【異星人外交官】マッサージャー

 部下がそう話した瞬間、異星人の1体が消滅し、平面となった接触面が見えるようになった。そこには、半球状の膨らみが出てきたり消えたりし、また膨らみが左右に動いたりしていた。
 「どうやら、あのでっぱりの出し消えとか、移動が伝達手段のようだな。うーん、どこかでみたような・・・。そうだ、なんだかマッサージ機の揉み玉みたいだ。」
 「なるほど、しかし、これは我々のエージェントロボットでは再現できそうにないですね。」
 異星人の未知のコミュニケーション手段は、あるときは強力なレーザービームであったり、爆音であったり、異常な重力波であったりと、生身の人間が受けると一撃で死に至るものがあった。このため、異星人の出迎えは、人間と同じ姿で、色々な種類のセンサーを持ったエージェントロボットに行わせていた。しかし、さすがにマッサージ機の動作を再現することは難しかった。
 「所長、開発部に新たなコミュニケーション装置を作ってもらいましょうか。」
 「そうだな。そう言えば、リラクゼーションルームにマッサージチェアがあっただろう。あれを利用すれば、開発時間を少し短くできるかもしれないな。」
 「分かりました。至急作ってもらいます。」

 開発部は、マッサージチェアに多量の圧力センサーを取り付け、揉み玉をコンピューター制御で動かせるようにし、異常な速度でコミュニケーション装置に作り替えてくれた。そして、無事、異星人との会話を始めることができた。といっても、相手も、異星人側がリスク回避のために用意したエージェントロボットと推察された。そして数ヶ月後、表敬訪問が終了し、異星人は去っていった。

 異星人との対話を進めるうちに判明したことだが、会話の複雑さは同時に動かす突起の数で変わってくるらしい。そして、外交官が用意した2個の揉み玉は異星人の幼生期のごく初歩的な会話レベルだが、人類の文明レベルには丁度合っていたそうだった。

おしまい
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