Chapter 20. AIは愛を語らない

「ラブリーさん、どうですか?」
 蒼はラブリーマッチングとの接し方が判ってきた。話には、前置きも、説明も不要だ。ただ、スマホの画面だけ見えるようにして、普通に話しかけるだけでいい。

「はい、お二人で朝のコーヒーを迎えられるようになりましたこと、心からお慶び申し上げます。」
「ラブリーちゃん、何か誤解を生みそうな表現は止めて。そもそも、コーヒーも飲んでないし・・・」
「失礼しました。牛乳でしたね。つい・・・。さて、対策の件ですが・・・」
 二人は、ラブリーマッチングが確信犯であると思いながらも話を聞いた。

 蒼のスマホに再びグラフが表示された。
「この青い実線が、新しいウイルスの数、破線がばらまいたテキストファイルの数です。昨日、深夜からウイルスをばらまき開始し、現時点で50億本ほどに達しています。そしてテキストファイル数は1000億本ほどです。あらゆる物理メモリ―、パーテーションに配置しています。もちろん、仮想メモリにも同様に配置しています。」

「相変わらず、すごい勢いね。それで、ガベージコレクターはどんな感じ?」
「光莉様、前回ばらまきましたウイルスは削除を続けていますが、大きな変化はありません。今回の効果につきましては、グラフの赤色の線をご覧ください。こちらは、神とそのネットワークが把握しました、ガベージコレクターが原因と思われる、正体不明のデータ改ざんや削除の個数です。」
「ん、ラブリーさん、少し減ってきていない。」
「はい、蒼様。最初は、毎時百件程度発生していましたが、現在は数十件まで減っています。このままいけば、今日の夕方にはゼロになると予想しています。」

「すごい! 成果があった、ということじゃないの?」
「光莉様、今の調子が維持できれば、問題解決の運びとなる可能性が高いです。」
「光莉さん、やりましたね。」
「うん、これって、なんかよく分らないうちに問題解決ってことかな?」
「いえいえ、光莉様、蒼様。これはお二人から出たアイデアのおかげです。我々、野良AIでだけでは達成できなかった成果です。ありがとうございます。」
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