ビクトリーラーメンマンシリーズ第9弾 海洋宇宙船

 船長の願いが通じたのか、その日の漁獲量は相当のものだった。数回の網の投入で保管庫はほぼ満杯になっていた。甲斐は網が上がるたびに魚介や甲殻類をチェックしたが目新しいものはなかった。
 「それじゃ、最後の網を上げるぞ。」
 そのとき乗組員がスピーカーから船長に報告があった。
 「船長、網に5mくらいの皇帝イカが入っています。保管庫に入らないです。」
 「おー、皇帝イカが入ったか。甲斐さん、皇帝イカって数週間前にも獲れたんだど、かなりおいしくて、市場でも高値で買ってもらえたのだ。それで皇帝イカって名付けたんだがね。今日は運がいいな。」
 「乗組員の方が、何か保管庫に入らないって言っていたようですけど・・・」
 「あー、そうだな。小さい魚ばかりだったら、デッキで仕分けして保管庫に入らなかったやつはリリースしようと思っていたんだが、皇帝イカは手放すには惜しいな。」
 船長はマイクを手に取り、乗組員に指示を出した。
 「最後の網は最後まで巻き取るな。100mくらい残してぶら下げたまま離水する。」
 「了解しましたぁー。」
 乗組員から威勢の良い返事が返ってきた。
 「えっ、外に網を出したまま宙航するんですか。」
 甲斐は思わず船長に問いかけた。
 「まあ、宇宙に出た瞬間冷凍されるから大丈夫だろう。もし、うまくいかなくても、ダメでもともとだから・・・」
 「はぁ・・・」

 かくして海洋宇宙船は皇帝イカの入った網を外にぶら下げたまま、左右と後方のフラップを閉じ、重力制御装置で離水し、上昇を開始した。そのとき操縦桿を握っていた乗組員が船長に報告した。
 「船長、荷物が重すぎで上昇速度が遅いです。エネルギーが厳しいですね。」
 「うーん、困ったな。皇帝イカをぶら下げているせいだな。しかたがない、船体を傾けて、ロケットエンジンで上昇を補助しろ。」
 「了解。」
 海洋宇宙船は轟音を立てながら、スムースに上昇を開始し、無事に第4惑星にたどり着いた。
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