N博士の猫
「確かにそうですね。もしかしたら、また何か作ったんではないですか。」
「察しがいいな。猫の行動を監視するには猫が最適だろう。だから、猫型ロボットを作ったのだ。」
「もしや、丸っこくて青色の、耳のない奴ですか?」
「君は何を言っているんだ。百聞は一見にしかずじゃ。ロデム!」
エージェントは扉から入ってきたロボットを見て息を飲んだ。そこには1mはあろうかという漆黒の豹が居た。
「これが猫型ロボット・・・、どちらかと言えば黒豹のような・・・。名前はロデムですか・・・」
「左様。超高性能指向性マイクだの、フェーズドアレイアンテナだの、磁力センサーなど、色々なセンサーを組み込むためにはこの大きさが必要なのだ。目の部分はサファイヤ・ルビーレンズの高感度カメラを使っておる。定番だな、豹だけに。そしてデータの処理には、Nダッシュの頭脳になっているスーパーコンピューターと量子コンピューターの半分ほどの領域を使用しておる。そして、なぜか『ロデム』という名前がひらめいたので、そう呼ぶことにした。毛並みもよかろう。」
「また、すごいのを作りましたね。」
「いや、センサーと情報処理以上に力を入れたのが、駆動系じゃ。猫の後を付いていくために、ほとんど音のしない、しなやかな歩きとか、キャットウォークも平気で通れるバランス性能を持っておる。」
博士は、壁に作られたキャットウォークを指さした。あのキャットウォークをこの黒豹が軽々とわたっていくのだろうか。エージェントは、以前のサポートロボットも同様だが、この黒豹ロボットもすごい発明品だと感じた。きっと、兵器用として引き合いが多いことだろう。
「それで、この1週間、ロデムに猫の後をついて行かせてみた。」
「何かわかりましたか。」
「それがな、何も検知できなかったのだ。何度か猫が立ち止まって何かを見つめるシーンはあったが、別に何か音がするわけでも、視線の先に何かあるわけでもなかった。もちろん、それ以外の臭いも、電磁波も、重力波も、磁力線も検知できなかった。」
「そうですか。難しいものですね・・・」
「うむ。そこでセンサーを増やしてみた。まずは異次元空間を見ている可能性を検証するためにドップラー空間干渉計と、過去や未来を見ている可能性を検証するため時空変位センサーも追加してみた。」
エージェントは、N博士は当たり前のように話しているが、そのようなセンサー自体がものすごい発明であり、投資家たちはきっと大喜びするだろうと思ったが、その場は平静を装い、聞き流すことにした。
「で、どうなりました。」
「やはり何も検出できなかった。猫とは不可解なものだ・・・」
N博士は猫をなでながら何か感慨にふけっているようだった。
エージェントは、猫が立ち止まって何かを見つめているとき、実はただぼーっとしている場合があることをN博士に伝えたほうが良いのか迷ったが、黒豹のロボットや画期的なセンサーまで作ったN博士に悪いので黙っておくことにした。
おしまい
「察しがいいな。猫の行動を監視するには猫が最適だろう。だから、猫型ロボットを作ったのだ。」
「もしや、丸っこくて青色の、耳のない奴ですか?」
「君は何を言っているんだ。百聞は一見にしかずじゃ。ロデム!」
エージェントは扉から入ってきたロボットを見て息を飲んだ。そこには1mはあろうかという漆黒の豹が居た。
「これが猫型ロボット・・・、どちらかと言えば黒豹のような・・・。名前はロデムですか・・・」
「左様。超高性能指向性マイクだの、フェーズドアレイアンテナだの、磁力センサーなど、色々なセンサーを組み込むためにはこの大きさが必要なのだ。目の部分はサファイヤ・ルビーレンズの高感度カメラを使っておる。定番だな、豹だけに。そしてデータの処理には、Nダッシュの頭脳になっているスーパーコンピューターと量子コンピューターの半分ほどの領域を使用しておる。そして、なぜか『ロデム』という名前がひらめいたので、そう呼ぶことにした。毛並みもよかろう。」
「また、すごいのを作りましたね。」
「いや、センサーと情報処理以上に力を入れたのが、駆動系じゃ。猫の後を付いていくために、ほとんど音のしない、しなやかな歩きとか、キャットウォークも平気で通れるバランス性能を持っておる。」
博士は、壁に作られたキャットウォークを指さした。あのキャットウォークをこの黒豹が軽々とわたっていくのだろうか。エージェントは、以前のサポートロボットも同様だが、この黒豹ロボットもすごい発明品だと感じた。きっと、兵器用として引き合いが多いことだろう。
「それで、この1週間、ロデムに猫の後をついて行かせてみた。」
「何かわかりましたか。」
「それがな、何も検知できなかったのだ。何度か猫が立ち止まって何かを見つめるシーンはあったが、別に何か音がするわけでも、視線の先に何かあるわけでもなかった。もちろん、それ以外の臭いも、電磁波も、重力波も、磁力線も検知できなかった。」
「そうですか。難しいものですね・・・」
「うむ。そこでセンサーを増やしてみた。まずは異次元空間を見ている可能性を検証するためにドップラー空間干渉計と、過去や未来を見ている可能性を検証するため時空変位センサーも追加してみた。」
エージェントは、N博士は当たり前のように話しているが、そのようなセンサー自体がものすごい発明であり、投資家たちはきっと大喜びするだろうと思ったが、その場は平静を装い、聞き流すことにした。
「で、どうなりました。」
「やはり何も検出できなかった。猫とは不可解なものだ・・・」
N博士は猫をなでながら何か感慨にふけっているようだった。
エージェントは、猫が立ち止まって何かを見つめているとき、実はただぼーっとしている場合があることをN博士に伝えたほうが良いのか迷ったが、黒豹のロボットや画期的なセンサーまで作ったN博士に悪いので黙っておくことにした。
おしまい
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