ビクトリーラーメンマンシリーズ第1弾 誕生
甲斐が宇宙船に戻って程無く、上司より通信が入った。
「もしもし、甲斐ですが・・」
画面に映った上司は相変わらずの表情で、何か変ったことはなかったかと質問した。甲斐はほかに報告することもなかったので、移動レストランに入って食事をしたら、料理が缶詰だったので参った、と一部始終上司に話した。甲斐は気のせいか上司が眉を動かしたように見えた。そして、上司の口から洩れた言葉は、甲斐の全く予想していないものだった。
「よろしい。最寄りの星に寄港して、今の船を降りろ。そして高速連絡船ですぐに帰って来い。任務終了だ。」
「はい。」
とっさに甲斐は答えたものの、目が点になっていた。そして甲斐が立ち直るより早く上司が説明を始めた。
「あの移動レストランは前から不審な点があって、各星の出張所が調査していたんだが、決定打がなくてな。そこで君に行ってもらったわけだ。御苦労だった。」
多くを語らない上司であった。甲斐は移動レストランの人の良さそうなボーイと、缶詰とは思えないほどおいしかった料理を思い出して上司に尋ねた。
「警察に訴えるのですか?」
上司はこともなげに答えた。
「いや、当社に引き抜くだけだ。缶詰をあれだけうまくブレンドできる人間はうちにぜひ必要だ。」
「はぁー。」
甲斐はなるほどね、と感心した。さすが会社の考えることは予想がつかない。会社のどこに引きぬくのかわからないが、うちの食品もまた一段とうまくなることだろう。と、素直に感心している甲斐に向かって上司が言葉を続けた。
「あー、言い忘れていたが、以後君には外勤をやってもらうから、そのつもりでな。以上。」
上司はいきなり通信を切った。甲斐は小さく「がん!」と叫んでベッドに倒れ込んだ。要するに、期せずして、連続・超・長期出張の身となってしまったのであった。俗に、いや社内でのみ言われるビクトリー・ラーメンマンとなってしまったのであった。
「もしもし、甲斐ですが・・」
画面に映った上司は相変わらずの表情で、何か変ったことはなかったかと質問した。甲斐はほかに報告することもなかったので、移動レストランに入って食事をしたら、料理が缶詰だったので参った、と一部始終上司に話した。甲斐は気のせいか上司が眉を動かしたように見えた。そして、上司の口から洩れた言葉は、甲斐の全く予想していないものだった。
「よろしい。最寄りの星に寄港して、今の船を降りろ。そして高速連絡船ですぐに帰って来い。任務終了だ。」
「はい。」
とっさに甲斐は答えたものの、目が点になっていた。そして甲斐が立ち直るより早く上司が説明を始めた。
「あの移動レストランは前から不審な点があって、各星の出張所が調査していたんだが、決定打がなくてな。そこで君に行ってもらったわけだ。御苦労だった。」
多くを語らない上司であった。甲斐は移動レストランの人の良さそうなボーイと、缶詰とは思えないほどおいしかった料理を思い出して上司に尋ねた。
「警察に訴えるのですか?」
上司はこともなげに答えた。
「いや、当社に引き抜くだけだ。缶詰をあれだけうまくブレンドできる人間はうちにぜひ必要だ。」
「はぁー。」
甲斐はなるほどね、と感心した。さすが会社の考えることは予想がつかない。会社のどこに引きぬくのかわからないが、うちの食品もまた一段とうまくなることだろう。と、素直に感心している甲斐に向かって上司が言葉を続けた。
「あー、言い忘れていたが、以後君には外勤をやってもらうから、そのつもりでな。以上。」
上司はいきなり通信を切った。甲斐は小さく「がん!」と叫んでベッドに倒れ込んだ。要するに、期せずして、連続・超・長期出張の身となってしまったのであった。俗に、いや社内でのみ言われるビクトリー・ラーメンマンとなってしまったのであった。
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