【異星人外交官】獣脚類

 そして、異星人との距離が5mほどに近づいたとき、突然異星人が動いた。
 「所長、エージェントロボットが食われました。」
 モニターには、異星人がエージェントロボットを巨大な口で丸呑みにしている姿が映っていた。
 「なんてことだ。いきなり食ってしまうとは・・・。宣戦布告ということか。」
 「いや、所長、地球征服するなら、わざわざ一人を食うことから始めないでしょう。」
 「それもそうだな。少し冷静になろう。エージェントロボットはどんな状況だ?噛み砕かれて機能停止してしまったか?」
 「所長、まだ生きています。機能は維持できていますね。もちろん、視覚も、嗅覚も、聴覚も全部反応がないですけど、噛み砕かれてはいないようです。これは食われたというより、くわえられているというほうが正確かもしれないですよ。」
 「どういうことだ。これが奴らのコミュニケーション手段なのか。」

 「所長、触覚センサーから反応がありました。何かエージェントロボットの体に触れているものがあります。」
 「口の中なら、舌か・・・。」
 「分りませんけど、そんなところですかね。あ、今度はエージェントロボットの表面が微弱な電気信号を受信しました。コンピューター解析を開始します・・・」
 「相手を口にくわえてコミュニケーションするのか・・・」
 「早速、異星人側から自然数のパターンの説明が始まったようです・・・」

 数ヶ月にわたり異星人の言語を解析した結果、今回の異星人は、外交官たちの推測通り、舌先の微弱な電気信号で会話するということが分かった。表敬訪問が完了し、宇宙船が発進するとき、外交官たちは、全長15mの巨大なティラノザウルス同士がディープキスをしながら会話する姿を思い浮かべながら異星人を見送った。

おしまい
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