇ちゃんだよー。」
え?
確か〇〇はあと30分後に来るはず。真一郎は随分早い訪問に驚いた。
「つーか、めっちゃいい匂いすんな。」
「えへへ、真兄はやく来てー」
エマが嬉しそうに真一郎を引っ張っていく。
真一郎は、いつもと違う様子に少し戸惑いながら、妙にテンションの高い妹に促されるがまま奥へと歩みを進めた。
「おかえりなさい。」
「え?ま、おまえなんでエプロンなんかしてんの?」
「お夕飯つくってます。」
台所に行くと、そこにはエプロン姿の〇〇がいた。
もう少しでできるんで、着替えてきてくださいね。と言う彼女の言葉に理解が追い付かない真一郎は、目の前のダイニングテーブルを見回した。
5人分の皿にサラダが盛られており、あとはメインを乗せるだけというような状態に見える。
本当に作っているのか。とようやっと理解した。
「え・・・て、これもしかして、俺の・・・?」
彼女は電話で、サプライズで誕生日を祝うと言っていた。つまりはそういうことである。
「誕生日ディナーです!」
真一郎は、席に着くなりおんおんと泣いていた。
「いい加減泣くのやめろ。」
うぜぇ。万次郎が辛辣な言葉を兄に言い放っていた。
「だってお前らも手伝ったんだろ?兄ちゃん嬉しい・・・っ」
「真兄ハナミズ汚いから拭きなよっ。」
真一郎が二人の頭をこれでもかと撫でながら涙を流していた。
その様子を微笑ましく見ていた〇〇は、最後の仕上げに取り掛かろうと、本日の味の決め手ともいえる主役を手に取った。
「じゃ、コーラ入れまーす。」
そう言うと、弟妹二人がキッチンに駆け寄って来る。何をするのかかなり気になっていたようだ。
「は?コーラ?」
料理の材料にしては似つかわしくないワードが出てきて、真一郎もその様子を覗こうと席を立った。
「なに作るの?」
「デミグラスソースです。」
「・・・ええ!?コーラで作れんの!?」
〇〇の驚愕の言葉に、真一郎はとっさに言葉が続かなかった。
「はは、やってみたら意外とうまくいきまして。もちろんケチャップとかしょうゆも入れるんですけどね。」
「てか、なんでわざわざコーラ?」
きっと普通は入れないだろうことは真一郎でも分かった。
彼女はなぜこんな一風変わった作り方をしているのか。あまりにインパクトのある料理に聞かずにはいられなかった。
「先輩が、コーラが好きって聞いたから。」
コーラの風味は全くしませんけどね。そう冗談交じりに言った彼女が、これほどまで自分のことを考えて作ってくれたのかと思うと、真一郎は感動もひとしおだった。
え、俺めっちゃ幸せじゃん。彼の感情を表すがごとく、真一郎の顔のまわりには花弁が乱舞した。
「はい出来た。」
「「「早!!」」」
しゃべっている間に完成し、驚きを隠せなかった兄弟の声が綺麗に揃って、〇〇は思わず声を出して笑ってしまった。
日が長いこの時期は、夕方5時を回ってもまだまだ明るい。今日一番の賑やかさを見せる佐野家の台所に負けず劣らず、今も外では蝉時雨が降り注いでいた。
「「「誕生日おめでとー!」」」
「おう、ありがとな!」
万作も呼んで、みんなでテーブルを囲んだ。
(やっぱり家族はいいなぁ。)
〇〇は、東京に来てからこれだけ大勢で食卓を囲むことが無かった。ハンバーグを口に含みながら、少しだけ故郷を思いとても懐かしい気分だった。
「先生、台所貸していただいてありがとうございました。」
「いや、なんのなんの。」
「マイキーのハンバーグ変な形。」
「うっせーっ。こんなはずじゃなかったのになー。」
なんでだ?
やっぱりウ〇コは焼いたらつぶれた。
「みんな、今日はありがとな。」
少しはにかみながらいつもの笑顔で真一郎が感謝を述べると、佐野家のみんなはとても幸せそうに笑っていた。
〇〇のサプライズは、見事大成功を収めたのだった。
真一郎のバイクが〇〇の住むマンションの前で止まった。
〇〇が後部座席から降りヘルメットを差し出すと、真一郎が優しい笑みを浮かべながらそれを受け取った。
「ありがとうございました。送っていただいて。」
「礼を言うのはこっちだよ。今日はありがとう。サプライズ、すげぇ嬉しかった。」
準備期間が短くてどうなることかと思ったが、主役からの最高の言葉に、〇〇は自分自身とこのサプライズに協力してくれたみんなに拍手を送った。
ここまで他人を巻き込んでまで何かを成し得たことなど無かったのではないだろうか。と、〇〇は自分でもその行動力に驚くばかりだった。
「なぁ、〇〇。」
ふ、と真一郎から真面目な顔で名前を呼ばれ、〇〇は何事かと思いながら彼を見つめていると、
「俺、もっとおまえのこと知りたい。」
そう唐突に言われ、〇〇は思わず目を見開いた。
彼女は憶えていた。あの時、優しい笑顔の「彼」もそう言ったのだ―――
夢と現実の狭間にいるような錯覚に陥りそうになり、〇〇はこぶしを強く握った。
「・・・どんなことが、知りたい?」
咄嗟にいい返事が思い浮かばなくて、〇〇は記憶を頼りに過去に返した言葉をそのまま口にした。
あの時「彼」はなんと言ったっけ―――
「・・・おまえの誕生日。」
意外なリクエストに、〇〇は面食らった。
同時に、真一郎も自分の誕生日が気になっていたんだと思ったら、たまらなく嬉しかった。
誕生日を祝いあうのは、とても友達っぽい。
これからも、お互いのことをもっと知っていけたら―――
「12月21日です。」
真一郎との関係が、このまま穏やかに続けばいい―――そう願った。
ーーー卍おまけ卍ーーー
万作「真一郎。」
真一郎「なにじーちゃん?」
万作「嫁をもらうならあーゆー
真一郎「・・・・・・はぁ!?///」
万作「青春かぁ(ズズッ)」
