ビクトリーラーメンマンシリーズ第8弾 コスプレイヤー
ビクトリーラーメンマンシリーズ第8弾 コスプレイヤー
―修.
「甲斐くん、ちょっといい?」
俺は席を立ち、課長のほうへと向かった。課長の机には、所々が尖った黒いプレートアーマー(全身鎧)に、リップを引いた口元だけ開いた黒い兜を被った女性が座っている。そして席の横にはこれまた真黒な三又のやりが立てかけてある。コスプレイヤー課長・・・。
前回の出張から戻ったときは、真っ赤なチェストプレート(胸当て)とタセット(腰回りの鎧)のみで露出の多いコスチュームに驚いたが、数日経つと人間慣れるもので今はどんな格好でも普通に話せるようになった。この格好で毎日自宅から電車通勤しているらしく筋金入りだと思う。何かのキャラのコスプレなのだろうが、ほとんど出張で宇宙に居る俺には分かるはずもなかった。
人事の知り合いに聞いたところ、以前は営業担当だったがコスプレのまま外回りの営業も行っていたそうで、コスプレ好きの取引先には受けが良かったらしい。しかし、この部署の課長になったのは、以前の営業部門が持て余して、体よくお払い箱にしたのではないかと言っていた。
俺は、人呼んで「ビクトリーラーメンマン」。とは言っても別に格闘家ではない。俺は汎銀河コングロマリット「ビクトリー・ラーメン社」の食材調査担当の単なるサラリーマンだ。ビクトリー・ラーメン社は「食」と名のつくものならなんでも扱っている。食品はもちろん、食道がんの治療薬や、食器洗浄機なんていうのも扱っている。そして、人々は我々社員をビクトリーラーメンマンと呼ぶのだ。
俺は宇宙中を駆け巡って新たな食材を探すという職務のため数ヶ月の長期出張が多い。出張のきっかけは課長からの指示なのだが、出張から帰ってくるとその課長は異動となっており、新たな課長に出張報告をするということがほとんどである。
そして今回は、この女性コスプレイヤーが新しい課長となっていた。声の感じから言って、歳は俺より、2、3歳上だろうか。出張から帰って数日たつが、いつも兜やマスクを被っているか、露出しているときでも濃いメイクのため、素顔は見たことがなかった。
「甲斐さんに行ってもらいたいところがあるの。実は、辺境のトナティウ星系でコスプレイベントがあるのね。知っていると思うけど、私、ここに来る前は営業担当で自由に休みが取れていたので、2ヶ月くらい休みを取ってこのイベントに参加しようと思っていたのよ。でも、ここの課長になっちゃったんで、そんな長期の休みは取れそうにないの。そこで、代わりに甲斐さんに行ってもらいたいのよ。」
「えっ、俺がコスプレするんですか。」
「いやいや、コスプレはしなくていいから、会場で写真を撮ってきてくれればいいわ。」
「あー、びっくりした。しかし、公私混同になりませんかね。」
「いや、もちろん食材調査がメインの目的よ。辺境の地だから何か珍しいものがあるかもね。」
―修.
「甲斐くん、ちょっといい?」
俺は席を立ち、課長のほうへと向かった。課長の机には、所々が尖った黒いプレートアーマー(全身鎧)に、リップを引いた口元だけ開いた黒い兜を被った女性が座っている。そして席の横にはこれまた真黒な三又のやりが立てかけてある。コスプレイヤー課長・・・。
前回の出張から戻ったときは、真っ赤なチェストプレート(胸当て)とタセット(腰回りの鎧)のみで露出の多いコスチュームに驚いたが、数日経つと人間慣れるもので今はどんな格好でも普通に話せるようになった。この格好で毎日自宅から電車通勤しているらしく筋金入りだと思う。何かのキャラのコスプレなのだろうが、ほとんど出張で宇宙に居る俺には分かるはずもなかった。
人事の知り合いに聞いたところ、以前は営業担当だったがコスプレのまま外回りの営業も行っていたそうで、コスプレ好きの取引先には受けが良かったらしい。しかし、この部署の課長になったのは、以前の営業部門が持て余して、体よくお払い箱にしたのではないかと言っていた。
俺は、人呼んで「ビクトリーラーメンマン」。とは言っても別に格闘家ではない。俺は汎銀河コングロマリット「ビクトリー・ラーメン社」の食材調査担当の単なるサラリーマンだ。ビクトリー・ラーメン社は「食」と名のつくものならなんでも扱っている。食品はもちろん、食道がんの治療薬や、食器洗浄機なんていうのも扱っている。そして、人々は我々社員をビクトリーラーメンマンと呼ぶのだ。
俺は宇宙中を駆け巡って新たな食材を探すという職務のため数ヶ月の長期出張が多い。出張のきっかけは課長からの指示なのだが、出張から帰ってくるとその課長は異動となっており、新たな課長に出張報告をするということがほとんどである。
そして今回は、この女性コスプレイヤーが新しい課長となっていた。声の感じから言って、歳は俺より、2、3歳上だろうか。出張から帰って数日たつが、いつも兜やマスクを被っているか、露出しているときでも濃いメイクのため、素顔は見たことがなかった。
「甲斐さんに行ってもらいたいところがあるの。実は、辺境のトナティウ星系でコスプレイベントがあるのね。知っていると思うけど、私、ここに来る前は営業担当で自由に休みが取れていたので、2ヶ月くらい休みを取ってこのイベントに参加しようと思っていたのよ。でも、ここの課長になっちゃったんで、そんな長期の休みは取れそうにないの。そこで、代わりに甲斐さんに行ってもらいたいのよ。」
「えっ、俺がコスプレするんですか。」
「いやいや、コスプレはしなくていいから、会場で写真を撮ってきてくれればいいわ。」
「あー、びっくりした。しかし、公私混同になりませんかね。」
「いや、もちろん食材調査がメインの目的よ。辺境の地だから何か珍しいものがあるかもね。」
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