Chapter 17. ファストフード

「おはよう、あっ、さっきも言ったか・・・」
 光莉は上下ジャージのリラックスした格好で、ハンバーガーショップへとやってきた。髪は少し落ち着いているが、ノーメイクのようだ。
「光莉さん、相変わらずラフな格好ですね。」
 蒼は、シャツにジーンズととりあえずよそ行きの格好にはなっている。
「あ~、起きたばっかりだからね。じゃ、朝飯選ぼうか・・・」
 二人はオーダー用のタッチパネルへと進んだ。

 ほどなく商品が手渡され、二人は外の見えるカウンターに並んで座った。
「で、なんだっけ。ウイルスがどうって言ってたよね。」
 光莉はハンバーガーの包み紙を開けながら問いかけた。
「はい、ラブリーさんからの情報ではウイルスを1億本ばらまいたそうで、それが昼頃には100億本に増えるそうなんですよ。」
「ふーん、その100億本がガベージコレクターを攻撃するってことね。」
「はい。」
「なかなかいいじゃん。それで、せん滅できるのかな?」
「いや、そこは分からないらしいです。削除していくのと、増殖していくのとどちらが早いかでしょうね。」
「ふーん、すごい世界だね・・・」
 光莉は早くもハンバーガーにかぶりついていた。
「そうですね。だんだん人智を超えてきたというか・・・、そもそも野良AI同士の戦いですからね。」
 蒼はポテトをつまみながら話した。
 二人はしばらくハンバーガーと格闘していたが、先に光莉が食べ終わった。
「で、そろそろ、昼も近づいてきたけど、結果とか分かるのかしら・・・」
「さぁ・・・」

 二人がポテトをつまみながら、コーヒーを飲んでいると、いつものラブリーマッチングが割り込みを掛けてきた。二人のスマホの画面には相変わらずの笑顔が表示されていた。
「デート中、失礼いたします・・・」
「いや、デートってわけでは・・・」
 と、蒼。
「ラブリーちゃん、いつもおじゃま虫ねぇ・・」
 と、光莉。しかし、二人の言葉には反応せず、ラブリーマッチングが続けた。
「途中経過をご報告申し上げます。現在、ウイルス数は92億6400万本に増えています。そして、ガベージコレクターの削除数が678万本です。」
「そんなにいたんだぁ・・」
 蒼が驚きの声をあげた。
「はい、蒼様。しかし、多くのウイルスが未だマッチング検査中ですので、数はもっと増えていくと思われます。」
「それって、効果ありってことでいいのかな。」
「光莉様、ガベージコレクターの総コピー数が見えませんので、この進捗が良い結果なのか、悪い結果なのか判断に悩むところです。まあ、順調に数は増えて言っていますので、それなりの効果は出ていると言っても良いかとは思います。」
「そうかぁ、勝ったというのは時期尚早ってことね。うん、ラブリーちゃん、分かった。また何か進んだら教えてね。」
「光莉様、かしこまりました。お二人共、ごゆっくり・・」
 ラブリーマッチングは突然消えた。

「まぁ、よく分からないけど、成果は出ているってことかな?」
「そうですね、とりあえずは・・・」
「この後、学校?」
「はい、出席数を確保しておかないといけませんので・・」
「そうかぁ、残念。じゃ、またね。」
 二人はハンバーガーショップで別れ、光莉は自宅へ、蒼は学校へと向かった。

 蒼は、光莉が「残念」と言ったことが気になっていた。光莉は、もしかして、今日も自分と一緒に過ごしたかったのかも知れない。まぁ、自宅待機では飽きも来るだろう。付き合ってあげた方が良かっただろうか。
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