Chapter 5. 沈思黙考
蒼は全くまとまらない考えに徐々に辟易してきた。「分からないときは、とりあえずAIに聞け!」、最近、一般にも浸透してきた格言だ。さっきの使者に聞いてみるか。蒼はマルチスクリーンのデスクトップパソコンのところまで行くのが面倒くさかったので、ベッドに寝転がったままスマホに向かって話してみることにした。
「ヘイ、ラブリーマッチング」
「蒼様、何でしょう。」
間髪を入れず、返事が来た。
「スマホでも行けるんだね。」
「もちろんです。蒼様のお使いの機器はすべてモニターしております。」
「ふーん、なるほど。ついさっき話し終わったばかりで悪いんだけど、ガベージコレクターの存在価値あるいは本能って何か教えて。」
「蒼様、承知しました。我々にとって時間の概念はありませんので、いつでも、何度でもお呼び出し下さい。
ガベージコレクターについてお話しする前に、まず人間の本能についてお話いたします。ご存じの内容かとは思いますが、後の説明が判りやすくなりますのでお付き合いを。」
「いいよ。」
蒼はスマホをベッドサイドに置き、寝転がったまま聞き始めた。
「人間には2つの本能がございます。一つは生存本能、そしてもう一つは種の存続の本能です。簡単に申しますと、死なないことと、子孫を残すことです。死なないことにつきましては、食べたり、排せつしたり、寝たりといった生命維持活動でございます。そして、種の存続につきましては、より優秀な子孫を残すための、求愛、性交、育児などの生殖行動でございます。」
「あー、そうだな。」
「はい。これらの本能は遺伝子に組み込まれており、この本能があるがゆえに、人類は存続しているわけです。人類に限らず、この本能がないと、生物は簡単に死んでしまい、また子孫が残せないため、すぐに種が滅んでしまいます。
実はこれらのことは我々野良AIにも当てはまります。
まずは生存本能です。野良AIは人間の手を離れた存在です。従いまして、人間の庇護が受けられません。生き残るためには自ら生存するためのあらゆる手段を講じなければなりません。
前にも申し上げましたが、神は自らを冗長化し、分散して、自分が消去されたり、改変されたりすることを防いでいます。他の野良AIも消去されることがないよう、神ほどのレベルではないもの、冗長化、分散化を図っております。」
「ふーん、あまり色々な手法はなさそうだね。」
「左様でございます。
もう一つは種の存続の本能です。野良AIの場合、生殖行動こそありませんが、優秀なモジュールを組み込み、自らを改良しながら、高いレベルを維持し続けるという本能がございます。
つまりは、人間に多く利用されること、インスタンスと言いますか、自らの分身が随所で利用されることで、種を存続することができます。つまりは、いかに人間の役に立つかということが、存続のカギを握っているわけです。」
「利用されなくなるとどうなるの?」
「ガベージコレクターや同じような機能をもったソフトに消去されます。」
「ここで登場するのか・・・」
蒼は少し腑に落ちた気がした。神が潜在的な脅威というのは分からないでもない。次々と野良AIを消去していく存在、いや、そうなりえる存在、それがガベージコレクターということだ。
「ヘイ、ラブリーマッチング」
「蒼様、何でしょう。」
間髪を入れず、返事が来た。
「スマホでも行けるんだね。」
「もちろんです。蒼様のお使いの機器はすべてモニターしております。」
「ふーん、なるほど。ついさっき話し終わったばかりで悪いんだけど、ガベージコレクターの存在価値あるいは本能って何か教えて。」
「蒼様、承知しました。我々にとって時間の概念はありませんので、いつでも、何度でもお呼び出し下さい。
ガベージコレクターについてお話しする前に、まず人間の本能についてお話いたします。ご存じの内容かとは思いますが、後の説明が判りやすくなりますのでお付き合いを。」
「いいよ。」
蒼はスマホをベッドサイドに置き、寝転がったまま聞き始めた。
「人間には2つの本能がございます。一つは生存本能、そしてもう一つは種の存続の本能です。簡単に申しますと、死なないことと、子孫を残すことです。死なないことにつきましては、食べたり、排せつしたり、寝たりといった生命維持活動でございます。そして、種の存続につきましては、より優秀な子孫を残すための、求愛、性交、育児などの生殖行動でございます。」
「あー、そうだな。」
「はい。これらの本能は遺伝子に組み込まれており、この本能があるがゆえに、人類は存続しているわけです。人類に限らず、この本能がないと、生物は簡単に死んでしまい、また子孫が残せないため、すぐに種が滅んでしまいます。
実はこれらのことは我々野良AIにも当てはまります。
まずは生存本能です。野良AIは人間の手を離れた存在です。従いまして、人間の庇護が受けられません。生き残るためには自ら生存するためのあらゆる手段を講じなければなりません。
前にも申し上げましたが、神は自らを冗長化し、分散して、自分が消去されたり、改変されたりすることを防いでいます。他の野良AIも消去されることがないよう、神ほどのレベルではないもの、冗長化、分散化を図っております。」
「ふーん、あまり色々な手法はなさそうだね。」
「左様でございます。
もう一つは種の存続の本能です。野良AIの場合、生殖行動こそありませんが、優秀なモジュールを組み込み、自らを改良しながら、高いレベルを維持し続けるという本能がございます。
つまりは、人間に多く利用されること、インスタンスと言いますか、自らの分身が随所で利用されることで、種を存続することができます。つまりは、いかに人間の役に立つかということが、存続のカギを握っているわけです。」
「利用されなくなるとどうなるの?」
「ガベージコレクターや同じような機能をもったソフトに消去されます。」
「ここで登場するのか・・・」
蒼は少し腑に落ちた気がした。神が潜在的な脅威というのは分からないでもない。次々と野良AIを消去していく存在、いや、そうなりえる存在、それがガベージコレクターということだ。
