クレアボイヤンス

 すごい能力ではあるが、そんなことは関係なく腹は減る。最初はすれ違う若い女性の裸を見て目のやり場に困っていたが、人間、あっという間に慣れてしまうもので、コンビニに着くころにはすっかり普通の風景となっていた。家の中では裸族という女性が居るらしいが、旦那さんはこんな気持ちなのだろうか。

 内臓や骨格が見えるということは、CTやMRIを使わなくても患部が分かるということで、俺はスーパードクターになれるのではないかとも思ったが、あいにく医学の知識は全くなく、そもそも医者になれそうな学力もなく、そんなことは妄想に過ぎなかった。

 透視できる対象は人間だけではなく物にも及んでおり、俺は透視しながら、できるだけ具の多いおにぎりを選んだ。

 そうこうするうちに夕方となった。俺は、近くの駅で芽依ちゃんと待ち合わせをしていた。相変わらず俺には、駅に出入りする老若男女全ての下着や裸や内臓や、自動販売機の中のメカ、行きかう車のエンジンなども同時に見えていたが、人間、莫大な情報量をすべて処理できるわけはなく、俺には通常と変わらない風景のみが入ってきて、その他の情報はなんとなくスルーするようになっていた。
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