Chapter 8. マッチング
あれ以降、ラブリーマッチングと名乗る野良AIからの連絡はない。いったいいつまで自宅待機の日々が続くのだろうか、大そうな話だった割には何の動きもない。光莉はシリアルをスプーンですくいあげながら、朝のルーチンで、ネットニュースを見るべくノートPCを開いた。
「おはようございます、光莉様。」
「おおっ!」
二度目だ。画面全体にいきなり表示された、にこやかにほほ笑んだ男性の顔に驚いた。野良AIには人間の感情は分からないのだろうか。
「この表れ方、なんとかならないの? 精神衛生上、良くないわ。」
「これは、失礼しました。次回からは、フェードインで現れるようにいたします・・・」
ラブリーマッチングは一応対策してくれるようだが、いきなり出てくることは変わらないようだ。しかし、少しは進歩したと捉えるべきだろう。
「で、今日は何? もしかして任務?」
「光莉様、左様でございます。神がガベージコレクターの暴走らしき現象を探知いたしました。早速、光莉様に対応いただければと思います。」
「一体何が起こった?」
「はい、今から説明いたしますが、その前に光莉様に紹介したい方がございます。ご紹介こそ、私、マッチングアプリの真骨頂でございます。胸が躍ります。では・・・」
野良AIに胸はなかろうと突っ込もうかと思っていると、いきなり画面が切り替わり、別の男性が表示された。光莉よりは少し若いだろうか、光莉と大して変わらないスウェットを着ている。
「誰? それとも、表示キャラを切り替えただけ?」
「そっちこそ、誰?」
「失礼しました。先にお名前のご紹介をするべきでした。」
ラブリーマッチングが会話に割り込んだ。
