第1章 美少女着ぐるみ
留美は何か嫌な違和感を感じながら、タイツに挑んでいた。タイツは肌色でやや厚手のジャージのような素材だ。部屋にはエアコンが入っていて快適ではあるが、このタイツを着て、ドレスを重ね着するとさすがに暑そうだ。
「あ、先に頭にこれ被って。」
川島は、背中のチャックを上げながら、肌色の頭巾のようなものを手渡してきた。
「これ、面下って言うのよ。髪の毛見えたら幻滅だし、チャックで髪挟むと面倒だから・・」
留美が面下を被ると顔だけが露出したもじもじ君のようになった。当たり前だが、体の線がもろに出る。
「木隅さん、体引き締まってていいわねー。あー、そういえば空手やってるって、異動願いに書いてたわね。こんなになるんだ。うらやましいな。年取ると脂肪が回るのよね。毎日、お酒もおいしいし・・。あー、それと呼び名はルミちゃんでいいかな。キスミさんって言いにくいしね。あ、続けて読んだら、キスミールミ!か。なんか、楽しいわね。」
川島は、半笑いで、肌色のもじもじ君になった留美を、上から下になめ回すように眺めていた。
「えー、空手じゃなくて、空手エクササイズなんで、戦ったりはしないんですけどね。」
留美は、週末に1、2日運動不足解消、いや、ストレス発散のために空手エクササイズに通っていたのだ。戦ってはいないと言ったものの、サンドバック相手に正拳付きや蹴りを入れると、日常のぬるま湯事務所のもやもやが払拭されるのだった。しかし、本社に来た以上、もう空手エクササイズに通う必要はなくなるのかもしれない。なんといってもあこがれのプランニングなのだ。留美は、若干の違和感を払拭するためにも自分に言い聞かせた。
川島はピンクのドレスを取って、留美に着せてくれた。思った通りやや暑い。そして、真っ赤なエナメルのヒール、最後にマスクだ。留美はマスクをしげしげと眺めた。正面から見ると、アニメに出てきそうな美少女なのだが、裏側をのぞくとスポンジだの、ストラップだの、補強のためか何か網のようなものを張り付けた後などがあり、いかにも張りぼてといった感じだ。
「ちゃんと手入れして、消臭剤かけてるから大丈夫よ。それ被ったら、ストラップ付けてあげるから、ちょっとあご上げてね・・」
消臭剤って・・・、なにか臭いのか。留美はにおいを嗅いでみたが確かに消臭剤の効果は出ているようだった。留美はマスクに一体化している髪の毛を避けながら、慎重にマスクを被った。そして、マスクを被り終わって、目の位置を合わせようとした、まさにその時、それはやってきた。
「あ、先に頭にこれ被って。」
川島は、背中のチャックを上げながら、肌色の頭巾のようなものを手渡してきた。
「これ、面下って言うのよ。髪の毛見えたら幻滅だし、チャックで髪挟むと面倒だから・・」
留美が面下を被ると顔だけが露出したもじもじ君のようになった。当たり前だが、体の線がもろに出る。
「木隅さん、体引き締まってていいわねー。あー、そういえば空手やってるって、異動願いに書いてたわね。こんなになるんだ。うらやましいな。年取ると脂肪が回るのよね。毎日、お酒もおいしいし・・。あー、それと呼び名はルミちゃんでいいかな。キスミさんって言いにくいしね。あ、続けて読んだら、キスミールミ!か。なんか、楽しいわね。」
川島は、半笑いで、肌色のもじもじ君になった留美を、上から下になめ回すように眺めていた。
「えー、空手じゃなくて、空手エクササイズなんで、戦ったりはしないんですけどね。」
留美は、週末に1、2日運動不足解消、いや、ストレス発散のために空手エクササイズに通っていたのだ。戦ってはいないと言ったものの、サンドバック相手に正拳付きや蹴りを入れると、日常のぬるま湯事務所のもやもやが払拭されるのだった。しかし、本社に来た以上、もう空手エクササイズに通う必要はなくなるのかもしれない。なんといってもあこがれのプランニングなのだ。留美は、若干の違和感を払拭するためにも自分に言い聞かせた。
川島はピンクのドレスを取って、留美に着せてくれた。思った通りやや暑い。そして、真っ赤なエナメルのヒール、最後にマスクだ。留美はマスクをしげしげと眺めた。正面から見ると、アニメに出てきそうな美少女なのだが、裏側をのぞくとスポンジだの、ストラップだの、補強のためか何か網のようなものを張り付けた後などがあり、いかにも張りぼてといった感じだ。
「ちゃんと手入れして、消臭剤かけてるから大丈夫よ。それ被ったら、ストラップ付けてあげるから、ちょっとあご上げてね・・」
消臭剤って・・・、なにか臭いのか。留美はにおいを嗅いでみたが確かに消臭剤の効果は出ているようだった。留美はマスクに一体化している髪の毛を避けながら、慎重にマスクを被った。そして、マスクを被り終わって、目の位置を合わせようとした、まさにその時、それはやってきた。