ビクトリーラーメンマンシリーズ第10弾 草原の星
入口は開いたままで、のれんをくぐって中に入ると、店内はこの星ではお馴染みのミントの香りがしていた。店の奥からは、少し腰の曲がった老婆が出てきた。
「いらっしゃい・・・」
「こんにちは。メニューもらえますか。それと何かこの辺の特産品ってありますかね。」
「特産品だって。この辺はハーブしかないからね。他のところで取れるハーブと代わり映えしないよ。お勧めはハーブたっぷりのハーブラーメンだけど、まぁ、好きなのを選んでね。」
老婆はメニューを開いて差し出した。
「どれどれ・・・」
俺はメニューに書いてある料理を確かめたが、確かに目新しいものはなかった。
「すみません。お勧めのハーブラーメンをください。」
俺は老婆に届くように少し声を張って注文した。なんとなく味は予想がつくが、お勧めと言われるものを食ってみるのが正解だろう。俺はのれん越しに外に広がるハーブ園を見ながら、ぼぅーと料理を待っていた。ハーブ園には相変わらず方々に蚊柱が立っている。宇宙港ではひどい目にあった。調査に訪れた町でもいたる所に虫がおり、この星は『草原の星』じゃなくて『虫の星』に改名した方がいいのではないかと思ったほどだ。もちろん、町の食堂の中にも虫が飛んでおり、気を付けないと料理の中に虫が入ってしまうほどだった。
「ん、あれ・・・?」
俺はふと、この店の中には虫が全くいないことに気がついた。外には大量に虫が飛んでいるのに、この店には入ってこない。
「どういうこと?」
「はい、ハーブラーメンお待ちどうさま。」
老婆がお盆にラーメンを載せてテーブルに運んできた。ラーメンは予想通りハーブたっぷりで緑色のラーメンだった。いや、そこじゃない。
「ご主人、この店、虫が全く入ってきませんけど、何か対策しているのですか?」
「あー、私が虫をきらいだからね。この辺で取れる、ミント・・・なんとかっていう、舌を噛みそうな長い名前のハーブを奥で焚いているのさ。ミントの香りがするだろう・・・」
「すごい効果ですね。」
「この辺じゃみんな使っているよ。蚊だけじゃなくて、ほとんどあらゆる虫が寄って来なくなるのさ。」
「見つけた!」俺は心の中で叫んだ。これは、最高の防虫剤なのではないだろうか。
俺は調査船に戻り、課長に定期連絡を入れた。ディスプレイ越しでも、課長の美しさは際立っていた。ディスプレイだと顔がアップになるせいか、俺は見とれてしまっていた。こんなに美人だと言い寄ってくる男も多いことだろう。
「甲斐くん、お疲れ様。今日はどうだった。」
俺は我に返って報告を始めた。俺は、老婆から聞いたミントの正式名称も調べていた。
「珍しい食材は見つかっていませんが、究極の防虫剤を見つけました。名前がミントグランデ・ガイアブレイクっていうハーブで、これを焚くとほとんどの虫が寄ってこなくなるらしいです。」
「ほう、使えそうね。サンプルを持って帰ってね。」
「承知しました。」
俺は、ディスプレイの美しすぎる課長の顔を眺めていて冗談を思い付き、つい口走ってしまった。
「これを焚いておけば、課長に言い寄ってくる虫も避けられますよ。」
「ふーん。それはいいわね。でも、そっちは自分で対処できるから心配ご無用よ。」
課長は苦笑いし、それとなくかわされてしまった。そういえば、課長は美人なだけでなく、相当の切れ者だったのだ。人事の知り合いから、美しい顔にだまされてはいけない、と忠告されていたのに・・・。やってしまった・・・。俺はどんな顔でサンプルを課長に渡せば良いものか、考えあぐねて眠れない夜を過ごした。
おしまい
「いらっしゃい・・・」
「こんにちは。メニューもらえますか。それと何かこの辺の特産品ってありますかね。」
「特産品だって。この辺はハーブしかないからね。他のところで取れるハーブと代わり映えしないよ。お勧めはハーブたっぷりのハーブラーメンだけど、まぁ、好きなのを選んでね。」
老婆はメニューを開いて差し出した。
「どれどれ・・・」
俺はメニューに書いてある料理を確かめたが、確かに目新しいものはなかった。
「すみません。お勧めのハーブラーメンをください。」
俺は老婆に届くように少し声を張って注文した。なんとなく味は予想がつくが、お勧めと言われるものを食ってみるのが正解だろう。俺はのれん越しに外に広がるハーブ園を見ながら、ぼぅーと料理を待っていた。ハーブ園には相変わらず方々に蚊柱が立っている。宇宙港ではひどい目にあった。調査に訪れた町でもいたる所に虫がおり、この星は『草原の星』じゃなくて『虫の星』に改名した方がいいのではないかと思ったほどだ。もちろん、町の食堂の中にも虫が飛んでおり、気を付けないと料理の中に虫が入ってしまうほどだった。
「ん、あれ・・・?」
俺はふと、この店の中には虫が全くいないことに気がついた。外には大量に虫が飛んでいるのに、この店には入ってこない。
「どういうこと?」
「はい、ハーブラーメンお待ちどうさま。」
老婆がお盆にラーメンを載せてテーブルに運んできた。ラーメンは予想通りハーブたっぷりで緑色のラーメンだった。いや、そこじゃない。
「ご主人、この店、虫が全く入ってきませんけど、何か対策しているのですか?」
「あー、私が虫をきらいだからね。この辺で取れる、ミント・・・なんとかっていう、舌を噛みそうな長い名前のハーブを奥で焚いているのさ。ミントの香りがするだろう・・・」
「すごい効果ですね。」
「この辺じゃみんな使っているよ。蚊だけじゃなくて、ほとんどあらゆる虫が寄って来なくなるのさ。」
「見つけた!」俺は心の中で叫んだ。これは、最高の防虫剤なのではないだろうか。
俺は調査船に戻り、課長に定期連絡を入れた。ディスプレイ越しでも、課長の美しさは際立っていた。ディスプレイだと顔がアップになるせいか、俺は見とれてしまっていた。こんなに美人だと言い寄ってくる男も多いことだろう。
「甲斐くん、お疲れ様。今日はどうだった。」
俺は我に返って報告を始めた。俺は、老婆から聞いたミントの正式名称も調べていた。
「珍しい食材は見つかっていませんが、究極の防虫剤を見つけました。名前がミントグランデ・ガイアブレイクっていうハーブで、これを焚くとほとんどの虫が寄ってこなくなるらしいです。」
「ほう、使えそうね。サンプルを持って帰ってね。」
「承知しました。」
俺は、ディスプレイの美しすぎる課長の顔を眺めていて冗談を思い付き、つい口走ってしまった。
「これを焚いておけば、課長に言い寄ってくる虫も避けられますよ。」
「ふーん。それはいいわね。でも、そっちは自分で対処できるから心配ご無用よ。」
課長は苦笑いし、それとなくかわされてしまった。そういえば、課長は美人なだけでなく、相当の切れ者だったのだ。人事の知り合いから、美しい顔にだまされてはいけない、と忠告されていたのに・・・。やってしまった・・・。俺はどんな顔でサンプルを課長に渡せば良いものか、考えあぐねて眠れない夜を過ごした。
おしまい
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