究極と呼ばれたコンピューター

 俺は紅潮し、血糖値がスペースシャトルの発進のように上昇し、何号目かのスペースシャトルのように吹っ飛んだ。誰かが俺の横にいれば、俺の手に持ったシャープペンシルの芯が砕け、さらに先の方がぐにゃっと曲がっていったのが見られたはずだ。とは言っても俺は超能力があるわけではない。単に腕に力が入っただけである。

 「int {x} (Ps - ζs) = div sum from {p} {ζ ds}、うーん・・・」

 俺は配られてきた問題を見てうなった。なんとかしなければならない。さもなければもう1年学生を余分に続けなければならない。しかも自分で学費を稼ぎながら。

 「うーん・・・」
 俺は問題を見ながら再びうなりまくった。やがて小刻みに震えていた。
 「そうだ!」
 俺の頭に閃光ごとく解決策が浮かび上がった。俺の頭も捨てたものではない。なんでこんなに頭が良いのに単位を落としたのか。俺は解決策が閃いた自分に感心した。

 俺は、親父が朝飯を食いながら、研究室で強力なコンピューターが使えるようになったと話していたのを思い出したのだ。何でもどこかのどでかいコンピューターにつながっているそうで、セールスマンは不可能なことがない究極のコンピューターだと自慢していたそうだ。

 俺は試験問題を片手に持って裏口からこっそり抜け出した。自分で言うのもなんだが、講義からのエスケープには絶大な自信がある。俺は再び砂浜の幻影を見ながら、広いキャンパスを隣の学部にある親父の研究室へと走った。こいつを手っ取り早く片付けて海へ一直線だ。
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