【異星人外交官】ケガキ

 「所長、緊急事態です。新たな異星船を探知しました。今度はもっと大きいです。」
 「なんだって。同時に2隻来訪するということか・・・」
 「そうなりますね。今度の船は大きさが3000m超えています。過去最大級ですね。」
 「発着床には行動不明の異星船が着陸しているからな。どこか宇宙港の外に着陸してくれればいいが・・・」

 二人が話していると、突然、通常電波で交信が入った。
 「皆様、うちのたまが粗相をいたしまして申し訳ありません。」
 二人は顔を見合わせた。
 「これはなんだ。どこからの通信だ。」
 「発信源は上空の異星船です。」
 「なんだと。『たまが粗相』と聞こえたが何のことだ・・・」
 異星船からの通信は続いた。
 「少し目を離したすきに、リードが外れていまして、そちらの宇宙港で爪とぎをしてしまいました。お許しください。あとで修理しますので・・・」

 「ん、『爪とぎ』だって?」
 所長はだんだん会話の意味が呑み込めてきたようだった。
 「もしや『たま』とは猫のことか。」
 「所長、先方の翻訳機が異星人の言葉を、最も近い地球の言葉に置き替えているのではないでしょうか。だとすると、我々の目の前に着陸している異星船が『たま』と呼ばれた異星人のペットで、発着床で『ごろごろ』言いながらご機嫌に爪とぎをしているということですかね。」
 「・・・・・」
 所長は言葉をつなぐことができなった。上空の異星船からの通信は続いた。
 「それでは連れて帰ります。ご迷惑をおかけしました。」
 上空の異星船から発着床の『たま』にビームが伸び、『たま』は上空に引き上げられていった。『たま』と呼ばれた宇宙船は、心なしか発着床を名残惜しそうにしているように見えた。

おしまい
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