ビクトリーラーメンマンシリーズ第1弾 誕生

 と、甲斐が一人で納得している間にボーイは姿を消し、すぐに前菜が載ったワゴンを押して戻ってきた。
 「やけに早いな。この船には何人乗っているのですか?」
 甲斐は、ボーイが予想よりはるかに早く戻ってきたことに驚いて質問した。
 「本船は、私一人だけしか乗っておりません。料理はすべて全自動調理器にやらせております。」

 前菜はとても自動調理器が作ったものとは思えないほど立派なもので、小ぶりだが形の良いエリミナ・ロブスターが誇らしげに果物に囲まれていた。そして味のほうは・・・
 「うまい、何とも言えない味だ。」
 甲斐は思わず声を上げた。ボーイはその様子を満足げに眺めながら、うなずいた。
 「当店の料理は、取り立ての生きのいい材料を吟味し、最高のスパイスと調理法によって料理した、どこに出しても恥ずかしくないものと思っております。」

 甲斐は、言葉もなく料理を堪能した。調査船内で食べる料理とは雲泥の差だ。何か懐かしさを感じるような・・・。おふくろの味とも違うようだが・・?まあ、うまいから何でもよいか。と、甲斐は前菜を食べ終わった。
7/11ページ
スキ