エレベーターダンジョン

 俺は目の前の光景が理解できないまま、エレベーターの中にたたずんでいた。そして、1分近く経った後に、ようやく我に返って考える余裕が出てきた。
 「ここはどこだ?俺は会社に出勤しようとしてエレベーターに乗った・・・」
 俺は自分に言い聞かせるようにつぶやいた。
 「そして、6階に着いた・・・」
 しかし、目の前には事務所ではなく、砂漠が広がっている。どう見ても雑居ビルのフロアではない。
 「たぶん、まずいことに巻き込まれた、ような・・・」
 6階が砂漠というのはどう考えても異常だ。

 「戻ろう・・・」
 俺はとっさに1階のボタンを押した。振出しに戻るのが先決だ。エレベーターの扉は何もなかったように閉まり、階数表示が1つずつカウントダウンし、間もなく1階に到着した。そして、扉が開くと、俺は再び唖然とすることになった。
 「ここは?」
 扉の先には、ついさっき挨拶をした守衛室はなく、そこは左右に複数のエレベーターの扉が並んだエレベーターホールとなっていた。エレベーターからホールに出て見渡すと、ビルのエントランスもなく、エレベーターの扉のほかには、なぜかトイレがあるだけだった。
 「トイレはある、っと。いやいや、これはどこかの世界に紛れ込んだな・・・」
 俺は、エレベーターに戻り、ダメ元で非常呼び出しボタンを押してみた。しかし、案の定返事はなかった。俺はあきらめて、1階ずつ上がりながら各階に何があるのか確かめることにした。
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