エレベーターダンジョン

 何か釈然としない思いを抱きつつも、俺は月末の仕事をこなし、夜遅くに退社することができた。そして、事務所を出て、エレベーターの前で立ち止まった。下りボタンを押してエレベーターに乗るべきか。せっかく現実に戻れたのに、再びエレベーターダンジョンに入り込んでしまうのではないか。いずれエレベーターを利用することにはなるだろうが、今日ではないのではないか。

 俺は重い鉄の防火扉を開け、内階段を使って6階から1階へ降りて行った。エレベーターダンジョン探索のおかげで足腰は随分丈夫になったように感じる。今日は、ダンジョン脱出のお祝いがてら、久しぶりにおいしいものでも食べようと考えながら1階に到着した、俺はおもむろに1階の鉄扉を開けた。しかし扉の先にはエントランスも守衛室もなく、見慣れたエレベーターホールがあるだけだった。

おしまい
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