人生ゲーム

 ほどなく俺はボードゲームの前に戻った。しかし、周りにいたはずの友人は消えていた。俺と同様、止まったマスの世界で次の番を待っているのだろう。これは全員がゴールするまでゲームを止められないようだ・・・。

 「仕方ない。」
 俺は2回目のルーレットを回した。再び、駒は勝手に動き、いくつか先のマスで止まった。その瞬間、今度は天蓋のついたベッドに座った、青い布を頭からすっぽり被った人らしきものが目の前に現れた。これは中東の女性が身に着けるブルカではないだろうか。

 もし女性が出てくるとしたら、人生ゲームなら結婚ということになるだろう。その場合、俺のミッションは何だろう。何をしたら結婚したことになるのか、キスか、それとも、もっと深いスキンシップが必要なのか。いやいやそんなハッピーな展開とは限らない。ドラゴンがでてきたことを考えると、布を外すとメデューサが現れて俺は石にされてしまうかもしれない。その場合、1回休みになるのだろうか。

 「ままよ。」
 考えても仕方ないと思い、俺はブルカをそっと外した。そこには中東特有の彫りの深い美人がほほ笑んでいた。その瞬間、再び金貨が落ちた音がした。どうやら顔を見ることがミッション完了だったようだ。何かそれ以上のことを期待していた自分が恥ずかしくなった。

 その後も、ルーレットを回して、家畜を買ったり、家を買ったり、商売をしたり、盗賊に襲われたり、いろいろなミッションをこなしながらゲームを進めた。そして開始から何時間か経ったころ、全員がゴールし、ボードゲームの前に4人が戻った。そして、獲得した金貨の数とランキングが空間に浮かび、ゲームが終了した。

 俺はボードゲームを通じて現実とは全く違う異世界を体験してきたが、実はそんなことはどうでも良く、中東顔の美女と一緒に苦労しながらミッションをこなしたことが忘れられない思い出となっていた。

おしまい
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