歩く異星人
外交官達が頭を抱えて見守っている間に、異星人の歩行は3周目に入っていった。
「所長、異星人は足から粘液か何か出ているんですかね。発着床に足跡が付いてきていますよ。」
「足跡・・・」
発着床には8本足によってできた、4列の足跡がうっすら表れていた。所長は、ふと思い立って部下に告げた。
「念のため、足跡がどうなっているか画像から抽出してくれ。」
「わかりました。ちょっと待ってください。えっーと、出ました。毎回、足は同じ場所を踏んでいますが、1個1個の足跡は向きが微妙に違っていますね。」
「それだ。」
所長は何か閃いたようで、叫んだ。
「彼らの言語は足跡だ。足跡が何かの単語を形成しているのではないだろうか。」
「なるほど、角度の違いが言語のキーになっているということですね。しかし、足跡が言語だったとして、いったい何を意味しているんでしょうか。」
「それはわからないな。まずは、自然数の表現から入っていくのが定石だが・・・」
「こちらのエージェントは2足歩行ですからね。」
「確かに。何か方法は・・・。新たなデジタル共通言語を構築するしかないのか。」
二人は再び頭を抱えた。しかし、異星人が5周目に入るころ、所長が何か思いついたようで口火を切った。
「エージェントロボットを3体増やして、電車ごっこのように並ばせてみよう。そして、同時に歩かせるんだ。そうすれば、足は8本で異星人と同じになるじゃないか。」
部下の外交官は所長の指示通りにエージェントロボット4体を並ばせ、試しに数歩前進させてみた。
異星人はそれを見ていたのか、突然歩行を止めて、正方形の歩行経路を無視して最初の位置に戻った。そして、新たなステップを踏み出した。それは、自然数に対応したステップであることがコンピューターの解析によって判明した。
かくして新たな異星人の言語は解析され、会話が成立した。人々はこの異星人をフットプリンターと呼ぶようになった。
おしまい
「所長、異星人は足から粘液か何か出ているんですかね。発着床に足跡が付いてきていますよ。」
「足跡・・・」
発着床には8本足によってできた、4列の足跡がうっすら表れていた。所長は、ふと思い立って部下に告げた。
「念のため、足跡がどうなっているか画像から抽出してくれ。」
「わかりました。ちょっと待ってください。えっーと、出ました。毎回、足は同じ場所を踏んでいますが、1個1個の足跡は向きが微妙に違っていますね。」
「それだ。」
所長は何か閃いたようで、叫んだ。
「彼らの言語は足跡だ。足跡が何かの単語を形成しているのではないだろうか。」
「なるほど、角度の違いが言語のキーになっているということですね。しかし、足跡が言語だったとして、いったい何を意味しているんでしょうか。」
「それはわからないな。まずは、自然数の表現から入っていくのが定石だが・・・」
「こちらのエージェントは2足歩行ですからね。」
「確かに。何か方法は・・・。新たなデジタル共通言語を構築するしかないのか。」
二人は再び頭を抱えた。しかし、異星人が5周目に入るころ、所長が何か思いついたようで口火を切った。
「エージェントロボットを3体増やして、電車ごっこのように並ばせてみよう。そして、同時に歩かせるんだ。そうすれば、足は8本で異星人と同じになるじゃないか。」
部下の外交官は所長の指示通りにエージェントロボット4体を並ばせ、試しに数歩前進させてみた。
異星人はそれを見ていたのか、突然歩行を止めて、正方形の歩行経路を無視して最初の位置に戻った。そして、新たなステップを踏み出した。それは、自然数に対応したステップであることがコンピューターの解析によって判明した。
かくして新たな異星人の言語は解析され、会話が成立した。人々はこの異星人をフットプリンターと呼ぶようになった。
おしまい
4/4ページ