【異星人外交官】ライター

「地球の諸君・・・」
 新しく現れたエージェントロボットは突然話し出した。
「どういうことだ・・・」
 二人には何が起こったのか全く理解できなかった。しかし、エージェントロボットの話は続いた。

「我々は君たちに謝辞を伝えるためにこのロボットを使っている。

 まずは我々について説明しよう。君たちは3次元、または一方向にしか動かない時間軸を加えて4次元の存在であるが、我々は君たちの次元とは異なる8次元の存在である。我々には君たちが把握できるような実体がなく、概念の集合体と言う方がふさわしい存在だ。

 我々と君たちとでは次元の重なりがないため、お互いを把握することも、直接コミュニケーションを取ることもできない。これは、君たちの時空に存在する他の異星人も同じことだ。

 我々が、君たちの時空の異星人とコンタクトする場合、まず、我々は物体をコピーし、実体化させてきた。本来は異星人自体をコピーできれば良いのだが、我々には時間軸が把握できないため、異星人の中の化学反応や電子の移動が理解できない。このため、コピーできるのは無生物に限られている。

 これを繰り返すうちに、異星人側がエージェントロボットを出してくる。これはどの異星人も同じだ。我々はこのエージェントロボットを分析することで、異星人のコミュニケーション手段や言語を理解し、さらにエージェントロボットをコピーすることで異星人とコンタクトを取ってきたのだ・・・・」

 異星人の説明は続き、最後に地球文明の発展への賛辞と銀河連邦への参加の謝辞を述べ、話が終わった。そしてそこには、ライターと車とコピーされたエージェントロボットが残された。

「どうやら、我々がエージェントロボットを出したことで、コミュニケーションが成立したようだな。」
「そうですね。でも、エージェントロボットを分析したって言っていましたけど、半導体メモリーの中のデータを読んだということですよね。それって、電子がどこにあるかまで分析したということでしょ。ものすごい科学力ですね。」
「確かに、我々は必死に異星人の言語を分析する作業を行っているが、異星人の方が、科学力が高いと考えれば、向こうが我々の言語を分析してくれれば一瞬で済むことなのかも知れないな。」

「それと、物体をコピーする技術力もすごいですね。想像を絶していましたね。」
「うむ、まさにリアル錬金術だな。」
「あ、そうだ。錬金術と言えば、金塊1トンコピーしてって頼めれば良かったですね。そしたら、今頃、俺たち大富豪だったりして・・・」
「まあな・・・」
 所長は、今回の相手にとっては、地球の大富豪なんて、ものすごくスケールの小さい話なのだろうな、と思いつつ話を合わせていた。

おしまい
3/3ページ
スキ