ビクトリーラーメンマンシリーズ第9弾 海洋宇宙船

 第4惑星の宇宙港では、網をぶら下げているため、慎重に着陸操作が行われた。
 「さて、皇帝イカは大丈夫だっただろうか。うまく冷凍されていれば良いのだが・・・」
 船長は急ぎ足で網の方へ駆け寄り、甲斐もそれに続いた。
 「ん、皇帝イカが細切れになっている。内臓は食われてしまったようだな。」
 船長は網を見渡した。
 「あー、ノコギリザメが網に交じっていたのか。こいつがイカを切り裂いて、内蔵を食ってしまったようだ。いや、しかし・・・」
 船長も甲斐も、イカの表面から何やら香ばしい匂いがすることに気がついた。よく見るとイカの表面が乾燥しているように見える。
 「ん・・・」
 船長はナイフを取り出し、イカの表面を少し削り取り、口に運んだ。
 「おー、これは・・・」
 そして船長は削り取ったイカを甲斐にも渡した。甲斐は一口食べて叫んだ。
 「うまい。これはスルメですね。いや、最高においしい。でも何でスルメになったんでしょうね。」
 「もともとが皇帝イカだから、うまいのは当然だが・・・、うむ、ノコギリザメがイカをさばいてくれて、ロケットであぶって乾燥させたってことかな。これまた高く売れそうだ。」

 甲斐は自分の調査船に戻り、報告するために課長を呼び出した。課長は相変わらず、自宅の部屋のような背景で、同じような格好で画面に現れた。しかし、少し顔が赤いようにも見える。
 「課長、今日の漁に同行しましたが、特に珍しい食材はありませんでした。ただ、皇帝イカというもともとおいしいイカが取れたんですが、偶然にもそれがスルメになって最高レベルにおいしいものになっていました。これは高額で売れると思います。」
 「え、スルメだって。それはいいね。しかも最高にうまいって。こっちも欲しくなってきたよ。ははは・・・」
 何か課長の様子がおかしいと甲斐は感じた。
 「課長、もしかして飲んでいるんじゃないですか。そこ、居酒屋でしょ。」
 「いや、いや、違う、違う。」
 課長はブルブルと首を横に振ったが明らかに酔っているようだった。そして次の瞬間、それは決定的となった。
 「はい、ビールお待ちぃ。」
 画像の横から、店員の手に持たれたビールジョッキが突然現れた。
 「あ、すみません。スルメ1つ追加で・・・」
 甲斐と通話中にも関わらず、課長は店員に追加オーダーしていていた。
 「甲斐くん、そのおいしいスルメのお土産もよろしくね。じゃあね。」
 課長は甲斐にもオーダーして一方的に通話を切った。甲斐は「やれやれ、さすがワークライフバランス重視!」と思いつつも、明日の漁に備えて、今晩は船長からもらった皇帝イカのスルメで晩酌しようと心に決めていた。

おしまい
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