La Sorte (めぐりあわせ)
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その方が楽かな〜と思って!!
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「ここが、フォロ・ロマーノ……!」
──私は今、初めてのイタリア旅行に来ている。人生で一度は、絶対に南イタリアに行きたいと思っていた。念願叶って、フライト約12時間。途中でスリに遭いかけたり、ナンパに捕まったり散々だったけど……。
見渡す限り、日本とは違う、歴史的な空間が広がる。
「あー、良い風……!」
気持ちの良い風を浴びながら景色を眺めていると、そんなトラブルは些細なことに思えた。
広場の階段に座り、異国の風景をぼんやり眺めていると、ふと、遠くに信じられないほどイケメンなイタリア人を見つけた。
トパーズのような瞳の色で、凛とした眉は力強さを感じる。あと、丸っこい髪のフォルム? あのアホ毛なんだろう、くるんってしてて可愛い。
じっと遠くから拝ませて貰っていると、彼が視線に気がついたのか、私の方を見る。思わず目が合ってしまい、慌てて目を離した。
「……?」
目を離した、が、そのイケメンがなぜか遠くから歩いてきているように見える。
「え?」
おかしい、本当にこっちに向かってきている。
「な、なぁベッラ!」
「へっ!?!?」
慌てたように駆け寄ってきた彼の口から、突然、聞き馴染みのある言語が聞こえてきて、思わず飛び上がる。
「……あー、その……」
「……」
「よ、良かったら観光してやるよ!」
「ハ、イ……」
気がついたら、私は頷いていた。
いくら、どタイプで顔も良くてお声も素敵なイケメンに日本語で(?)話しかけられたからって、この状況はおかしいと私も思う。
「んで、あっちが──おい、聞いてるか?」
「え、う、うん! 凄い……デスネ…!」
やばい、今、顔しか見てなかった……。そんな焦る私に対して、長い睫毛を瞬かせ、彼はそっと微笑む。
「敬語、なくていいぞ、このやろー」
「あ、え、」
「堅苦しいっつーか、慣れねえっつーか」
ぷぷ、と彼が笑う。ああ、笑った顔も素敵……。
「……それで……ここには不老不死の男がいて……その恋人がよく来てたって話だ」
「不老不死……?」
「でも、その恋人は、自ら命を絶った……」
「えっ……なんでですか……?」
「なんでだろな?」
フォロ・ロマーノを歩きながら、彼が私に問いかけるように言う。謎掛けのようなその答えを考えていると、不意に淋しげに笑って言った。
「ま、相手がどーしようもねえ男だったんじゃねーの?」
「えっ……? でもそんな理由で……」
「……じゃあ、なんでだ?」
彼が、私をちらりと見上げる。思考が止まって固まっていると、彼が優しく笑った。
「他、どっか見てぇとこあるか?」
「いや……ほ、ほんとに親切に……すみません、ありがとうございます」
「……敬語いらねーって言ってんだろ?」
「あっ、ご、ごめん……?」
彼は優しいし、全身が、もう全てがかっこいい。……まずい、このままだと、異国のイケメンに恋に落ちてしまう……!
「あの、ありがとう……おかげでいろいろわかって楽しかった……」
「……もう、いいのか?」
「うん、もう十分……」
寂しい気持ちはあるけれど、彼のことをこれ以上好きになってしまうのも……後から忘れられなくなっちゃいそう……というか、もうすでに忘れられないイタリア旅行の思い出第一位ではあるけれど……
「……まだ、回ろうぜ」
「え?」
「もっと話してえし」
イケメンから発せられた、どこか寂しげな声に思わず耳を疑う。
「あ、じゃあ、もうちょっとだけ……照」
私はイケメンに弱い。
結局、おすすめの店だと言われたバルで、外のテラス席でパニーニとコーヒーをご馳走になっている。
「あの、なんでそんなに良くしてくれるの……?」
「ん? お前が可愛いから」
「んぐっ……」
思わずパニーニを噴き出しそうになった。顔に熱が一気に広がって、耳まで熱い。
「はは、顔真っ赤じゃねえか」
「そ、そんなことを言われたら流石に……」
「可愛いな、ほんと」
「……」
恥ずかしさからついに何も言えなくなり、目を逸らす。チラリと見上げると、なぜか私を愛おしげに見つめる瞳と目が合った。トパーズのような、綺麗な瞳──。
「そ、その……本場のナンパを体験できて嬉しいんだけど、明後日には、私日本に帰らないとだし……」
「……ふーん」
イケメンはコーヒーを飲むと、少し落ち着いた口調で言った。
「じゃあ、まだ今日を入れてあと2日はあるってことだな」
「え?」
「なんだよ、帰んのは明後日なんだろ?」
「……え、ちょっ、え?」
イケメンはカップをまた口に持っていって、悪戯っぽい上目遣いで私を見た。
「……な?」
「……ウン」
私のバカーーーー!
そう、気がつけば私はまた頷いていた。
彼の、上目遣いの威力のせいで……。
「ま、南イタリアのことなら何でも知ってるからな。お前のためにちゃーんと案内してやるよ」
「ありがとう……ま、まさかとは思うけど、後から観光料取ったりしないよね……?」
そう言うと、彼は全くそんなこと考えてなかった、というようにキョトンと目を瞬かせてから、またにやりと口角をあげて言った。
「言っただろ? お前が可愛いからだっての」
「じゃ、なんかあったら遠慮なく電話しろよー」
「……」
バタン、と扉が閉じる。
……正直、襲われるかもしれないとかちょっと想像していた自分が恥ずかしい。彼はただ、元々私が選んでいたホテルは防犯面とかもろもろがイマイチだとか言って、違うホテルまで案内し、そして普通に部屋を予約し、さらには私をそのまま部屋に送ってくれただけなのに……!!
「あ゛あ゛あ゛……」
恥ずかしくてベッドの上で布団に顔を押し付け悶える。かっこいい上に紳士だったとはね……。
「ふ、ふふ……」
一日中、彼とローマの街で過ごせて、楽しかったな……
あれ、そう言えば、名前も聞いてなかった。
「名前……なんて言うんだろう……」
次第に瞼が重くなってくる。
「あしたは……きかな……きゃ……」
そして、私はそのまま、眠りについた。
───
そっと、私に口づけて彼が笑う。
「……愛してる、離れんじゃねぇ、ばーか」
「ロマ……」
夢の中で、私のようで、私じゃないみたいな感覚。彼はまた優しくキスを落とすと、私を強く抱きしめた。
───
朝起きると、知らない天井で……。即座に今は旅行中だったことを思い出す。慣れない質感のベッドから起き上がって、見てしまった夢を思い出し、顔が熱くなる。流石に、あんな夢を見るなんて調子に乗りすぎ……。
無事に彼と合流し、二人でローマの街並みを眺めながら歩く。
「ねえ、そう言えば、名前はなんて言うの?」
「ん…? あ……お前、ジェラート食うか?」
ベンチでピスタチオのジェラートを食べながら、私はぼんやりと、今日の夢を思い出していた。なんとなく、ここに似ていたような。少し顔が熱くなる。
「……ロマーノ」
「え?」
「さっき、名前聞いてただろ」
「え、あぁ……ロマーノね」
のどかな風景、というのはこういうことだろうか。沢山の鳥がいて、見渡せばカップルらしき男女も至るところにいる。
「……俺たちも、キスでもするか?」
「んぐっ」
思わず、私は食べていたジェラートを噴き出しそうになった。
「いやっ、そ、それはちょっ」
「嫌か?」
「……っ、」
見つめられるともうなんでも良くなってくる。もうキスしちゃってくださいというか……あ、今キスしたらピスタチオの味がしそう……
……暫くすると、近づけていた顔を離して、ロマーノは吹き出して笑った。
「っ、ぷふ、お前……顔真っ赤すぎんだろw」
「や、だ、だって……!」
恥ずかしくて顔を熱くしながら抗議していると、ほっぺにちゅ、と柔らかい感触があった。
「……え」
「……ふっ、こいつはジェラート代ってことで」
「………」
もう、頭から湯気が出そうだ。口をパクパクさせたまま、私は彼から距離を取って座る。ロマーノはニヤニヤと笑っていた。
「なんなら、観光料も貰ってやろうか?」
「ろ、ロマ! ちょっと流石に……」
「ロマ?」
「えっ、あ、何となく略しちゃっ……」
ロマーノが心底驚いたような顔になる。余計に恥ずかしくて、じっと座ったまま耐えていると、ロマーノは私の顔を見つめて、距離を詰めてきた。
「……な、ナンデスカ」
「こっち向け」
「や、唇はちょっと……!」
「いいから向けよ……そんで、名前呼べ」
恐る恐る、至近距離の彼に顔を向ける。
「ろ、ロマ……?」
「……」
……名前を呼ぶと、そのまま口づけられた。
唇と唇を重ねるキスをしてから、彼は至近距離でただじっと私の目を見つめ続け、私はと言うと、必死に目を逸らし、顔の熱を抑えるためにひたすら公園の鳥を数えていた。
「……あ、あの…」
「……悪い」
正直、美人な顔が近すぎて、叫びそうだった。あと、唇の感触が柔らかいことに気を取られて、ピスタチオ味かどうかは全然わからなかった。というか、今なんで私、名前を呼んだだけでイケメンにキスされたの……!?
……ロマはまるで気がつかないように、ベンチの上にある私の手に自分の手を重ねている。
「……」
「あ、あの、もういい?」
「ああ……」
返事をするのに、重ねられた手は離れない。心臓の音がうるさい。
無言で時間を過ごしていると、ロマは立ち上がって、私の手を掴み、そのまま歩き出した。
「ちょっ、ちょっとどこ行くの」
「俺の家」
「は、!? そ、それは、無理だよ……!」
立ち止まって抵抗しようとする私を、無理やり歩かせて進む。
「いいから歩け」
「や、やだ……! 待って、ロマ……」
本当に家らしき場所まで連れて来られて、玄関前で抵抗を続けていると……
「あれ、兄ちゃん? その子……」
「ちっ、バカ弟……」
「ええ?!」
家から出てきて、日本語を話すイケメンが二人に増えた。ま、まぁロマの方が私の好みではあるけれど……人懐っこい顔をした彼は、暫くして、私を掴んでいた彼の手を優しく解くと、私の手をぎゅっと両手で握った。
「大丈夫、兄ちゃんは絶対、酷いことしないよ」
「え、」
「安心して!俺もちゃーんと、見張っててあげるから!」
「おい!だーれがお前なんかに見張られなきゃなんねぇんだよ、つーかそいつから手放せ!!」
「ヴェ、ごめんって……」
苛立ちを隠さないロマに叱られて、弟さんは大人しく手を離す。
「何もしないなら、入ってもいいんだけど……」
「……何もしねえよ」
「さっきキスされたから説得力がない……」
「っ、あれは……くそっ」
ロマは照れたように顔を反らしながら、大きく舌打ちをした。
「……いいから、今日は俺の家に泊まれよ。明日、帰るんだろ」
「……」
「大丈夫だよ、ね?」
弟さんが、優しい声で話しかけてくれる。私はおずおずと、頷いた。
部屋の中央にあるソファに座っていると、部屋の乱雑さが気になる。
「物が多いというかなんというか……」
「あぁ!? うるっせーな」
「二人とも! コーヒー淹れてきたよ〜!」
テーブルに置かれたコーヒーは、まだ湯気が立ち上っていた。
「飯作る。おいバカ弟、余計なことすんじゃねーぞ」
「はーい!」
弟くんが、ソファで距離を詰めてくる。思わず身構えていると、パッと笑って、また少し距離を作ってくれた。
「ごめんごめん、つい近くなっちゃって〜」
「……」
「ねえ、兄ちゃんとどこで会ったの?」
「フォロ・ロマーノを観光してて……」
「へぇ……」
弟さんは嬉しそうに笑った。
「なんでそんなに良くしてくれるのか、わからなくて……ただ目が合っただけなのに」
「君だからじゃないかなぁ」
至極当然のように返ってきた答えに、思わず動揺する。
「イタリア人って、みんなそんな風に考えるの……?」
「ふふ、どうかな」
コーヒーカップを取って、口に運ぶ。ほろ苦い味は、ゆっくりと体に染み渡った。
「おい、飯できたぞ」
トマトソースのパスタとピッツァが運ばれてきて、テーブルの上に並べられる。美味しいイタリアンの匂いが、部屋中に広がっていた。
「俺はソファで寝るから、お前はベッド使え」
「うん……あ、ありがと……」
寝室に案内されて、布団を被る。知らない人の匂い。きっと、これはロマの匂い……。
「なんでだろ、あんしん……する……」
私は、そのまま目を閉じた。
───
雨音が聞こえる。冷たい雨に濡れる。
棺桶の中で、沢山の花に包まれている誰かを見て、私は涙が溢れてくる。
その時、わかってしまったのだ。
もう、この"永遠の孤独"には、
私は耐えられないことを。
彼を、置いて行ってしまうことを。
「ごめん……」
──雨の中、立ち尽くす。
────
目が覚めると、隣でロマーノが寝ていて、思わず少し叫んだ。
「ろ、ロマ!?」
「うぉぁっ、や、やべ、寝てた……」
服を着ているか確認しようと思ったが、よく見るとロマは、ベッド横の床に座って、ベッドの方に上半身を預けて寝ていただけのようだった。
「えっ、えぇ?」
「わ、悪い……」
前髪に寝癖をつけたまま、まだ寝ぼけていそうなロマーノが慌てて立ち上がって寝室から出ようとする。
「いっ、てぇ…!」
そのまま扉の横の柱に激突し、ロマーノは痛そうに額を抑えた。
「だ、大丈夫……?」
「あ、あぁ……」
少し恥ずかしそうに顔を赤らめてから、ロマーノは強がるように言った。
「いいから支度しろ! 早く出かけねえと、時間がもったいねえだろ……」
「あ、うん……」
ロマには、今日の夕方の便で帰ることを伝えている。
──なんでなんだろう。この気持ちは。
「……で、あれがボッカデラベリタって…‥」
「……」
「おーい……聞いてんのか……?」
教会にある、大きな真実の口を前にロマが振り返る。
「あ、ごめん……なに?」
「……いったん休憩するか?」
当たり前のように私の手を握ると、ロマは来た道を引き返そうとした。
「う、ううん、大丈夫!」
「そうか?」
……ロマに会ってから、突然に脳を揺らす既視感。その正体が掴めないままでいる。
「……ロマと私って、どこかで会ったことあるっけ?」
ロマが手本に手を入れて見せる。その後ろ姿を見ていたら、自分でも不思議な言葉が口をついた。
「……んなわけねえだろ、あったら覚えてるっつーの」
「そ、そうだよね……」
「……」
沈黙が痛い。上手く会話が繋げず、ロマに申し訳ない気持ちを募らせていた。
「でも、」
ロマが振り返る。
「……お前を見てると、懐かしいんだよ」
その笑顔が、酷く優しい。
「……えっ、」
「次、行くか?」
「あ、うん……」
その時、なぜか彼を、どこかに置いてきてしまったような気がした。言い尽くせない悲しみで、胸のあたりが息苦しくなる。
「……ほら、置いてくなよ」
そう言って、彼は私の手を掴んだ。
観光を終えて、フォロ・ロマーノに戻ってきた私たちは、夕焼けに染まるローマの街を、高台から見下ろしていた。
この景色を、私は知っているような気がする。
「……あの時の答えを聞いてもいいか?」
「答え?」
「なんで、不老不死の男の恋人は、死んじまったんだと思う?」
不老不死の男の恋人。自ら死を選んでしまった、弱い人間の話。石に手を触れたまま、ロマは私を振り返る。
「情けねえよな。そいつ」
「……」
「誰よりも愛してたのに。誰よりも、大切にしたいと思っていたのに」
私を見つめたまま、どこか責めるように、彼は私の方へ一歩踏み出す。私を覆うような彼の影が、遺跡の壁に長く差した。言葉を探しながら、唇を開いて囁く。
「怖かった……から?」
「……怖かった?」
「先にいくことが、置いていくことだと、分かっていたけど。分かっていて、耐えられなかった」
むしろ酷いのは、きっとその恋人の方だ。
「他の人が死んでいく孤独に耐えるには、まだ若すぎた。ただそれだけ。だから、その男は悪くない」
「……でも、孤独にしたのは」
「ううん」
「……俺のせいだろ?」
「違うよ」
「……俺が守れなかった」
見上げると、彼の目から、涙が溢れていた。
「……はは、ふざけんな、ばーか」
「……」
「先にいかせた俺が悪いに決まってんだろ……」
そう言って、私の肩を強く掴む。
「悪くない」
「……そんなことねえよ、俺が、守ってやれなかったから」
「ううん、何も悪くないんだよ」
彼の体を抱きしめる。私を抱きしめ返した彼の熱い涙が、私の頬に落ちた。
「……愛してる。ただそれだけだった」
彼の声は静かに震えて、私の耳に重く落ちた。
「なにもしてやれない自分が、情けなくて」
「……ううん、そんなことない。貴方の気持ちは、ちゃんと伝わってた」
「……」
「ごめんね」
彼の抱きしめる力が強くなる。そのまま、強く抱きしめ合う。
「そうか……」
暫くすると、彼はそっと、私を見て微笑んだ。
「愛してる。誰よりも」
そう言って、私に口づけを落とす。
涙で頬を濡らしたまま、目を閉じると、柔らかい唇が重なり合う。
目を開けると
──もう彼は、どこにもいなかった。
「……結局、最後のお別れの挨拶もできなかった」
泣きすぎてフライトの時間を逃した私は、空港のカフェで一人ぼんやりとローマの街を眺める。
「……なんて言えばいいのか、私もわからないけど、置いていかれるって、こういう気持ちなんだね」
カフェオレのマドラーをカップの中で回す。くるくると回る表面を見ながら、泣き腫らした目を擦る。
「もうよくわかんないよ、わかんないけど……」
ローマの夜景を眺めながら、呟く。
「会いたい」
「…………いや、だからって流石に」
うろ覚えで、泊めてもらった家を探し回ったら、案外行けてしまった。夜にこんな、人の家の前で、ましてや異国の地で、突然訪問するというのも変なような……
「インターホン、押していいのかな……いや、ただ観光案内してくれたお礼が言えてないってだけで、押しかけるのっておかしいんじゃ……」
すると、ドアの向こうから怒鳴り声がする。
(ああもういい!! こうなったら日本中探し回ってでもとっ捕まえてやる……)
「え」
目の前のドアが思い切り開く。
「あだっっっ!!!」
「ハァ!!??!?」
頭にドアノブが直撃して、その場に座り込む。
「いっっったい…………」
痛すぎて涙が出てくる。流石に、頭は割れてないみたいだけど、たんこぶは出来る……! 絶対に!
「……え?? お、お前……」
「痛い……」
しゃがみ込んだまま、泣きながら見上げる。目が合うと、ロマが目を見開いたのがわかった。そのまま、ロマは思いっきり私を抱きしめる。
「……夢じゃ……ねえよな……?」
「ねえ、頭、痛い……」
「……はぁ、ほんと……お前……ちぎぃ……」
「冷やすものください……」
こめかみに頭を擦り寄せられる。照れくさくなりながら抱きしめられていると、ドアの向こうから弟くんが顔を出した。
「ヴェ……!? ゔぇえぇええええええ!?」
〜終わり〜