【異星人外交官】にぎやかな訪問者
まゆ状の異星船の平たい下部から、何かが下りてきた。
「異星人か・・・」
そして異星人の全体が現れると、所長も部下も再び息を飲むことになった。
「やはり光っているな。」
異星人はまるでくらげのような外観をしていた。高さ3mあたりに傘があり、その周囲は異星船の外側と同様光の洪水となっていた。そして傘から垂れ下がった足は、同じように光の点滅が下から上へと動いていた。
「まあ、おそらくエージェントロボットだろうが、あの形状だと異星人は水棲生物かもしれないな・・・。あの足が傘の部分を支えられるとも思えんし・・・。」
多くの異星人は地上では生存できないケースがあり、自分たちの姿に似せた、自分たちと同じ手段でコミュニケーションができるエージェントロボットを用いていた。一方、異星人が、強力なレーザービームや、爆音や、異常な重力波でコミュニケーションを図ってきても、生身の人間が危険にさらされないため、地球側も人間と同じ姿で、色々な種類のセンサーを持ったエージェントロボットに交渉を行わせていた。
「うるせー!」
突然、部下がヘッドセットを外し、机に投げ捨てた。
「すみません。所長、外はすごい爆音がしています。」
「なんだって。」
「所長、スペクトラム解析の画面を見てください。着陸床はすごい騒音です。この光の洪水といい、爆音といい、複数のロックコンサートをスピーカーに囲まれて同時に聞いているようなものですね。」
「うむ、これも意味不明だな。音波も解析しているか。」
「はい、自動解析はスタートしていますが、光に音と情報量が多すぎでオーバーフロー気味です。」
「そうか、ならば関係機関のコンピューターにも応援を要請してくれ。」
「了解しました。」
このような事態も想定されており、非常時には関係機関のコンピューターも徴用できるしくみが整っていた。
「それから、こちらもエージェントロボットを出すぞ。」
まもなく着陸床から人型のエージェントロボットがせり上がってきた。すると異星人のロボットはすべるように近づいてきて停止した。
「いよいよ、対話の開始か・・・」
所長と部下が固唾を飲んで見守っていると、異星人は一本の足を持ち上げ、空間に図形を書き始めた。そこにはまるでガラス板でもあるかように、規則性のある図形が空間に固定されていった。
「所長、これは自然数を教えようとしていませんか・・・」
「そうだな。うちのコンピューターにはこちらの画像を解析させてくれ。」
そして数週間が経過し、ようやく異星人と意思の疎通ができるまでに達した。異星人の説明によると、予想通り、彼らは水棲生物であった。異星人は音や光を感じることはできるが、何も発することができないため、コミュニケーション手段はテレパシーのみということだった。到着したとき、地球側にテレパシーでの交信を試みたが、反応がなかったため、筆談に切り替えたそうだ。そして、彼らは筆談で正式に祝辞を伝え、表敬訪問を無事に完了した。
光と音の洪水は言語ではないことは分かったものの、彼らが去ろうとしている時点でも、各所のコンピューターは解析ができないままだった。そこで所長たちは、あの光と音のパターンは何だったのか異星人に尋ねることにした。その結果、あれは彼らの芸術家が描いた絵画や音楽であるとのことだった。地球のコンピューターで異星人の作った芸術作品を解析することは、そもそも無理な相談だったのかもしれない。異星人は、光と音の洪水をまとったまま、無言で地球を去っていった。
おしまい
「異星人か・・・」
そして異星人の全体が現れると、所長も部下も再び息を飲むことになった。
「やはり光っているな。」
異星人はまるでくらげのような外観をしていた。高さ3mあたりに傘があり、その周囲は異星船の外側と同様光の洪水となっていた。そして傘から垂れ下がった足は、同じように光の点滅が下から上へと動いていた。
「まあ、おそらくエージェントロボットだろうが、あの形状だと異星人は水棲生物かもしれないな・・・。あの足が傘の部分を支えられるとも思えんし・・・。」
多くの異星人は地上では生存できないケースがあり、自分たちの姿に似せた、自分たちと同じ手段でコミュニケーションができるエージェントロボットを用いていた。一方、異星人が、強力なレーザービームや、爆音や、異常な重力波でコミュニケーションを図ってきても、生身の人間が危険にさらされないため、地球側も人間と同じ姿で、色々な種類のセンサーを持ったエージェントロボットに交渉を行わせていた。
「うるせー!」
突然、部下がヘッドセットを外し、机に投げ捨てた。
「すみません。所長、外はすごい爆音がしています。」
「なんだって。」
「所長、スペクトラム解析の画面を見てください。着陸床はすごい騒音です。この光の洪水といい、爆音といい、複数のロックコンサートをスピーカーに囲まれて同時に聞いているようなものですね。」
「うむ、これも意味不明だな。音波も解析しているか。」
「はい、自動解析はスタートしていますが、光に音と情報量が多すぎでオーバーフロー気味です。」
「そうか、ならば関係機関のコンピューターにも応援を要請してくれ。」
「了解しました。」
このような事態も想定されており、非常時には関係機関のコンピューターも徴用できるしくみが整っていた。
「それから、こちらもエージェントロボットを出すぞ。」
まもなく着陸床から人型のエージェントロボットがせり上がってきた。すると異星人のロボットはすべるように近づいてきて停止した。
「いよいよ、対話の開始か・・・」
所長と部下が固唾を飲んで見守っていると、異星人は一本の足を持ち上げ、空間に図形を書き始めた。そこにはまるでガラス板でもあるかように、規則性のある図形が空間に固定されていった。
「所長、これは自然数を教えようとしていませんか・・・」
「そうだな。うちのコンピューターにはこちらの画像を解析させてくれ。」
そして数週間が経過し、ようやく異星人と意思の疎通ができるまでに達した。異星人の説明によると、予想通り、彼らは水棲生物であった。異星人は音や光を感じることはできるが、何も発することができないため、コミュニケーション手段はテレパシーのみということだった。到着したとき、地球側にテレパシーでの交信を試みたが、反応がなかったため、筆談に切り替えたそうだ。そして、彼らは筆談で正式に祝辞を伝え、表敬訪問を無事に完了した。
光と音の洪水は言語ではないことは分かったものの、彼らが去ろうとしている時点でも、各所のコンピューターは解析ができないままだった。そこで所長たちは、あの光と音のパターンは何だったのか異星人に尋ねることにした。その結果、あれは彼らの芸術家が描いた絵画や音楽であるとのことだった。地球のコンピューターで異星人の作った芸術作品を解析することは、そもそも無理な相談だったのかもしれない。異星人は、光と音の洪水をまとったまま、無言で地球を去っていった。
おしまい
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