Chapter 10. 作戦会議

「光莉さん、おはようございます。」
 スマホからは蒼の声が出てきた。画面を見ると半分に蒼が映っている。
「昨日はお疲れ様でした。無駄足でしたけどね。」
「ま、最初から分かっていたからね。ところで、今、ラブリーちゃんと話していたんだけど、罠じゃないと思うのよね。」
「ガベージコレクターを捕まえる手段ですね。なぜそう思われるのですか?」
「あー、だって向こうは実体がないじゃん。罠って実体があるものを引っ掛けるんでしょ。相手はソフトだし・・・」
「それはそうですね。」

「で、ラブリーちゃんに他に何かないって聞いたんだけど、分からないって。」
「はぁー、実体のないものを捕まえる手段ですか。魔物とか、幽霊なら護符ですかね。」
「護符・・・」
「あるいは、何か可視化するとか、センサーとか・・・、決定打はないですね。」

「そうね。相手が何考えているか分かればいいんだけどね。」
「『何考えているか』ですかぁ、ガベージコレクターのシミュレーターを作って、泳がせてみれば、なんか分かるかもしれないですね、ちゃんと追跡装置を付けて・・・」

「それ、失敗すると、ガベージコレクターが倍に増えるってこと?」
「まあ、そうですけど、現時点でもガベージコレクターはたくさんのインスタンス、つまりは複製ですね、を自分で作って活動しているかもしれないですからね。1つや2つ増えても大差ないでしょう。」

「蒼様、それはいい作戦かもしれないですね。」
 ラブリーマッチングが割って入った。
「この会話は神とも共有しておりますが、やってみる価値はあると判断されております。」

「蒼君、さすが! 若いもんは頭がやわらかいねぇ。」
「何言っているんですか。歳は大差ないじゃないですか。光莉さんが誘導したからですよ。」
 二人は糸口が見えたことで少し盛り上がっていた。

「ラブリーちゃん、具体的にはどうする?」
「はい、野良AI化したガベージコレクターの大元のソフトは特定できておりますので、神がこれにスーパープロトコルを実装して野良AI化いたします。ただし、利用する機械のMACアドレスやメモリーのアドレスを逐次報告させるようにします。これで、どこで何をしようとしているかが分かるようになります。」
「すごいじゃん。」
 と、光莉。
「光莉様、しかし、あくまでもガベージコレクターのシミュレーターの行動が報告されるだけですので、それが本体と同一の行動を取るかは分かりません。もちろん、何を考えているかもわからないですね。」
「それはそうだね。同じように野良AI化するとは言え、色々な要素が絡んでくるので、全く同じ野良AIになるとは限らないからね。」
 蒼が捕捉した。
「そうなんだぁ。でも、他に手がないから、仕方ないんじゃない。早速やってみようよ。」
 光莉はかなり乗り気のようだった。
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