ビクトリーラーメンマンシリーズ第7弾 スウィーツな・・・

  ビクトリーラーメンマンシリーズ第7弾 スウィーツな・・・

                           ―修.

 「謎だ・・・」
 俺は事務所の席でパソコンの画面を見るふりをしながら小さくつぶやいた。俺は、人呼んで「ビクトリーラーメンマン」。とは言っても別に格闘家ではない。俺は汎銀河コングロマリット「ビクトリー・ラーメン社」の食材調査担当の単なるサラリーマンだ。ビクトリー・ラーメン社は「食」と名のつくものならなんでも扱っている。食品はもちろん、食虫植物から、船舶用の腐食防止塗料なんていうのも扱っている。そして、人々は我々社員をビクトリーラーメンマンと呼ぶのだ。

 俺は宇宙中を駆け巡って新たな食材を探すという職務のため数ヶ月の長期出張が多い。出張のきっかけは課長からの指示なのだが、出張から帰ってくるとその課長は異動となっており、新たな課長に出張報告をするということがほとんどである。

 そして「謎」なのは今度の課長だ。この課長は、果たして男性なのか、女性なのか・・・。年齢は俺より少し上の30代半ばだろうか、ショートボブに中性的な顔、服装はダボっとしたニットのため胸もあるのかないのかわからない。言葉遣いは女性っぽく、男性とも女性ともつかない。同じ部署の同僚が昇格したらしいが、うちの部署はお互い出張ばかりでメンバー同士はほとんど顔を合わせることがなかった。今まで、AIロボットの課長を始め、色々な課長が上司となったが、男女の区別ははっきりしていた。

 この新任課長に前回の出張帰りの報告をした後から性別が気になり始めて、数少ない人事の知り合いに性別を聞いてみたが、多様性の時代なので性別は教えられないとのことだった。トイレに付いていってみれば分かりそうなものだが、課長がトイレに行くのは見たことがなく、それ以前にトイレ自体がジェンダーフリーになっており、男女共用の一人用の個室がいくつか並んでいるだけとなっている。

 「甲斐くん、ちょっといい。」
 俺は立ち上がって課長の前へ進んだ。
 「なんでしょうか。」
 「実は、私、ここに来る前に新たなスウィーツの調達に取り組んでいて、プレセペ星団のトルテ星のワールドスウィーツグランプリの審査に参加する予定だったのね。でも、今回、課長に昇格しちゃったんで参加できなくなってね。そこで甲斐くんの舌を見込んで、代わりに参加してもらいたいんだけど、いいかな。」
 「もちろんです。乙女心をくすぐるようなスウィーツを見つけてきますよ。」
 俺はいい機会なので少し探りをいれてみることにした。「乙女心」に食いつけば、課長は女性の確率が高くなる。
 「そうね。世の女性がみんな振り向くようなやつを見つけてきてね。」
 俺の意図を見越してか、話をかわされてしまった。
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