N博士のドラゴン討伐
「ドラゴン・・・」
エージェントは驚きとともに小さくつぶやいた。ワニのような牙の付いた頭部からしっぽまで細長い胴体が伸びており、申し訳程度の手足と翼がついている。
「うむ、君にもそう見えるか。」
「どう見てもドラゴンですよね?」
「そうとも言えるが、正確には、ドラゴンのように見える何かが異世界から現れたということだな。カメラに映ったもの以外は何の情報もない。」
「実態が何かは分からないということですね。」
「左様。異世界自体がどんなところか分からないし、何が居るかもわからない。生物なのか、ロボットなのか。もしかしたら、幻影、あるいは多次元生物が我々の世界に落とした影のようなものかも知れん。」
「うーん、難しいですね。で、このドラゴンはどうなったんですか。」
「それがな、実験のときはラボの冷却と換気のために正面の扉を開いているのだが、そこから外に出ていってしまったのだ。」
「えー、それは大変な事態ではないですか。」
「その通りだ。だからワープ装置は一旦閉じた状態にしておる。この後もどんどんドラゴンが出てきたら困るからな。今のところ、人的にも物的にも被害は出ていないが、今後どのような事態になるか予想がつかない状況だ。なにせ素性の全く分からない相手だからな、もしかすると一撃で地球を吹っ飛ばすほどの攻撃ができるかもしれない。しかし、不幸中の幸いというか、理由は不明だが、ドラゴンはどうもこのラボ周辺に留まっているようなのじゃ。」
エージェントは急いでスマホで「ドラゴン、目撃」と検索すると、確かにラボの近くで目撃情報が上がってきていた。
エージェントはN博士が自分を呼び出した理由が判ってきたように感じた。
「N博士、もしかして自分を呼び出したのは、今後、万一被害が出た時のために事前に投資家の皆さんに情報を入れさせるためなんですね。」
「よくわかったな。さすがに長い付き合いだけのことはある。ただ、それだけではない。この2ヶ月ぼーっとしていたわけではない。わしなりの打開策を探っていたのだ。言い訳ということではないが、それも併せて投資家に話しておいて欲しい。見たまえ。」
N博士は、ワープ装置などの実験装置で満杯になっているラボの北側の壁を指さした。そこには今まで訪問した時にはなかった大きな鉄扉が作られていた。
「N博士、ラボを拡張したのですか。でも、あちら側は数mほどで道路と民家だったと思いますが・・・」
「まあ、見たまえ。」
N博士がコンソールを操作すると鉄扉がだんだん左右に開いていき、奥行き100mはあろうかという巨大な空間が現れた。
「N博士、道路や民家を買い取ったんですか?」
「いや違う。新たな実験装置を作るために50mほどの空間が必要になったので、亜空間を使ってラボを拡張したのだ。君も入ったことがあるだろう。」
「亜空間で拡張ですか・・・」
確かにエージェントはN博士の実験に同席した際、危うく亜空間に閉じ込められそうになったことがあった。エージェントはにわかに信じられなかった。亜空間を実験室に使うとは・・。停電とか地震でも安全なのだろうか。しかし、もし実用化できれば、都会の建物用地不足はすべて解決し、土地代は暴落するだろう。要は建物には廊下と扉さえあれば部屋がいらなくなるということだ。扉の奥には広大な亜空間が広がり、テニスコートでもプールでも、いやゴルフ場でも作ることができるだろう。さすが、天才と呼ばれるN博士は思い付きのようにとてつもない発明をしてしまう。投資家たちも小躍りして喜ぶだろう。
エージェントは驚きとともに小さくつぶやいた。ワニのような牙の付いた頭部からしっぽまで細長い胴体が伸びており、申し訳程度の手足と翼がついている。
「うむ、君にもそう見えるか。」
「どう見てもドラゴンですよね?」
「そうとも言えるが、正確には、ドラゴンのように見える何かが異世界から現れたということだな。カメラに映ったもの以外は何の情報もない。」
「実態が何かは分からないということですね。」
「左様。異世界自体がどんなところか分からないし、何が居るかもわからない。生物なのか、ロボットなのか。もしかしたら、幻影、あるいは多次元生物が我々の世界に落とした影のようなものかも知れん。」
「うーん、難しいですね。で、このドラゴンはどうなったんですか。」
「それがな、実験のときはラボの冷却と換気のために正面の扉を開いているのだが、そこから外に出ていってしまったのだ。」
「えー、それは大変な事態ではないですか。」
「その通りだ。だからワープ装置は一旦閉じた状態にしておる。この後もどんどんドラゴンが出てきたら困るからな。今のところ、人的にも物的にも被害は出ていないが、今後どのような事態になるか予想がつかない状況だ。なにせ素性の全く分からない相手だからな、もしかすると一撃で地球を吹っ飛ばすほどの攻撃ができるかもしれない。しかし、不幸中の幸いというか、理由は不明だが、ドラゴンはどうもこのラボ周辺に留まっているようなのじゃ。」
エージェントは急いでスマホで「ドラゴン、目撃」と検索すると、確かにラボの近くで目撃情報が上がってきていた。
エージェントはN博士が自分を呼び出した理由が判ってきたように感じた。
「N博士、もしかして自分を呼び出したのは、今後、万一被害が出た時のために事前に投資家の皆さんに情報を入れさせるためなんですね。」
「よくわかったな。さすがに長い付き合いだけのことはある。ただ、それだけではない。この2ヶ月ぼーっとしていたわけではない。わしなりの打開策を探っていたのだ。言い訳ということではないが、それも併せて投資家に話しておいて欲しい。見たまえ。」
N博士は、ワープ装置などの実験装置で満杯になっているラボの北側の壁を指さした。そこには今まで訪問した時にはなかった大きな鉄扉が作られていた。
「N博士、ラボを拡張したのですか。でも、あちら側は数mほどで道路と民家だったと思いますが・・・」
「まあ、見たまえ。」
N博士がコンソールを操作すると鉄扉がだんだん左右に開いていき、奥行き100mはあろうかという巨大な空間が現れた。
「N博士、道路や民家を買い取ったんですか?」
「いや違う。新たな実験装置を作るために50mほどの空間が必要になったので、亜空間を使ってラボを拡張したのだ。君も入ったことがあるだろう。」
「亜空間で拡張ですか・・・」
確かにエージェントはN博士の実験に同席した際、危うく亜空間に閉じ込められそうになったことがあった。エージェントはにわかに信じられなかった。亜空間を実験室に使うとは・・。停電とか地震でも安全なのだろうか。しかし、もし実用化できれば、都会の建物用地不足はすべて解決し、土地代は暴落するだろう。要は建物には廊下と扉さえあれば部屋がいらなくなるということだ。扉の奥には広大な亜空間が広がり、テニスコートでもプールでも、いやゴルフ場でも作ることができるだろう。さすが、天才と呼ばれるN博士は思い付きのようにとてつもない発明をしてしまう。投資家たちも小躍りして喜ぶだろう。
