名前変換のみです(苗字はそのままデフォルトです。申し訳。)
本編(完結)
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
4.The gathering
梅雨が明け、本格的な夏を迎えた蒸し暑い土曜の夜。
〇〇は自宅から歩いて5分程のところにあるコンビニへ来ていた。
(炭酸って突然飲みたくなるんよねぇ~)
夏はキンキンの炭酸ですわな~。と、〇〇が目的の炭酸飲料水を調達し、店の外へ出ると見知った姿が視界に飛び込んできた。
「あ。真一郎先輩。」
「ん?〇〇っ?」
呼びかけに応じ振り向いた彼は、大層驚いた顔をしていた。
「おま、こんな時間に何してんだよ。」
「何って、炭酸飲みたくなって」
コンビニで買い物です。〇〇がそう言うと、真一郎は額に手を当てて盛大にため息をついた。
「はぁ~~~。お前せめて柴田さん連れて来いよ。」
「ちょっとの距離なら大丈夫かなって。いちいち呼ぶのめんどくさいですし。」
〇〇は、真一郎の言わんとすることを察しつつ、そんな父親みたいな反応やめてくれと思った。
「物騒な輩がウロウロしてんだから、もっと危機感持てよ。」
暴走族やっとるあなたに言われたかない。と世話になっている手前、口には出せない〇〇は出かかった言葉をひっこめた。
「先輩こそ、ひとりで走ってたんですか?」
その様子から、バイクを走らせていたことは容易に想像できた。しかも特攻服を着ている。立派な刺繍が施されており、想像していたよりもかなりド派手だ。
(真一郎先輩が特攻服姿でバイクに乗ってるの、初めて見るな。)
どうして不良はバイクに乗るのだろうか。実家でも夜中の騒音に迷惑したものだ。と、そんな経験から〇〇はいまいちバイクの良さがよく分からなかった。
「あぁ、これから集会があるんだよ。時間あるから暇つぶししてた。」
彼は、もうそろそろ出ようと思ってたところだと言った。
なるほど。集会とやらはこんな遅い時間にやるものなのか。暴走族も大変だ。〇〇が呑気にそんなことを考えていると、真一郎が真剣な表情で口を開いた。
「家まで送ってく。」
「いえ、これから集まらないといけないんですよね。一人で来れたんですから一人で帰れますよ。」
「いーや。ぜってー送ってく。心配だから。」
頬を膨らませた真一郎が反論してきた。彼は割と子供っぽいところがある。
〇〇は、あの出会いから今日までの彼とのやり取りを振り返った。
まさか自分に、と想像もしていなかった暴走族総長という肩書きを持つ友人。
そもそも彼の人柄があってこそのものではあるが、東京に来なければ、あのクラスメイトに絡まれなければ交わるはずのなかったこの関係も、案外悪くないものだ。彼女はそんなふうに思えるようになっていた。
「っつーわけで。ほれ。」
真一郎がポイっと丸みを帯びた何かを投げてきた。
〇〇が慌てて受け取る。と、その手にはヘルメットが。
「え!?でも集会に行くんじゃ・・・」
それを聞いた真一郎は、いたずらを企む少年のような笑みを浮かべてこう言った。
「行くぞ。黒龍の集会。」
(っ、ぎゃ~!!!)
〇〇は初めてバイクに乗った。
前方に乗っている真一郎は、慣れた手つきでギア操作をしながら憎らしいほどに颯爽とその機体を走らせている。
「〇〇!曲がるとき一緒に体傾けてな!」
真一郎が後ろに向かって指示を出す。ぶっちゃけそれどころではない〇〇は、初めて彼のことを人でなし!と思った。こんなぶっつけ本番でスピードの出る乗り物に乗せられるとは思ってもみなかった。
「先輩ー!やっぱ降ろして帰るー!!!」
「ははっ!遅刻するから無理!」
しっかりつかまってろよ~とのんきな返事が返ってきた。
きっとあの無邪気な笑顔で。
(今度絶っっっ対銀座のスターバックス奢らせてやる!!)
〇〇はそういう話題に敏感な女子だった。
目的地に着いてもなお、〇〇の心臓はバクバクだった。
なんなら緊張しすぎて少しえづいてもきていた。
(こ、こんな危なっかしい乗り物よぉ好き好んで乗り回すものだ・・・っ)
ますますバイクの良さが分からなくなった〇〇であった。
「あれ?大丈夫か?」
度胸あるくせにビビりだなぁ。
今ほどその笑顔が憎たらしいと思ったことは無い。〇〇は真一郎を睨んだが、当の本人はどこ吹く風である。暗がりでその表情が見えていないようだった。
(こなくそ。スタバ2杯だコノヤロー。)
〇〇がそんな恨みつらみを唱えていると、真一郎が少し離れたところに向かって叫んだ。
「よぉ!みんな揃ったかー!?」
叫んだ方向を見ると、いくつかのライトの明かりと人影が揺れていた。
〇〇は、バイクに乗った衝撃で全く気付いていなかったものだから、突然の光景に驚いた。
「お疲れさまです!!総長ぉ!!!」
突如、低音の大合唱が広場に響き渡る。
(これが・・・暴走族の集会現場・・・)
〇〇は不覚にも、今から自分はつるし上げられやしないかと警戒するほど圧倒された。
不良なんてカワイイ犬猫だなんて思っていたが、これだけの人数が集まっているのをみると、まるで猛獣のテリトリーに飛び込んだ草食動物のようだ、と鳥肌が立った。
「今日は遅かったな。」
集団から一人こちらに近づいてきた男が真一郎に向かって話しかけた。
その口調に距離の近さを感じる。雰囲気からして、彼とは割と対等な立ち場の人間らしかった。
「わりーな武臣。客連れてたからよ。」
そういうと、真一郎は後ろに構えていた〇〇を自身の親指で指した。
「あ?客?」
暗がりの中、バイクのライトに照らされたその人物が〇〇に顔を向けた。身長差があるので致し方ないが、武臣と呼ばれた彼に、タバコを加えながらだいぶ見下ろした目線で軽く睨まれた〇〇は、少したじろいだ。まだバクバクと鳴り続ける心臓が治まっておらず、ちょっとしたことでも反応してしまう。
「ついでにみんなにも紹介するから。〇〇、こっち来て。」
真一郎は、〇〇の腕を引いて集団の近くまで誘導した。
〇〇は訳が分からない状態で、されるがままついて行くのでやっとだった。
(な、ななななになになになになに!?)
わたしは何をされるんですか先輩!?
と半泣き状態で集団の様子を見た。
「ひぇ」
そこは集団よりも高い位置。広場には、野外ステージのような段があった。
こんなに大勢の視線を受けるのは初めてのことで、〇〇はまるで死刑台に登った囚人の気分だった。
(いや、わたしは何も悪いことしてません!先輩にスタバ2杯奢らそうとしてるだけです!ごめんなさい!!)
とよく分からない謝罪を心の中で叫んでいた〇〇の横で、真一郎が一層大きな声で言葉を発した。
「集会始める前に聞いてくれ!こいつ、高校のいっこ下の神保〇〇!医者目指してるんだ!みんな、仲良くしてやってくれな!!」
といつもの笑顔でそう言うと、じゃあ〇〇は少し離れたところで待ってて。終わったら送っていくから。と、真一郎が〇〇に告げる。
〇〇をはじめ、集合していた黒龍のメンバーたちは、各々が突然のことに面食らった顔をしていた。
(え、今のはいったい???)
なんの時間?
全く想定していなかった事態に、〇〇の頭上にはハテナが躍り出していた。
無理やり連れてこられた挙句、暴走族のメンバーに堂々と自分の存在を告げられたという事実を認識した途端、思考が停止した。
〇〇は、ここにきてあの時コンビニへ行ったことを後悔した。すべてはあそこから間違っていたのだ。我慢をして大人しく家にいればよかったのに。
不良の友人もいいもんだ、と思ったほっこり時間を全力で無しにしたかった。
と、〇〇が打ちひしがれていたその時、不気味なほど静まり返っていたところに突如雄叫びがあがった。
「「「おぉぉぉぉぉお!!!」」」
「ついに・・・!ついにっっ!!!」
「総長にも春がキター!!!!!」
「真一郎君おめでとう~~~~~!!!!!」
拍手喝采ととてつもない爆音に圧倒されて、〇〇の思考はまた停止したのだった。
(・・・えなにコレ。)
梅雨が明け、本格的な夏を迎えた蒸し暑い土曜の夜。
〇〇は自宅から歩いて5分程のところにあるコンビニへ来ていた。
(炭酸って突然飲みたくなるんよねぇ~)
夏はキンキンの炭酸ですわな~。と、〇〇が目的の炭酸飲料水を調達し、店の外へ出ると見知った姿が視界に飛び込んできた。
「あ。真一郎先輩。」
「ん?〇〇っ?」
呼びかけに応じ振り向いた彼は、大層驚いた顔をしていた。
「おま、こんな時間に何してんだよ。」
「何って、炭酸飲みたくなって」
コンビニで買い物です。〇〇がそう言うと、真一郎は額に手を当てて盛大にため息をついた。
「はぁ~~~。お前せめて柴田さん連れて来いよ。」
「ちょっとの距離なら大丈夫かなって。いちいち呼ぶのめんどくさいですし。」
〇〇は、真一郎の言わんとすることを察しつつ、そんな父親みたいな反応やめてくれと思った。
「物騒な輩がウロウロしてんだから、もっと危機感持てよ。」
暴走族やっとるあなたに言われたかない。と世話になっている手前、口には出せない〇〇は出かかった言葉をひっこめた。
「先輩こそ、ひとりで走ってたんですか?」
その様子から、バイクを走らせていたことは容易に想像できた。しかも特攻服を着ている。立派な刺繍が施されており、想像していたよりもかなりド派手だ。
(真一郎先輩が特攻服姿でバイクに乗ってるの、初めて見るな。)
どうして不良はバイクに乗るのだろうか。実家でも夜中の騒音に迷惑したものだ。と、そんな経験から〇〇はいまいちバイクの良さがよく分からなかった。
「あぁ、これから集会があるんだよ。時間あるから暇つぶししてた。」
彼は、もうそろそろ出ようと思ってたところだと言った。
なるほど。集会とやらはこんな遅い時間にやるものなのか。暴走族も大変だ。〇〇が呑気にそんなことを考えていると、真一郎が真剣な表情で口を開いた。
「家まで送ってく。」
「いえ、これから集まらないといけないんですよね。一人で来れたんですから一人で帰れますよ。」
「いーや。ぜってー送ってく。心配だから。」
頬を膨らませた真一郎が反論してきた。彼は割と子供っぽいところがある。
〇〇は、あの出会いから今日までの彼とのやり取りを振り返った。
まさか自分に、と想像もしていなかった暴走族総長という肩書きを持つ友人。
そもそも彼の人柄があってこそのものではあるが、東京に来なければ、あのクラスメイトに絡まれなければ交わるはずのなかったこの関係も、案外悪くないものだ。彼女はそんなふうに思えるようになっていた。
「っつーわけで。ほれ。」
真一郎がポイっと丸みを帯びた何かを投げてきた。
〇〇が慌てて受け取る。と、その手にはヘルメットが。
「え!?でも集会に行くんじゃ・・・」
それを聞いた真一郎は、いたずらを企む少年のような笑みを浮かべてこう言った。
「行くぞ。黒龍の集会。」
(っ、ぎゃ~!!!)
〇〇は初めてバイクに乗った。
前方に乗っている真一郎は、慣れた手つきでギア操作をしながら憎らしいほどに颯爽とその機体を走らせている。
「〇〇!曲がるとき一緒に体傾けてな!」
真一郎が後ろに向かって指示を出す。ぶっちゃけそれどころではない〇〇は、初めて彼のことを人でなし!と思った。こんなぶっつけ本番でスピードの出る乗り物に乗せられるとは思ってもみなかった。
「先輩ー!やっぱ降ろして帰るー!!!」
「ははっ!遅刻するから無理!」
しっかりつかまってろよ~とのんきな返事が返ってきた。
きっとあの無邪気な笑顔で。
(今度絶っっっ対銀座のスターバックス奢らせてやる!!)
〇〇はそういう話題に敏感な女子だった。
目的地に着いてもなお、〇〇の心臓はバクバクだった。
なんなら緊張しすぎて少しえづいてもきていた。
(こ、こんな危なっかしい乗り物よぉ好き好んで乗り回すものだ・・・っ)
ますますバイクの良さが分からなくなった〇〇であった。
「あれ?大丈夫か?」
度胸あるくせにビビりだなぁ。
今ほどその笑顔が憎たらしいと思ったことは無い。〇〇は真一郎を睨んだが、当の本人はどこ吹く風である。暗がりでその表情が見えていないようだった。
(こなくそ。スタバ2杯だコノヤロー。)
〇〇がそんな恨みつらみを唱えていると、真一郎が少し離れたところに向かって叫んだ。
「よぉ!みんな揃ったかー!?」
叫んだ方向を見ると、いくつかのライトの明かりと人影が揺れていた。
〇〇は、バイクに乗った衝撃で全く気付いていなかったものだから、突然の光景に驚いた。
「お疲れさまです!!総長ぉ!!!」
突如、低音の大合唱が広場に響き渡る。
(これが・・・暴走族の集会現場・・・)
〇〇は不覚にも、今から自分はつるし上げられやしないかと警戒するほど圧倒された。
不良なんてカワイイ犬猫だなんて思っていたが、これだけの人数が集まっているのをみると、まるで猛獣のテリトリーに飛び込んだ草食動物のようだ、と鳥肌が立った。
「今日は遅かったな。」
集団から一人こちらに近づいてきた男が真一郎に向かって話しかけた。
その口調に距離の近さを感じる。雰囲気からして、彼とは割と対等な立ち場の人間らしかった。
「わりーな武臣。客連れてたからよ。」
そういうと、真一郎は後ろに構えていた〇〇を自身の親指で指した。
「あ?客?」
暗がりの中、バイクのライトに照らされたその人物が〇〇に顔を向けた。身長差があるので致し方ないが、武臣と呼ばれた彼に、タバコを加えながらだいぶ見下ろした目線で軽く睨まれた〇〇は、少したじろいだ。まだバクバクと鳴り続ける心臓が治まっておらず、ちょっとしたことでも反応してしまう。
「ついでにみんなにも紹介するから。〇〇、こっち来て。」
真一郎は、〇〇の腕を引いて集団の近くまで誘導した。
〇〇は訳が分からない状態で、されるがままついて行くのでやっとだった。
(な、ななななになになになになに!?)
わたしは何をされるんですか先輩!?
と半泣き状態で集団の様子を見た。
「ひぇ」
そこは集団よりも高い位置。広場には、野外ステージのような段があった。
こんなに大勢の視線を受けるのは初めてのことで、〇〇はまるで死刑台に登った囚人の気分だった。
(いや、わたしは何も悪いことしてません!先輩にスタバ2杯奢らそうとしてるだけです!ごめんなさい!!)
とよく分からない謝罪を心の中で叫んでいた〇〇の横で、真一郎が一層大きな声で言葉を発した。
「集会始める前に聞いてくれ!こいつ、高校のいっこ下の神保〇〇!医者目指してるんだ!みんな、仲良くしてやってくれな!!」
といつもの笑顔でそう言うと、じゃあ〇〇は少し離れたところで待ってて。終わったら送っていくから。と、真一郎が〇〇に告げる。
〇〇をはじめ、集合していた黒龍のメンバーたちは、各々が突然のことに面食らった顔をしていた。
(え、今のはいったい???)
なんの時間?
全く想定していなかった事態に、〇〇の頭上にはハテナが躍り出していた。
無理やり連れてこられた挙句、暴走族のメンバーに堂々と自分の存在を告げられたという事実を認識した途端、思考が停止した。
〇〇は、ここにきてあの時コンビニへ行ったことを後悔した。すべてはあそこから間違っていたのだ。我慢をして大人しく家にいればよかったのに。
不良の友人もいいもんだ、と思ったほっこり時間を全力で無しにしたかった。
と、〇〇が打ちひしがれていたその時、不気味なほど静まり返っていたところに突如雄叫びがあがった。
「「「おぉぉぉぉぉお!!!」」」
「ついに・・・!ついにっっ!!!」
「総長にも春がキター!!!!!」
「真一郎君おめでとう~~~~~!!!!!」
拍手喝采ととてつもない爆音に圧倒されて、〇〇の思考はまた停止したのだった。
(・・・えなにコレ。)
