三丁目のドラゴン
三丁目のドラゴン
-修.
赤信号で立ち止まり、ふと顔を上げると三丁目の交差点の真ん中にドラゴンが浮かんでいた。
VRグラスのまま家を出たか?それとも、夜にネトゲをやり過ぎて幻を見ているのか?しかし、眼鏡は普通で、どう見てもはっきりドラゴンが浮かんでいるように見える。俺にしか見えないのだろうか?今日は2講目からの講義で中途半端な時間だし、そもそも大学は郊外にあるため人通りも少なく確かめようがない。
ドラゴンは、10mはあろうかという胴体がとぐろを巻いて、地上1m程に浮かんでいる。牙の並んだ口からは時折小さな炎を出している。
もしかして、あのドラゴンは巨大なスクリーンに写された映像で、俺に大掛かりなドッキリを仕掛けられているとか・・・。しかし、そんなことをして何か面白いだろうか・・・。いや、もしくはロボットではないのか。ロボットならリアルに作ることも簡単だろう。だとしても、なぜ三丁目の交差点に居るのか。
幻とみなしてこのまま大学へ向かうか?回り道をすると2講目には間に合わない。しかし、もし本物だったら俺は食われてしまうのだろうか。まさか草食のドラゴンなんてことはなかろうし。
何らかの理由で本物のドラゴンが現れたのだとして、こっちには無敵の剣とか、現れないのだろうか。少し不公平にも思える。
まもなく信号が青に変わろうとしていたが、俺は進むべきか、迂回すべきか悩んでいた。そのとき、赤信号を無視して、ダンプカーが俺の横をすごい勢いで通り過ぎ、ドラゴンに向かって行った。フラフラしているところをみると酔っ払い運転らしい。そして交差点のドラゴンは迫り来るダンプカーに気づいたようで口から壮大な炎を吐いた。ダンプカーの運転手も炎に驚いたようでダンプカーは右手に逸れて行った。しかしドラゴンも右手に避けようとしたらしく、次の瞬間ダンプカーはドラゴンに衝突し、ダンプカーは交差点の右の電柱にぶつかって止まった。
俺は小走りで三丁目に向かった。てっきりドラゴンは死んだら消えてなくなるものと思っていたが、ドラゴンはダンプカーと電柱に挟まれて息絶えていた。
ドラゴンがどんな世界から来たのか分からないが、炎をものともせず突っ込んでくる敵はドラゴンにとって初めてだったのだろう。俺は到底信じられない光景に遭遇したが、説明が面倒くさそうなので、見なかったことにしておこうと思いながら大学への道を急いだ。
おしまい
-修.
赤信号で立ち止まり、ふと顔を上げると三丁目の交差点の真ん中にドラゴンが浮かんでいた。
VRグラスのまま家を出たか?それとも、夜にネトゲをやり過ぎて幻を見ているのか?しかし、眼鏡は普通で、どう見てもはっきりドラゴンが浮かんでいるように見える。俺にしか見えないのだろうか?今日は2講目からの講義で中途半端な時間だし、そもそも大学は郊外にあるため人通りも少なく確かめようがない。
ドラゴンは、10mはあろうかという胴体がとぐろを巻いて、地上1m程に浮かんでいる。牙の並んだ口からは時折小さな炎を出している。
もしかして、あのドラゴンは巨大なスクリーンに写された映像で、俺に大掛かりなドッキリを仕掛けられているとか・・・。しかし、そんなことをして何か面白いだろうか・・・。いや、もしくはロボットではないのか。ロボットならリアルに作ることも簡単だろう。だとしても、なぜ三丁目の交差点に居るのか。
幻とみなしてこのまま大学へ向かうか?回り道をすると2講目には間に合わない。しかし、もし本物だったら俺は食われてしまうのだろうか。まさか草食のドラゴンなんてことはなかろうし。
何らかの理由で本物のドラゴンが現れたのだとして、こっちには無敵の剣とか、現れないのだろうか。少し不公平にも思える。
まもなく信号が青に変わろうとしていたが、俺は進むべきか、迂回すべきか悩んでいた。そのとき、赤信号を無視して、ダンプカーが俺の横をすごい勢いで通り過ぎ、ドラゴンに向かって行った。フラフラしているところをみると酔っ払い運転らしい。そして交差点のドラゴンは迫り来るダンプカーに気づいたようで口から壮大な炎を吐いた。ダンプカーの運転手も炎に驚いたようでダンプカーは右手に逸れて行った。しかしドラゴンも右手に避けようとしたらしく、次の瞬間ダンプカーはドラゴンに衝突し、ダンプカーは交差点の右の電柱にぶつかって止まった。
俺は小走りで三丁目に向かった。てっきりドラゴンは死んだら消えてなくなるものと思っていたが、ドラゴンはダンプカーと電柱に挟まれて息絶えていた。
ドラゴンがどんな世界から来たのか分からないが、炎をものともせず突っ込んでくる敵はドラゴンにとって初めてだったのだろう。俺は到底信じられない光景に遭遇したが、説明が面倒くさそうなので、見なかったことにしておこうと思いながら大学への道を急いだ。
おしまい
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