家政婦 No.META 格闘キーボード

 「準備ができました。細かい説明を少々いたします。運動強度はレベル1から30まで用意されています。1から9までは叩いていただく強さが変わります。レベル9ではかなり強く叩かないと入力できません。10から19までは私が少し前後左右に動きますので、私の動きを見ながらパンチなどを繰り出していただく必要が出てきます。20以降は私がミットでジャブを出しますので、それをよけながらの入力となります。まずはレベル2から始めましょう。いつでもどうぞ。」
 ミータは少し腰を落として構えた。これはキーボードというよりスパーリングマシンが正しいのではないだろうかと思いつつ、まずは試しにと俺はパンチを続けて繰り出した。
 「えい、やー、ほれ、・・・」
 H、O、U、K、O、K、U、S、H、O、Space、Returnと10発のパンチと2発のキックにより、ミータの頭上に「報告書」の文字が表示された。
 「うーん、なかなかしんどいかも・・」
 「大丈夫です。誰でも最初はそんなものです。」
 ミータがなぐさめてくれたが、俺は既に腕がだるくなってきていた。「報告書」の後、改行して3行ほど文章を入力したところで力が尽きた。
 「ミータ、これはきついな。もう腕が上がらないぞ。」
 「ご主人様、お疲れ様でした。今日はもう十分かと思います。お試しキャンペーンは1カ月間あります。継続が大事ですので、また明日の食後にでも数分間行われてはどうでしょうか。」
 「そうするよ。」
 確かにこれはきつい。しかし、リモートワークで実際に使うためには、かなり筋肉を付けないといけないだろう。

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