ビクトリーラーメンマンシリーズ第9弾 海洋宇宙船

 そして今回は、このリモートワーク課長が上司となっていた。出張から戻った日から毎日リモートワークで実際に会ったことはない。今回の課長は至って普通の外見で、かつ普通の応対なのだが、何よりワークライフバランスを重要視しているらしく、ややもすると「静かな退職」組なのかもしれない。

 「甲斐さん、レグルス星系の第3惑星って知っていますか?」
 「いえ、詳しくは知りません。」
 「そうですか。この星は海しかない星なんですけど、数ヶ月前から当社で漁をするようになったんですよ。」
 「うちが初めて魚を取り始めたってことですか。」
 「そうなんです。ここは本当に海しかないので、宇宙船が着陸できないのです。まあ、空中に浮かんだまま漁をすることもできなくはないですが、相当エネルギーを食うので現実的ではありません。そこで当社の技術の粋を集めて、漁ができる離着水可能な宇宙船を作ったんです。言わば『海洋宇宙船』ですね。で、まあ新たな海ということで、何か珍しい食材がないか見極めてきて欲しいんですよ。」
 「出張ですね。レグルス星系だと片道3週間程度ですね。分かりました。」
 「あ、行く先は第4惑星です。そこの宇宙港で海洋宇宙船に乗り換えてください。」
 「了解です。」

 俺は、今まで調査実績から、操縦席と小さな寝室と簡易シャワー室の3室構成の少し豪華な調査船を与えられていた。今回は片道3週間と比較的短い宙航のためコールドスリープは使わず、今まで第3惑星で獲られた魚介類の画像、成分、味などのデータを分析しながら過ごした。
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