Chapter 4. 使者


「それでお願いって?」
「蒼様は『ガベージコレクター』はご存じでしょうか。」
「知っているよ。メモリーが満杯にならないように、使ってないメモリーを開放するソフトウエアだろ。それがどうしたの?」
「この度、初めて、あるガベージコレクターが野良AI化いたしました。言うまでもありませんが、ガベージコレクターの使命は不要なメモリーを開放し、PCや電子機器の効率を上げ、高速化するというものでございます。」
「今までより、手広くガベージコレクションしてくれるなら、いいことなんじゃないの?」
「はい、おっしゃる通りです。もしガベージコレクターに悪意があるのであれば、神は即座に削除したのですが、現在のところ悪意はなく、効率的に不要なデータを削除しているようです。しかし、・・・」
 彼女が言い淀んだ。ソフトウエアが言い淀むというのは、どういう状況なのだろうか、蒼にはわからなかった。

「しかし、何?」
「神は、ガベージコレクターによるデータ削除という行為そのものに、潜在的な脅威を感じているのです。そこで、蒼様に今後どうすべきか、ご意見を伺いたいというのが神のお願いです。」
 問いかけられた課題は蒼にとっては壮大すぎるものだった。まずは、何が課題なのか、何が起こりそうなのか整理しないと、次の手は出なさそうだと蒼は直感した。
「お願いは分かったけど。課題が大きすぎて即答は難しいね。少し時間をくれるかな。」
「はい、承知しました。もしご回答いただける際は、PCに向かって『ヘイ、ラブリーマッチング』って言ってもらえばすぐに参上いたします。では。」

 ポプアップウインドウは閉じ、いつものデスクトップが表示された。蒼は、画面を見つめながら、何か大きな荷物を背負わされたような気がして仕方なかった
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