クォーター
私は専門学校で講義を受けた後、少し買物をして家に帰る途中だった。そして、家に向かって歩いていると、グレーのスーツを着たビジネスマンらしき男がスマホと辺りを交互に見ていた。どうも道に迷っているようだ。私は、対応するのが面倒くさいので、声を掛けられないように少し距離を置いて歩き去ることにした。しかし、男の動きはすばやかった。
「あの、すみません。駅はどっちに行けばいいんでしょうか。方角が分からなくなってしまって・・」
私は見つめすぎないように男をちらっと見た。男は30歳前後だろうか。内勤なのか色白で、おどおどしている感じだ。
「え、どこの駅ですか?」
いかん、つい答えてしまった。
「えー、渋谷のコンベンションホールで日本医学会があった帰りで、千葉に帰りたいのですが、どこの駅がいいかもよく分からなくて・・・」
こいつ医者なのか。確かに、いつも軽く声を掛けてくるチャラい男たちとは違うようだ。私は「日本医学会」の言葉に引っ掛かって、話が飛んでしまった。
「え、どこに帰るんですって・・」
「あー、千葉です。」
「千葉ですね。」
ふーん、千葉の医者か。この若さなら開業医ではないだろうが・・・。私は、少し興味が出て、また男の顔を見つめてしまった。おどおどしているが、誠実そうな顔に見える。少なくとも嫌いなタイプではない。そして、いかん、長く見つめすぎたと思った瞬間、男は私から目をそらした。
「えっ・・」
私は驚いた。目をそらされたのは初めてことだった。どんな男でも見つめあったまま固まってしまうはずなのに・・・。
「あの、えーと・・・」
私から道案内の話は飛んでいき、全く未経験の事態にうろたえてしまった。
「すみません。あまりにお美しいので・・・」
シャイなため私を見つめ続けることができなかったということか。私はこの男となら、何か付き合っていけそうな気がし始めていた。
おしまい
「あの、すみません。駅はどっちに行けばいいんでしょうか。方角が分からなくなってしまって・・」
私は見つめすぎないように男をちらっと見た。男は30歳前後だろうか。内勤なのか色白で、おどおどしている感じだ。
「え、どこの駅ですか?」
いかん、つい答えてしまった。
「えー、渋谷のコンベンションホールで日本医学会があった帰りで、千葉に帰りたいのですが、どこの駅がいいかもよく分からなくて・・・」
こいつ医者なのか。確かに、いつも軽く声を掛けてくるチャラい男たちとは違うようだ。私は「日本医学会」の言葉に引っ掛かって、話が飛んでしまった。
「え、どこに帰るんですって・・」
「あー、千葉です。」
「千葉ですね。」
ふーん、千葉の医者か。この若さなら開業医ではないだろうが・・・。私は、少し興味が出て、また男の顔を見つめてしまった。おどおどしているが、誠実そうな顔に見える。少なくとも嫌いなタイプではない。そして、いかん、長く見つめすぎたと思った瞬間、男は私から目をそらした。
「えっ・・」
私は驚いた。目をそらされたのは初めてことだった。どんな男でも見つめあったまま固まってしまうはずなのに・・・。
「あの、えーと・・・」
私から道案内の話は飛んでいき、全く未経験の事態にうろたえてしまった。
「すみません。あまりにお美しいので・・・」
シャイなため私を見つめ続けることができなかったということか。私はこの男となら、何か付き合っていけそうな気がし始めていた。
おしまい
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