N博士の猫

N博士の猫
                          -修.

 「N博士、その猫どうしたんですか?」
 投資家のエージェントはN博士のラボを再び訪れていた。N博士は重力制御の権威であり、そして千年に一度の天才と言われていた。そして最近、遂に重力制御を完成させ、投資家に大きなリターンを与えることができた。その結果、投資家は更なるリターンを期待して、新しいラボと潤沢な研究費を与えていた。エージェントは定期的にN博士のもとを訪問して、新たな研究成果がないか確かめていたのだ。

 「この猫は近所のペットショップで売っていたものだ。」
 N博士の膝の上には小さな三毛猫が眠っていた。
 「いや、それより、またどうして猫を飼う気になったんですか?」
 N博士は猫を優しく撫でながら答えた。
 「あー、理由か。理由は2つある。一つは、前に作った研究サポートロボットがうまく動くようになったためだ。
 「ワープの研究を手伝わせる予定だった『Nダッシュ』ですね。いったい、どんな手を使って研究を再開させたんですか?」
 「うむ、いい質問だ。わしの知り合いに心理学者が居るのだが、そいつからロボットに自信を持たせるのが良いだろうとアドバイスをもらったのだ。そこでロボットに『君ならできる。大丈夫だ。』などと声を掛けておったら、無事、ワープの研究に戻ってくれたのだ。」
 「そうなんですね。これで研究が進みますね。」
 エージェントは、研究サポートロボット「Nダッシュ」はN博士の考え方や行動パターンをシミュレートしているが、心理学者はN博士の性格を熟知しているのだろうと思った。もし、今度N博士が研究に行き詰まったら、自分もN博士に自信を持たせる言葉を掛けてみようとほくそ笑んだ。


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