【バランシング・ダンジョン】宿屋

【バランシング・ダンジョン】宿屋
                      -修.

「硬すぎる・・・」
 長剣二刀流のキャラの俺は、最近習得した五月雨切りを連発していた。フロアボスは、岩の魔人、一般には「ゴーレム」と呼ばれそうな姿だ。岩の魔人だけに、防衛力はあまりにも高く、素早い斬撃を数回連続して繰り出す五月雨切りも、敵のステータスをわずかずつしか削ることができなかった。1つ前のフロアでは、四刀流のタコのフロアボスと対峙して、一撃で腕二本を叩き切ることができ、簡単に攻略できたのだが・・・。

 パーティーのリーダーである魔法使いは、水の塊をぶつける魔法を出し続け、また、アーチャーは雷属性らしき矢を続けざまに放っている。そして、ヒーラーはメンバーにバフをかけたり、体力を回復したりしている。要は全員総力戦となっているが、ゴーレムはあまりにも手ごわい。どの攻撃も、目に見える戦果は上がっていない。

 この「バランシング・ダンジョン」にはいくつか特徴がある。まずは、すべての装備や持ち物、自分の筋肉にも重量の概念があり、重たいものは容赦なく体力を奪うというものだ。強力な技や魔法も同じだ。この総力戦は長くは続けられない。

 そして、もう一つの特徴。それは、一度死ぬと、コンティニューや復活の概念がなく、レベル0、持ち物0で地上からやり直しになるということだ。

 俺は今までの反省を踏まえ、最も火力がある半面、育成には倍以上の時間が掛かる長剣の二刀流を選択した。地下29階までのソロプレイでの攻略には恐ろしく時間が掛かった。なぜなら、長剣2本を振り回すには相当な腕力と体幹が必要だが、それは戦闘回数を重ねることでのみ習得することができるからだ。

 そして十分に鍛錬を積み、また各階の階段町にある宿屋の修行場で十分な訓練も積み、五月雨切りや火炎剣などいくつかの強力な技を習得することができた。反面、強力な攻撃や技は体力を大量に奪うため、常に食事を取り、体力を回復させ続けなければならない。しかし、それを考慮しても長剣二刀流は強力だった。長い時間を掛けて育成したキャラをみすみす死なせるわけにはいかない。
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