技術資産互換性保護原則

 ここからSFの話である。SFの世界では(筆者のSFでは、といった方が正確かもしれない)、数世代を掛けて他の惑星へ宙航する植民船が出てくることがある。宙航期間が数百年に及ぶとして、移民船の中で話が閉じているなら、技術が時代遅れになるといった話にはならないが、出発から到着までどこにも寄港しないということは考えにくく、途中の植民済の星で物資の補給を行いたいということは十分に有り得ることではないだろうか。しかしそのとき、途中の植民星の技術レベルが数十年前のままで、移民船の設備が最新の仕様となっていると、その植民性では設備のスペアパーツは全く調達できないことになると予想される。

 これは植民船のケースに限らない。宇宙空間に人類が広く展開したとしても、その人口密度は極めて低くなると予想されるが、もし宙航中に宇宙船が故障して修理部品を調達しようとしても、次々に機械がアップデートされていって部品の互換性が保てていない場合、辺境の地で修理部品が調達できる可能性は絶望的に低くなり、宙航を諦めざるを得ないかもしれない。
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