N博士のタイムマシン
「うむ、それを確かめるために、強力な発信機を積み込んだ2号試作機を作成し、再度実験してみた。その結果、1時間プラス約3秒後に信号が宇宙空間から返ってきた。この原因は、1時間の間の地球の公転によって11万km、太陽系の公転によって80万km座標がずれてしまっているためだった。」
「それって、座標がずれて宇宙空間に出たけど、タイムマシンとしては成功したってことですか。」
「うむ、そうだとは思うのだが、2号試作機ははるか彼方にあるので回収しようがないからな。そこで、セットした時間に、スタートした場所に現れるように改造した3号試作機も作って実験してみた。」
「3号機まであったんですね。どうなりました。」
「うむ、ちゃんと1時間後にその場に出てきた。」
「すごいじゃないですか。大成功ですね。」
「まぁ、成功と言えば成功なのだが、1つ気になることがあってな。実はタイムトラベルに掛かる時間、すなわちタイムマシンの中の時間も計測していたんだが、1時間未来に飛ぶためには1時間を要することが分かったんだ。」
「んっ?」
エージェントはN博士の言ったことがにわかに理解できなかった。
「つまり、タイムマシンを使って1時間未来に行くためには、1時間掛かるということだ。」
「んんっ・・・、もしや、あまり意味がないような・・・」
「ご名答。タイムマシンで1時間未来に行くのも、ぼーっとして1時間経つのも同じだということになる。」
エージェントはN博士に悟られないように、そっとため息をついた。
「これでは面白くないので、何か手がないか研究していたのだが、どうもこの1時間を縮める手段がないようでな。だが、逆に1時間を2時間に増やすことはできそうなのだ。」
「ということは、1時間先の未来に行くのに、2時間掛かるということですか。」
「そのとおりだ。しかし、使い道が思いつかなくてな・・・」
エージェントは少し考えこんだのちに言い放った。
「それは全く使い道がないですね。過去に行くか、タイムトラベルに掛かる時間を短縮する研究をされた方が絶対にいいと思いますよ。」
「そうじゃなー」
N博士は、付き合いの長いエージェントの言葉を素直に受け止めたようだった。しかしその時、エージェントは、1時間が2時間分使えるということは、1時間分の給料で2時間分働かせられるとか、締め切りに間に合わせるために作家がタイムマシンに缶詰めにされるとか、こんなタイムマシンが実用化された日にはろくな使い方はされないと考えていた。
おしまい
「それって、座標がずれて宇宙空間に出たけど、タイムマシンとしては成功したってことですか。」
「うむ、そうだとは思うのだが、2号試作機ははるか彼方にあるので回収しようがないからな。そこで、セットした時間に、スタートした場所に現れるように改造した3号試作機も作って実験してみた。」
「3号機まであったんですね。どうなりました。」
「うむ、ちゃんと1時間後にその場に出てきた。」
「すごいじゃないですか。大成功ですね。」
「まぁ、成功と言えば成功なのだが、1つ気になることがあってな。実はタイムトラベルに掛かる時間、すなわちタイムマシンの中の時間も計測していたんだが、1時間未来に飛ぶためには1時間を要することが分かったんだ。」
「んっ?」
エージェントはN博士の言ったことがにわかに理解できなかった。
「つまり、タイムマシンを使って1時間未来に行くためには、1時間掛かるということだ。」
「んんっ・・・、もしや、あまり意味がないような・・・」
「ご名答。タイムマシンで1時間未来に行くのも、ぼーっとして1時間経つのも同じだということになる。」
エージェントはN博士に悟られないように、そっとため息をついた。
「これでは面白くないので、何か手がないか研究していたのだが、どうもこの1時間を縮める手段がないようでな。だが、逆に1時間を2時間に増やすことはできそうなのだ。」
「ということは、1時間先の未来に行くのに、2時間掛かるということですか。」
「そのとおりだ。しかし、使い道が思いつかなくてな・・・」
エージェントは少し考えこんだのちに言い放った。
「それは全く使い道がないですね。過去に行くか、タイムトラベルに掛かる時間を短縮する研究をされた方が絶対にいいと思いますよ。」
「そうじゃなー」
N博士は、付き合いの長いエージェントの言葉を素直に受け止めたようだった。しかしその時、エージェントは、1時間が2時間分使えるということは、1時間分の給料で2時間分働かせられるとか、締め切りに間に合わせるために作家がタイムマシンに缶詰めにされるとか、こんなタイムマシンが実用化された日にはろくな使い方はされないと考えていた。
おしまい
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