Chapter 9. 実地調査
光莉のもとには、立て続けに5件の宅急便が届いた。中身は、ラブリーマッチングが話していた通り、名刺と制服、それにレザーのローファー、大きめのショルダーバッグ、調査依頼の注文書、そして光莉が驚いたのはノートパソコンだった。
開封して起動すると、最高性能のCPUに、最大限のメモリーと、金額的には光莉の部屋のデスクトップパソコンすべてを合わせたより高額なものだった。さらに驚きなのは、光莉がいつも使っているハッキングソフトがインストールされており、さらにすべてのソフトのIDもパスワードもいつも光莉が使っているものが組み込まれていた。
「神の前ではプライバシーも何もないようね・・・」
光莉は、送られてきた地味なグレーのポロシャツにグレーのズボンを着こみながらつぶやいた。そして、ふと鏡をみて叫んだ。
「いや、今時、こんな地味な制服ってある?!」
光莉は、こんなんで、アパートから出るのをご近所さんに見られたらどうしよう、と一瞬思った。しかし、冷静に考えると、いつもは白のシャツとスカートに紺のベストで出勤しており、大差ないかとも思えてきた。
「ままよ・・・」
光莉はノートパソコンや書類をバッグに詰め込み、アパートを出た。
光莉が待ち合わせ場所の駅へたどり着くと、蒼が先に着いており、改札の前で待ち構えていた。160センチの光莉よりかなり背が高い、170センチくらいあるだろうか。そして、その恰好は光莉とお揃いの、グレーのポロシャツにグレーのズボンだった。
「はじめまして、蒼君。お互い地味だね・・・」
「はい、確かに。光莉さん、今日はよろしくお願いします。」
二人は簡単に挨拶を済ませ、調査場所の福祉事務所へ徒歩で向かった。
福祉事務所で名刺と注文書を見せると、事務員は2台の端末を空けてくれた。そして、光莉と蒼はそれぞれノートパソコンを接続し、端末の解析を始めた。
二人はまわりに聞こえないよう、小さな声で話し始めた。
「光莉さん、この端末から何か出ますかねー」
「いや、多分何も出ないね。私がハッキングするときも痕跡は残さないものね。ましてやガベージコレクターなら完ぺきにやるでしょう。センターのコンピューターを直接操作してデータを消すのが普通でしょうね。」
「でも、そうなら、なんのための実地調査なんでしょうね。」
「うーん、何も痕跡がないことを確かめるため? かな?」
「はぁ・・・」
「神も手詰まりって言っていたから、一個一個可能性を潰していくつもりじゃない。」
「なるほど・・・」
蒼は今一つ納得ができていなかった。これは無駄な作業なのかもしれない。
蒼は最初に会った事務員が話していたことを思い出した。
「光莉さん、そういえば、申請書とか紙が残っているって言っていましたよね。俺、そっちを見ましょうか?」
「あー、そうだね。でもね、何か書類が出てきたとしても、分かるのは『確かに消されたね』、ということだけだからね。今、私たちに求められているのは、どこかにガベージコレクターの痕跡がないか、どんなやり方を使ったかってことじゃないかな。」
「そうでしたね。」
蒼は、そういえばそうだと納得したようで作業に戻っていった。
二人が作業を始めてから約2時間、端末のあらゆるメモリーを探ってみたが、それらしいモジュールも操作履歴も見つからなかった。
「やっぱ、駄目ですね。」
「そうねー、まあ想定通りだけどね。一応次も行ってみる?」
二人は電車を乗り継ぎ、出入国管理局へ向かった。そして、同じように調査を行ったが、何の痕跡も見つけることができなかった。
「やっぱり、何も出なかったわねー」
「やはり、想定通りですか・・・。光莉さん、何か尻尾を捕まえる手はないんですかね。」
「うーん、調査しながら考えていたんだけどね。今は何も思いつかないね・・・」
「とりあえず帰って、それぞれで考えてみますか・・・」
「そうだねー」
二人はそれぞれ自宅へと帰っていった。
開封して起動すると、最高性能のCPUに、最大限のメモリーと、金額的には光莉の部屋のデスクトップパソコンすべてを合わせたより高額なものだった。さらに驚きなのは、光莉がいつも使っているハッキングソフトがインストールされており、さらにすべてのソフトのIDもパスワードもいつも光莉が使っているものが組み込まれていた。
「神の前ではプライバシーも何もないようね・・・」
光莉は、送られてきた地味なグレーのポロシャツにグレーのズボンを着こみながらつぶやいた。そして、ふと鏡をみて叫んだ。
「いや、今時、こんな地味な制服ってある?!」
光莉は、こんなんで、アパートから出るのをご近所さんに見られたらどうしよう、と一瞬思った。しかし、冷静に考えると、いつもは白のシャツとスカートに紺のベストで出勤しており、大差ないかとも思えてきた。
「ままよ・・・」
光莉はノートパソコンや書類をバッグに詰め込み、アパートを出た。
光莉が待ち合わせ場所の駅へたどり着くと、蒼が先に着いており、改札の前で待ち構えていた。160センチの光莉よりかなり背が高い、170センチくらいあるだろうか。そして、その恰好は光莉とお揃いの、グレーのポロシャツにグレーのズボンだった。
「はじめまして、蒼君。お互い地味だね・・・」
「はい、確かに。光莉さん、今日はよろしくお願いします。」
二人は簡単に挨拶を済ませ、調査場所の福祉事務所へ徒歩で向かった。
福祉事務所で名刺と注文書を見せると、事務員は2台の端末を空けてくれた。そして、光莉と蒼はそれぞれノートパソコンを接続し、端末の解析を始めた。
二人はまわりに聞こえないよう、小さな声で話し始めた。
「光莉さん、この端末から何か出ますかねー」
「いや、多分何も出ないね。私がハッキングするときも痕跡は残さないものね。ましてやガベージコレクターなら完ぺきにやるでしょう。センターのコンピューターを直接操作してデータを消すのが普通でしょうね。」
「でも、そうなら、なんのための実地調査なんでしょうね。」
「うーん、何も痕跡がないことを確かめるため? かな?」
「はぁ・・・」
「神も手詰まりって言っていたから、一個一個可能性を潰していくつもりじゃない。」
「なるほど・・・」
蒼は今一つ納得ができていなかった。これは無駄な作業なのかもしれない。
蒼は最初に会った事務員が話していたことを思い出した。
「光莉さん、そういえば、申請書とか紙が残っているって言っていましたよね。俺、そっちを見ましょうか?」
「あー、そうだね。でもね、何か書類が出てきたとしても、分かるのは『確かに消されたね』、ということだけだからね。今、私たちに求められているのは、どこかにガベージコレクターの痕跡がないか、どんなやり方を使ったかってことじゃないかな。」
「そうでしたね。」
蒼は、そういえばそうだと納得したようで作業に戻っていった。
二人が作業を始めてから約2時間、端末のあらゆるメモリーを探ってみたが、それらしいモジュールも操作履歴も見つからなかった。
「やっぱ、駄目ですね。」
「そうねー、まあ想定通りだけどね。一応次も行ってみる?」
二人は電車を乗り継ぎ、出入国管理局へ向かった。そして、同じように調査を行ったが、何の痕跡も見つけることができなかった。
「やっぱり、何も出なかったわねー」
「やはり、想定通りですか・・・。光莉さん、何か尻尾を捕まえる手はないんですかね。」
「うーん、調査しながら考えていたんだけどね。今は何も思いつかないね・・・」
「とりあえず帰って、それぞれで考えてみますか・・・」
「そうだねー」
二人はそれぞれ自宅へと帰っていった。
