N博士のドアツードア
N博士のドアツードア
-修.
「N博士、何か投資家にアピールできるような発明はないですか。」
投資家のエージェントはN博士のラボを再び訪れていた。N博士は重力制御の権威であり、そして千年に一度の天才と言われていた。そして最近、遂に重力制御を完成させ、投資家に大きなリターンを与えることができた。その結果、投資家達は更なるリターンを期待して、新しいラボと潤沢な研究費を与えていた。エージェントは定期的に訪問して、新たな成果がないか確かめていたのだ。
「いや、それがな、新しいラボを与えてもらったのは良かったのだが、自宅から少し遠いのだ。私は生まれて初めて通勤というものを経験することになったのだ。」
「えっ、でも車で片道20分くらいなので近いですよね。」
「君、毎日往復で40分が無意味に費やされているのだよ。もったいないと思わないかね。」
「そうですね・・・」
エージェントは数時間かけてN博士のラボに来ているし、普段の通勤も1時間以上かかっている。N博士は恵まれていると思うが、天才であるN博士にとってはこの時間が耐えられない苦痛なのだろう。
「そこでだ、この40分をなんとか縮められないか、あらゆる文献を当たってみたのだ。その結果、あるロボットが持っている、ピンク色のなんとかドアというのに行き当たったのだ。」
「もしや、青色の丸っこい猫型ロボットですか、耳のない・・・」
「君、知っているのか。案外勉強しているようだな。」
「あ、まあ・・・」
エージェントは「漫画ですよね・・・」という言葉は飲み込んだ。
「しかし、そのなんとかドアには致命的な欠陥が2つあることに気が付いたのだ。」
「考えたこともありませんでした。」
エージェントは「だって、漫画だし・・・」という言葉は再び飲み込んだ。
「1つは、行く先を決めた途端、出口の場所にピンク色のドアが出現することだ。その場にいた人は突然ドアが現れてびっくりするだろう。これは精神衛生上良くないことだ。」
「はぁ・・・」
「そしてもう1つは、入口と出口の気圧差の問題だ。もし入口と出口の気圧差が50ヘクトパスカルあるとドアには1トンくらいの力が掛かることになる。開けた瞬間、勢いよく開いたドアで人が突き飛ばされるだろう。まあ、それは極端だが少しの気圧差があってもドアを開けた瞬間、暴風が噴き出すことになる。これも危険極まりない。下手すると人命にも関わる欠陥だ。」
「確かにそれは危険ですね。」
エージェントは、N博士の自宅とラボが車で20分の距離なのに、そんな気圧差ができるのか疑問だったが、N博士は天才なので細かい点も気になるのだろうと納得することにした。
「そこでだ、わしが研究した結果、風除室の原理を取り入れれば安全であることが分かったのだ。」
「それって、北海道とか、寒い地域の家の玄関に付いているやつですよね。」
「左様。そこでその原理を使った実験装置を作ってみた。」
「え、もう完成しているのですか。」
N博士は気圧差対策の話しかしなかったが、そもそも瞬間移動が実現できているとすればそれは相当レベルの高い発明であり、投資家も食いつくだろうとエージェントは期待した。
「案内しよう。」
-修.
「N博士、何か投資家にアピールできるような発明はないですか。」
投資家のエージェントはN博士のラボを再び訪れていた。N博士は重力制御の権威であり、そして千年に一度の天才と言われていた。そして最近、遂に重力制御を完成させ、投資家に大きなリターンを与えることができた。その結果、投資家達は更なるリターンを期待して、新しいラボと潤沢な研究費を与えていた。エージェントは定期的に訪問して、新たな成果がないか確かめていたのだ。
「いや、それがな、新しいラボを与えてもらったのは良かったのだが、自宅から少し遠いのだ。私は生まれて初めて通勤というものを経験することになったのだ。」
「えっ、でも車で片道20分くらいなので近いですよね。」
「君、毎日往復で40分が無意味に費やされているのだよ。もったいないと思わないかね。」
「そうですね・・・」
エージェントは数時間かけてN博士のラボに来ているし、普段の通勤も1時間以上かかっている。N博士は恵まれていると思うが、天才であるN博士にとってはこの時間が耐えられない苦痛なのだろう。
「そこでだ、この40分をなんとか縮められないか、あらゆる文献を当たってみたのだ。その結果、あるロボットが持っている、ピンク色のなんとかドアというのに行き当たったのだ。」
「もしや、青色の丸っこい猫型ロボットですか、耳のない・・・」
「君、知っているのか。案外勉強しているようだな。」
「あ、まあ・・・」
エージェントは「漫画ですよね・・・」という言葉は飲み込んだ。
「しかし、そのなんとかドアには致命的な欠陥が2つあることに気が付いたのだ。」
「考えたこともありませんでした。」
エージェントは「だって、漫画だし・・・」という言葉は再び飲み込んだ。
「1つは、行く先を決めた途端、出口の場所にピンク色のドアが出現することだ。その場にいた人は突然ドアが現れてびっくりするだろう。これは精神衛生上良くないことだ。」
「はぁ・・・」
「そしてもう1つは、入口と出口の気圧差の問題だ。もし入口と出口の気圧差が50ヘクトパスカルあるとドアには1トンくらいの力が掛かることになる。開けた瞬間、勢いよく開いたドアで人が突き飛ばされるだろう。まあ、それは極端だが少しの気圧差があってもドアを開けた瞬間、暴風が噴き出すことになる。これも危険極まりない。下手すると人命にも関わる欠陥だ。」
「確かにそれは危険ですね。」
エージェントは、N博士の自宅とラボが車で20分の距離なのに、そんな気圧差ができるのか疑問だったが、N博士は天才なので細かい点も気になるのだろうと納得することにした。
「そこでだ、わしが研究した結果、風除室の原理を取り入れれば安全であることが分かったのだ。」
「それって、北海道とか、寒い地域の家の玄関に付いているやつですよね。」
「左様。そこでその原理を使った実験装置を作ってみた。」
「え、もう完成しているのですか。」
N博士は気圧差対策の話しかしなかったが、そもそも瞬間移動が実現できているとすればそれは相当レベルの高い発明であり、投資家も食いつくだろうとエージェントは期待した。
「案内しよう。」
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