【バランシング・ダンジョン】二刀流

 俺は最初のうちは、片手剣、槍、ナイフ、弓などいろいろな武器を試してみたがどれもしっくりこなかった。階層が深くなった時にも十分敵と戦える武器やスキルを求めた結果、軽めの長剣と短剣の組み合わせが最も有効だろうと判断した。二刀流では、片手で剣を保持し、振り回すための握力と腕力が必要で、獲得には時間が掛かる点が不利だが、慎重にダンジョンを攻略すると、自然に十分な握力と腕力が身に着くので逆に好都合だった。双剣も検討したが、素早い敵には短剣で戦い、強い敵には長剣を振り下ろしつつ横から短剣で刺すといった攻撃もできるため、この二刀流は強さと経済性のバランスが良いと感じていた。慣性力の高い物理攻撃は防ぎきれないが、装備重量が軽い分、素早く逃げることができる。慣れのせいもあるだろうが、地下20階以降は割と楽に進めることができた。

 さて、酒場では各プレイヤーのスキルに応じて、またこの後2時間ほどプレイできそうな候補から、推奨されるチーム編成が掲示されていた。だいたい、剣士や格闘家などの前衛アタッカー、ランサー(槍使い)や魔法剣士などのミドルアタッカー、魔法使いやヒーラー(治癒師)などのサポーターの4、5名で構成されている。また、これまでの戦歴から判断して自動的にリーダーも指定されている。もちろん、誰か気の合わないプレイヤーが居れば参加拒否もできる。

 俺は、今までソロプレイのみで、初めて酒場に来たため他のプレイヤーを避ける理由もなく、推奨通りのチームに入った。他のメンバーも推奨通りで確定したようだ。リーダーは珍しくヒーラーだ。このRPGでは初めてのチーム戦だが、他のRPGでヒーラーがリーダーとなるのはあまり例がない。もとは剣士だったとか、戦略がずば抜けているということだろうか。

 リーダーはメンバーの並び順を決めた。
 「ん、先頭は俺・・・」
 まぁ、確かに二刀流は剣士には違いなく、まあまあ鍛えているとはいうものの、このようなキワモノを先頭に据えるか・・・。二刀流はソロプレイで経済的に生き残る戦略には好都合だが、チームプレイの先頭には、火力の大きい両手剣の剣士とか、破壊力の大きい格闘家、もしくは強力な盾を持ったプロテクターを据えるべきではないだろうか。リーダーがヒーラーなので、二刀流のことをあまり理解していない可能性もある。もし、相手が強力な攻撃を仕掛けてきた場合、真っ先に死ぬことになるのではないだろうか。苦労して地下30階までたどり着いたのに、地下31階で死にたくはないのだが・・・。

 とは言え、リーダーの決定を覆す機能はなく、チーム攻略が始まった。最初は雑魚キャラが多く、二刀流のバランスの良さが有効に働いた。チャットでは、他のプレイヤーから結構な賞賛を浴びることができた。チームは順調にクエスト進め、地下31階のラスボスに辿り着いた。

 そして俺はラスボスの姿を見て絶句した。ラスボスはタコのモンスターだった。4本の足で全体を支え、残り4本の脚にはそれぞれ刀をもっている。四刀流・・・。
 「2本足りないな・・・」
 俺は死を覚悟した。

おしまい
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