パンテーラ
5分も歩いただろうか。初めて車に出会った。手を挙げるといともあっさり止まってくれた。ピアッツァである。パワーウインドウからピアッツァには似つかわしくない若い男が顔を出した。二十四~五だろうか。
「どうしたんです。」
「あの、ちょっと事故っちゃいましてね。よければ町まで乗せてもらえませんか。」
「ああ、いいですよ大変でしたね。」
助手席に回りドアを開けたとき、俺はあることに気付いた。音が低い。アイドリング音が低い。こいつ、わりと走りそうだなと思いながら席に座って俺は驚いた。これは本当にピアッツァか?!そこはまるで航空機のコックピットだった。
若いピアッツァのドライバーは驚いている俺を無視して車を出した。
「もうすぐ獲物が来る。ぜひともこれに乗ってもらいたくてね。ちょっと手荒な真似をしたんだが。」
「何だと?!」俺は突然の話の展開に当惑した。
「いったい貴様、何者なんだ。」
男はにやにやしながら答えた。
「いいもんだな。気分はもうハードボイルドだね、こりゃ。俺が誰だかはちょっと言えんがね。目的は同じなんでね。あんたは人さえ捕まえりゃいいんだろ。俺は車が手に入りゃいいんでね。」
「貴様、族か?」俺は半ば違うことを確信しながら尋ねた。メーター類を見れば、これがプライベートの手でないことは一目瞭然である。
「ふふふ、察しが悪いな。ポリの犬さんよ。」
俺は一瞬胸の銃に手をやった。
「おっと待った。わかったよ。俺はある企業のエージェントだよ。これ位でかんべんしてくれよ。」
「なぜ俺のことを知っている。」
「蛇の道はヘビさ。」
そう。俺は雇われの身。探偵のような、スパイのような、単なる市民のような・・・。ま、やくざな稼業だ。今回の仕事は黒のパンテーラを捕え、引いていくことだった。
「どうしたんです。」
「あの、ちょっと事故っちゃいましてね。よければ町まで乗せてもらえませんか。」
「ああ、いいですよ大変でしたね。」
助手席に回りドアを開けたとき、俺はあることに気付いた。音が低い。アイドリング音が低い。こいつ、わりと走りそうだなと思いながら席に座って俺は驚いた。これは本当にピアッツァか?!そこはまるで航空機のコックピットだった。
若いピアッツァのドライバーは驚いている俺を無視して車を出した。
「もうすぐ獲物が来る。ぜひともこれに乗ってもらいたくてね。ちょっと手荒な真似をしたんだが。」
「何だと?!」俺は突然の話の展開に当惑した。
「いったい貴様、何者なんだ。」
男はにやにやしながら答えた。
「いいもんだな。気分はもうハードボイルドだね、こりゃ。俺が誰だかはちょっと言えんがね。目的は同じなんでね。あんたは人さえ捕まえりゃいいんだろ。俺は車が手に入りゃいいんでね。」
「貴様、族か?」俺は半ば違うことを確信しながら尋ねた。メーター類を見れば、これがプライベートの手でないことは一目瞭然である。
「ふふふ、察しが悪いな。ポリの犬さんよ。」
俺は一瞬胸の銃に手をやった。
「おっと待った。わかったよ。俺はある企業のエージェントだよ。これ位でかんべんしてくれよ。」
「なぜ俺のことを知っている。」
「蛇の道はヘビさ。」
そう。俺は雇われの身。探偵のような、スパイのような、単なる市民のような・・・。ま、やくざな稼業だ。今回の仕事は黒のパンテーラを捕え、引いていくことだった。