家政婦 No.META 格闘キーボード

 「そこで、今回のお試しキャンペーンですが、なんと、お仕事をしながら運動ができるという、夢のようなシステムのご提案です。」
 「夢のような」は大変あやしいが、ミータの提案なので何らかの根拠があるものに違いない。
 「いったい、どうやってそんな夢のようなことができるの?」
 「しばらくお待ちください・・・」
 ミータは部屋の奥から、少し大きめの段ボール箱を抱えてきて、中から何かを取り出した。
 「これがご主人様用のARバイザー付きヘルメットでございます。ご主人様の頭のサイズ、目の間の長さ、視力に応じて作成されております。奥様用も別に用意しております。まずはこれを被ってみてください。」
 俺は言われたとおりにヘルメットを頭に被ってみた。
 「おー、なんだ、これは?」

 ARバイザーを通してミータと見ると、ミータを取り囲むように円筒状のキーボードが表示されていた。お腹のあたりは「A、I、U、E、O」の子音キー、胸のあたりには「K、S、T、N、・・・」などの母音キーが表示されている。そして左の脇腹あたりに「Return」キー、右の脇腹あたりには「Space」キーが表示されている。
 「キーボードのようだが・・・」
 「左様でございます。これをパンチか、キックしていただくことで文字入力ができるようになっております。文字種切り替え、後退、カーソルは口頭での指示となります。入力された文字は上部に表示されます。」
 「これを叩けってことだな。」
 ミータを見るといつの間にか両手にミットをはめている。
 「はい、ご主人様がキーを叩かれますと、私がすべてミットで受け止めます。その際、衝撃を吸収しますので、ご主人様の手や足に過剰な衝撃が加わることもありません。なお、私の反応速度は人間の5倍、腕の移動速度は3倍ほどありますので、受け漏らしはありません。ご安心ください。」
 「なるほど、よく考えられているな。ちょっと試してみようかな。」
 「かしこまりました。」
 俺がコーヒーを片手にキッチンの方へ退避すると、ミータがソファーやテーブルを動かしてスペースを作ってくれた。
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