技術資産互換性保護原則

 これらの原則を上記の二例に当てはめて検証を行う。

 まず電話機の例だが、最初のハンドル式の電話機については、自動交換機が導入されとしても、電話交換手はある程度残し、ハンドルを回した信号を受けた場合、電話交換手が対応するようにしておく必要があった。そうすれば、ハンドル式の電話機も継続して利用することができた。上述の通り、技術進化に伴い、電話交換手をAIに置き換えることできればハンドル式を含めすべての電話機が自動交換できるようになるであろう。

 Windowsの例では、Windows 11はWindows 10が動いていたパソコンでも動くように設計しておけば、古いパソコンも使い続けることができたであろう。どうしても上位互換が保てないのであれば、マイクロソフトに「Windows」の名前を返上してもらい、パブリックドメインにしてしまうということになるが、そのような選択はされないだろう。

 冒頭に言及したロボット三原則は、極めてすぐれた原則であると筆者は考えるが、残念ながら昨今のAI自動兵器には組み込まれていないようである。そもそも兵器は人を殺傷することが目的なので望むべくもなく、残念な限りである。

 筆者が提唱する技術資産互換性保護原則を世の見識ある方々が検討して実現してくれれば、技術製品やソフトウエアの陳腐化と廃棄が減り、環境にもSFにもやさしい時代がやってくるのではないだろうか。

おしまい
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