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本編(完結)
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1.first meeting
その日、人生で初めてできた友達は
不良だった。
ここは渋谷のとある高等学校。授業も終わりを迎えた放課後。
一日の終業を告げるチャイムが鳴り響き、屋外では生徒たちが賑わいを見せていた。
この4月より入学をした少女、神保〇〇もさあ帰ろうという時分に、所謂ヤンチャなクラスメイトに呼び出され、校舎裏というベタな場所にて取り囲まれていた。
つまり、この上ない面倒ごとに巻き込まれているのである。
彼女は、高校進学を機に地元広島から東京へ越してきた。
家柄のせいで環境はあまり良いものではなく、"ヤクザの子"というだけで周囲の風当たりは強かった。
親たちに倣い、周囲の子どもたちも同様に彼女と関わることを避けるか、陰湿ないじめへ発展するかのどちらかで、友人と呼べる友人などできるはずもなかった。
そんな義務教育期間を過ごした彼女は、自分のことを知られない環境で平穏に勉学に励もうと決意した。
―――彼女は医者になりたいのだ。
だというのに、入学早々にこの状況。
訳の分からないいちゃもんを付けられ、その一人の女子にいきなり平手で殴られた。赤く腫れあがった頬が痛々しい。
彼女らの言い分を要約すると、勉強ができて少し顔がいいからって生意気だ。である。昭和の学園ドラマよろしく、実にくだらない理由だった。
実は、数日前からなにかと絡んできていたのだが、学校内で面倒ごとを起こしたくない一心で、まともに相手にしてこなかったのが災いしたようだ。
今後のことを考えて悪目立ちはしたくないところ。〇〇は、この不利な状況を打破すべく考えを巡らせていたのだが、逃げるにしても人数が多すぎた。
始終文句を垂れている女子2人は同じクラスの子。その後ろにいるのは5人の男子高校生。たぶん他校のいわゆる不良。どいつもこいつもニヤついた顔が不快な上、腹立たしいことこの上なかった。
この人数では抑え込まれたら最後。下手な行動をとるともっとややこしくなりそうで、彼女は先手が打てないでいた。
(何でもいい。隙が欲しい・・・)
〇〇は頭をフル回転させ打開策を探っていた――――
「おい。おまえらそこで何やってんだよ。」
突如、数メートル先から願ってもいない救世主の声が届いた。
(誰だか知らんが勇敢な殿方、助かった!)
〇〇は、皆の視線が声の主へ向いているうちに、体制を整えて踏み込もうとした。
「お・・・おい、ヤバいぞ、佐野真一郎だ・・・!」
「黒龍 の総長!?この学校だったのか!」
「は?ちょっとなんなのよ。あ、あんなのほっといてこの子やっちゃってよ。」
突如現れた声の主を見るなり、男子生徒たちが騒ぎ出した。
「お前ら、女ひとりに寄ってたかって恥ずかしくねーのかよ。」
(なんか様子がおかしい。てかブラック・・・なんとかの総長?って何だろう。)
〇〇は、急な空気の変わりように思わず踏みとどまってしまった。
声の主へ視線を向けると、そこにはこの学校の制服を着て、前髪をかき上げ固めたスタイルのリーゼントヘアをした男子生徒が立っていた。これでもかという威圧的な眼差しをこちらに向けている。
強面には耐性のある〇〇だが、そんな彼女でも少し狼狽えてしまうほど、彼のそれは鋭い眼光だった。
「黒龍敵に回したら終わりだ。俺ら降りるぜ!」
「ちょ、何なの!?待ちなさい!!」
ギャーギャー言いながら〇〇を取り囲んでいたヤツらが一斉にはけていった。
〇〇は突然のことに唖然としつつ、危機は脱したようだと緊張した体を緩めると、変な力が入っていたせいか普段感じることのない疲労感でいっぱいだった。
一息ついた〇〇は、ひとまずリーゼント男子にお礼を言おう、と彼のもとへ歩き出した。
どんな人にも仁義は通す。親譲りのそれは彼女のポリシーであった。
「あ、あの!ありがとうございます!助かりました。」
彼に近づきながらそう言うと、先ほどまでの姿からは想像できないほどに穏やかな視線を向けられた。
「おう。」
「同じ学校の方・・・ですよね?」
「うん。2年。あんた1年だろ?」
「はい。あの、大したことできませんけど、なにかお礼させてもらえませんか。」
〇〇は、話しやすそうな雰囲気にホッとした。身なりからして彼もヤンチャな生徒なのだろうが、先ほどの不快で仕方なかった輩に比べたら、天と地ほどの差があった。
「え、いいよこれくらい。アイツらみたいな卑怯なヤツ見ると黙ってられない性質でさ。
それに今日は一人になりたい、し・・・・・・っぐっっ」
「え?あの。ど、どうしたんです・・・?」
なにか様子が変だ。突如リーゼント男子がただならぬ様子で、うつむき唸りだしたのである。
「今回もフラれた・・・マイちゃん゙ん゙ん゙っ」
(え、ちょ、と、めっっちゃ泣き出した!?)
先ほどの凄みを効かせた姿はどこへやら。この歳で人目をはばからず泣きじゃくってる男の子を見たのは初めてかもしれない。
などと〇〇は呑気なことを考えた。
しかし、助けて貰った手前、放っておくことなどできず。
(一難去ってまた一難とはこのことか―――?)
腕で目元を豪快にこする彼を前に、〇〇は心の中でため息をついた。
ドリンク1杯奢りで話がつき、ここから近いファミレスを目指して2人は並んで学校を出た。
〇〇は、涙と鼻水で顔面が悲惨なことになっている彼を見るに見兼ね、ハンカチを差し出した。
どうも、本日告白19連敗を達成したらしく、振られたてほやほやのタイミングであの場に遭遇したそうである。
「ぐすっ・・・悪いな、みっともねぇところ見せちまって。」
「いえ、お気になさらず・・・。」
「ありがとう。ハンカチ、洗って返すから。」
〇〇は、顔面からとめどなく流れていた水分をしっかり受け止めたそれをチラりと見やる。
いや、なんかもうめっちゃびちゃびちゃなんでイイっす。
と口に出したい衝動に駆られた言葉を無理やり押し込んだ。
「あ。・・・なぁ、もしかしてさっきのヤツに殴られた?」
「あー・・・そういえば。いちばん気の強そうな女子に。」
彼に言われるまですっかり忘れていた。
かなりの力で引っぱたかれたというのに、怒涛の展開にすっかり思考の外に追いやられていたようだ。
〇〇は、思い出したら少しじんじんしてきたその頬に、自分で手を当てて痛みを和らげようとした。
のだが、既に彼女のそれでは無い掌が頬にやさしく添えられていた。
「?」
「悪い気づかなくて。まだ痛むか?」
何事?〇〇は、思わず唖然として彼を凝視した。突然縮まった距離にまたもや痛みがぶっ飛んだ。
初対面にしては少し、いやかなり距離感がバグってる彼に、〇〇はやっとの思いで口を開く。
「・・・あ、の~、大丈夫ですのでその・・・手を。」
「?・・・あ!ご、ごめんつい!!」
あたふたと顔から手を放してくれた彼は、気まずそうにその手で今度は自分の頬を掻いていた。
(あれ、なんか思ってた反応と違った。)
普通に心配してくれたのか。〇〇はもしかして女慣れしてるのか、と一瞬疑ったのだが、予想外の態度に少々驚いた。
(ちょっと気まず・・・?)
今のやり取りで変な空気になりそうだと察した〇〇は、徐々に冷静になってきた頭で彼とのコミュニケーションを試みた。
「えっと、自己紹介まだでしたよね。わたし、神保〇〇といいます。」
そう名乗ると、彼は人懐っこい笑顔を向けてきた。
「あぁ、俺は佐野真一郎。よろしく。」
先ほど取り囲んできた不良たちが言っていた名だ。
佐野真一郎。姿を見せただけであれだけ驚き退散していったとなると有名人なのは間違いないが、いったい彼は何者なのか。
〇〇は、あの不良たちが口にしていたワードが妙に気になっていた。
「そういえば、さっきあの人たちが「ブラック」なんとか?って言ってるの聞こえたんですけど、何のことなんですか?」
部活の通称かなにか?
なんて考えていたら、彼は気まずそうに、彼女の想像の斜め上を行く回答を返してきて、それは〇〇の度肝を抜くことになるのだった。
「あ~。黒龍 、俺の暴走族 の名前だよ。」
この日、〇〇にとって東京生活史上最悪の面倒事から救ってくれたリーゼントヒーローは、苦笑しつつバイクを吹かす仕草でそう答えたのだった。
(・・・暴走族の総長だったんかい!!)
その日、人生で初めてできた友達は
不良だった。
ここは渋谷のとある高等学校。授業も終わりを迎えた放課後。
一日の終業を告げるチャイムが鳴り響き、屋外では生徒たちが賑わいを見せていた。
この4月より入学をした少女、神保〇〇もさあ帰ろうという時分に、所謂ヤンチャなクラスメイトに呼び出され、校舎裏というベタな場所にて取り囲まれていた。
つまり、この上ない面倒ごとに巻き込まれているのである。
彼女は、高校進学を機に地元広島から東京へ越してきた。
家柄のせいで環境はあまり良いものではなく、"ヤクザの子"というだけで周囲の風当たりは強かった。
親たちに倣い、周囲の子どもたちも同様に彼女と関わることを避けるか、陰湿ないじめへ発展するかのどちらかで、友人と呼べる友人などできるはずもなかった。
そんな義務教育期間を過ごした彼女は、自分のことを知られない環境で平穏に勉学に励もうと決意した。
―――彼女は医者になりたいのだ。
だというのに、入学早々にこの状況。
訳の分からないいちゃもんを付けられ、その一人の女子にいきなり平手で殴られた。赤く腫れあがった頬が痛々しい。
彼女らの言い分を要約すると、勉強ができて少し顔がいいからって生意気だ。である。昭和の学園ドラマよろしく、実にくだらない理由だった。
実は、数日前からなにかと絡んできていたのだが、学校内で面倒ごとを起こしたくない一心で、まともに相手にしてこなかったのが災いしたようだ。
今後のことを考えて悪目立ちはしたくないところ。〇〇は、この不利な状況を打破すべく考えを巡らせていたのだが、逃げるにしても人数が多すぎた。
始終文句を垂れている女子2人は同じクラスの子。その後ろにいるのは5人の男子高校生。たぶん他校のいわゆる不良。どいつもこいつもニヤついた顔が不快な上、腹立たしいことこの上なかった。
この人数では抑え込まれたら最後。下手な行動をとるともっとややこしくなりそうで、彼女は先手が打てないでいた。
(何でもいい。隙が欲しい・・・)
〇〇は頭をフル回転させ打開策を探っていた――――
「おい。おまえらそこで何やってんだよ。」
突如、数メートル先から願ってもいない救世主の声が届いた。
(誰だか知らんが勇敢な殿方、助かった!)
〇〇は、皆の視線が声の主へ向いているうちに、体制を整えて踏み込もうとした。
「お・・・おい、ヤバいぞ、佐野真一郎だ・・・!」
「
「は?ちょっとなんなのよ。あ、あんなのほっといてこの子やっちゃってよ。」
突如現れた声の主を見るなり、男子生徒たちが騒ぎ出した。
「お前ら、女ひとりに寄ってたかって恥ずかしくねーのかよ。」
(なんか様子がおかしい。てかブラック・・・なんとかの総長?って何だろう。)
〇〇は、急な空気の変わりように思わず踏みとどまってしまった。
声の主へ視線を向けると、そこにはこの学校の制服を着て、前髪をかき上げ固めたスタイルのリーゼントヘアをした男子生徒が立っていた。これでもかという威圧的な眼差しをこちらに向けている。
強面には耐性のある〇〇だが、そんな彼女でも少し狼狽えてしまうほど、彼のそれは鋭い眼光だった。
「黒龍敵に回したら終わりだ。俺ら降りるぜ!」
「ちょ、何なの!?待ちなさい!!」
ギャーギャー言いながら〇〇を取り囲んでいたヤツらが一斉にはけていった。
〇〇は突然のことに唖然としつつ、危機は脱したようだと緊張した体を緩めると、変な力が入っていたせいか普段感じることのない疲労感でいっぱいだった。
一息ついた〇〇は、ひとまずリーゼント男子にお礼を言おう、と彼のもとへ歩き出した。
どんな人にも仁義は通す。親譲りのそれは彼女のポリシーであった。
「あ、あの!ありがとうございます!助かりました。」
彼に近づきながらそう言うと、先ほどまでの姿からは想像できないほどに穏やかな視線を向けられた。
「おう。」
「同じ学校の方・・・ですよね?」
「うん。2年。あんた1年だろ?」
「はい。あの、大したことできませんけど、なにかお礼させてもらえませんか。」
〇〇は、話しやすそうな雰囲気にホッとした。身なりからして彼もヤンチャな生徒なのだろうが、先ほどの不快で仕方なかった輩に比べたら、天と地ほどの差があった。
「え、いいよこれくらい。アイツらみたいな卑怯なヤツ見ると黙ってられない性質でさ。
それに今日は一人になりたい、し・・・・・・っぐっっ」
「え?あの。ど、どうしたんです・・・?」
なにか様子が変だ。突如リーゼント男子がただならぬ様子で、うつむき唸りだしたのである。
「今回もフラれた・・・マイちゃん゙ん゙ん゙っ」
(え、ちょ、と、めっっちゃ泣き出した!?)
先ほどの凄みを効かせた姿はどこへやら。この歳で人目をはばからず泣きじゃくってる男の子を見たのは初めてかもしれない。
などと〇〇は呑気なことを考えた。
しかし、助けて貰った手前、放っておくことなどできず。
(一難去ってまた一難とはこのことか―――?)
腕で目元を豪快にこする彼を前に、〇〇は心の中でため息をついた。
ドリンク1杯奢りで話がつき、ここから近いファミレスを目指して2人は並んで学校を出た。
〇〇は、涙と鼻水で顔面が悲惨なことになっている彼を見るに見兼ね、ハンカチを差し出した。
どうも、本日告白19連敗を達成したらしく、振られたてほやほやのタイミングであの場に遭遇したそうである。
「ぐすっ・・・悪いな、みっともねぇところ見せちまって。」
「いえ、お気になさらず・・・。」
「ありがとう。ハンカチ、洗って返すから。」
〇〇は、顔面からとめどなく流れていた水分をしっかり受け止めたそれをチラりと見やる。
いや、なんかもうめっちゃびちゃびちゃなんでイイっす。
と口に出したい衝動に駆られた言葉を無理やり押し込んだ。
「あ。・・・なぁ、もしかしてさっきのヤツに殴られた?」
「あー・・・そういえば。いちばん気の強そうな女子に。」
彼に言われるまですっかり忘れていた。
かなりの力で引っぱたかれたというのに、怒涛の展開にすっかり思考の外に追いやられていたようだ。
〇〇は、思い出したら少しじんじんしてきたその頬に、自分で手を当てて痛みを和らげようとした。
のだが、既に彼女のそれでは無い掌が頬にやさしく添えられていた。
「?」
「悪い気づかなくて。まだ痛むか?」
何事?〇〇は、思わず唖然として彼を凝視した。突然縮まった距離にまたもや痛みがぶっ飛んだ。
初対面にしては少し、いやかなり距離感がバグってる彼に、〇〇はやっとの思いで口を開く。
「・・・あ、の~、大丈夫ですのでその・・・手を。」
「?・・・あ!ご、ごめんつい!!」
あたふたと顔から手を放してくれた彼は、気まずそうにその手で今度は自分の頬を掻いていた。
(あれ、なんか思ってた反応と違った。)
普通に心配してくれたのか。〇〇はもしかして女慣れしてるのか、と一瞬疑ったのだが、予想外の態度に少々驚いた。
(ちょっと気まず・・・?)
今のやり取りで変な空気になりそうだと察した〇〇は、徐々に冷静になってきた頭で彼とのコミュニケーションを試みた。
「えっと、自己紹介まだでしたよね。わたし、神保〇〇といいます。」
そう名乗ると、彼は人懐っこい笑顔を向けてきた。
「あぁ、俺は佐野真一郎。よろしく。」
先ほど取り囲んできた不良たちが言っていた名だ。
佐野真一郎。姿を見せただけであれだけ驚き退散していったとなると有名人なのは間違いないが、いったい彼は何者なのか。
〇〇は、あの不良たちが口にしていたワードが妙に気になっていた。
「そういえば、さっきあの人たちが「ブラック」なんとか?って言ってるの聞こえたんですけど、何のことなんですか?」
部活の通称かなにか?
なんて考えていたら、彼は気まずそうに、彼女の想像の斜め上を行く回答を返してきて、それは〇〇の度肝を抜くことになるのだった。
「あ~。
この日、〇〇にとって東京生活史上最悪の面倒事から救ってくれたリーゼントヒーローは、苦笑しつつバイクを吹かす仕草でそう答えたのだった。
(・・・暴走族の総長だったんかい!!)
