ビクトリーラーメンマンシリーズ第8弾 コスプレイヤー

 「ちょっと無理があるよな・・・。」
 俺は操縦席と小さな寝室と簡易シャワー室の3室構成の調査船の中でつぶやいた。宙航に片道1ヶ月も掛けて出張してコスプレイベントに参加なんて・・・。何か、報告書に書けるような食材が見つかるのだろうか。俺はぶつぶつ言いながらコールドスリープに入っていった。

 1ヶ月後、俺はタイマーで目覚めて、トナティウ星系のイベント会場に降り立った。この辺境の地でのコスプレイベントは珍しいのか、会場も広ければ、参加者も多く、数多くの出店も並んでいた。そして会場には様々なコスチュームのコスプレイヤーたちが集まっていた。俺は、分からないなりに良さそうなコスプレを撮影しまくった。

 そして、まあこれだけ撮影すればよかろうと思ったところで写真を課長に送信し、今度は出張目的、いやアリバイ作りの食材探しを始めることにした。まずは会場内の出店を回って、何もなければ会場を出て、周辺地域を探索する計画だった。

 会場には巨大な天幕が張ってあり、出店も、通路も、飲食スペースもすべて天幕に覆われていた。俺は最初の出店に立ち寄った。
 「お客さん、この星は初めてですか。トナティウ名物、トナティウ・ハヤブサの焼き鳥串はいかがですか。トナティウ・ハヤブサは、この星では最強の飛行生物なんですよ。ここいらの出店が全部天幕に覆われているのは、焼き鳥を持っていると上空からトナティウ・ハヤブサが時速400kmくらいで急降下してきて取って行ってしまうからなんですよ。なので、天幕の外には持ち出さないでくださいね。」
 俺は、手渡された、肉片が4つ刺してある焼き鳥串を食べ始めた。味は凡庸なもので、それほどおいしいとは思えなかった。そして4つ目の肉にたどり着いたとき、俺は味に違和感を覚えた。肉の味には違いないが、何か貝のような風味が混ざっていたのだ。しかし、辺境の食べ物でもあり、そのようなこともあるだろうと無視することにした。
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