N博士の加速装置

N博士の加速装置
                          -修.

 「N博士、その後、通勤問題は解消されましたか。」
 投資家のエージェントはN博士のラボを再び訪れていた。N博士は重力制御の権威であり、そして千年に一度の天才と言われていた。そして最近、遂に重力制御を完成させ、投資家に大きなリターンを与えることができた。その結果、投資家達は更なるリターンを期待して、新しいラボと潤沢な研究費を与えていた。エージェントは定期的に訪問して、新たな成果がないか確かめていたのだ。

 特に前回訪問した際には、N博士は、自宅とラボのたった20分の通勤時間を0にすべく、瞬間移動装置のプロトタイプを試作していた。しかしプロトタイプはうまくいかず、エージェントも危うく命を落とすところだった。このため、そろそろ完成しているのではないかと期待を寄せていた。

 「うむ、前回のテストがうまくいかなかったのは、亜空間がうまく接続できていなかったことが原因だったようだ。その後も、改良を重ねたのだが、やはり安定させるのが難しい。そこで、頭を切り替えて別の方法を研究してみた。」
 「そうですか。今度はどんな方法なのでしょうか。」
 エージェントは、N博士と同様、重力制御の完成で多額のボーナスをもらっていた。エージェントにとって、N博士が瞬間移動の完成をあきらめたことは残念だが、N博士が上機嫌で研究を続けてもらう方が結果的には大きなリターンを生むと考えていた。

1/3ページ
スキ