N博士の猫

 「そしてもう一つの理由は、やはりワープの研究は大変で、わしも少し力が尽きつつあったのだが、妻から猫でも飼って癒してもらったらどうかと言われたからだ。」
 「奥様ナイス!」エージェントは心の中でつぶやいた。
 「そうだったんですね。もふもふは癒されますからね。」
 「左様、わしもリラックスできて研究も徐々に進んできている。しかしな・・・」
 エージェントは、またN博士の気まぐれが始まったと予感した。
 「しかし・・・、なんですか?」
 「うむ、君は猫を飼ったことがあるかな。飼ったことがあれば分かると思うが、猫はときどき何かをじっと見つめることがあるだろう。」
 「そうですね。よく聞きます。」
 「この猫もときどき立ち止まって何かを見つめるのだ。しかし、その先にはなにもない。」
 「小さな音がするとか、小さな虫が居るとかじゃないですか・・・」
 「一般的にはそう言われておる。だが、科学者として、猫が何を見つめているのか大変気になってなぁ・・・」
 エージェントは、N博士がまた脱線を始めたと確信した。しかし、これはいつものことで、もしかすると大発明につながるかもしれないため、決して否定はしないことにしていた。
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