第5章 黒岩
留美は、黒岩が現在フリーで、自分にも少しチャンスがあるのではないかと思い始めていた。ただ、付き合っている人がいるかストレートに聞くのははばかられたので、別の話題を振ってみた。
「そういえば、黒岩さん、家を買われたって、社長さんが言われていましたね。」
「あー、深井社長でしょ。この業界は狭いですからねー、すぐに噂がひろまっちゃいますね。いやいや、親戚が引っ越さなければならなくなったんで安く譲ってもらったんですよ。戸建てですけど、全然豪邸とかじゃないですからね・・・。今まで長くスーツアクトレスやってましたから、全く貯金もないし・・・。小さい家ですよ。」
「そうなんですね。でも黒岩さんの若さで持ち家ってすごいですよね。戸建てだったら特撮関係の資料とかコレクションをお持ちなんじゃないですか。気になります。」
留美は、戦隊モノや特撮のスーツアクトレスの仕事が多くなっているため、少し興味も出てきていた。話しているうちに黒岩に彼女が居るかどうかも分るかもしれない。
「あー、結構ありますね。台本とか、スチール写真とか、テスト映像とか、着ぐるみも結構ありますよ。クランクアップで廃棄行きのブツなんかですね。戦隊ヒーローショーも最新でなくなると廃棄行きが結構出ますから、著作権の関係で捨てないといけないんですけど、もったいないんで個人的にもらっています。巨大ヒーローとかマスコットのふかもこ着ぐるみとかもありますよ。」
黒岩は少し饒舌なっているようだと留美は感じていた。我ながらいい振りだった。しかし、静かになっていたかおりが突然言葉に反応して会話に割り込んできた。
「私が着られそうなものあります?今日は全部無理って言われて・・・」
「かおりさん背が高いですからね。男性用の巨大ヒーローとか、怪獣ならありますよ。着てみます?」
「是非お願いします。」
「じゃー、今度、家で着ぐるみパーティーをやるときに参加しますか。次は来月だったかな。映画とか特撮好きが集まって、着ぐるみ着て撮影会したり、映画見ながら食事したりするんです。他にも自分の友達や、友達の知り合いとか、知らない人もきますけど・・・。留美さんも一緒に来ませんか。かわいいマスコットの着ぐるみとかもありますよ。ちょっと古いですけど・・。」
「留美と一緒に行きます。うれしいー。」
かおりは本当にうれしそうだった。留美の了解も得ることなく、一緒に黒岩の家を訪れることを決めてしまった。かおりの猪突猛進のアタックが功を奏したということだろう。留美を誘ってくれたところを見ると、黒岩も多少は留美を気に掛けてくれているようだ。単なる社交辞令というわけではなかろう。彼女がいるかもという心配は無用のようだ。他の女性もいるようだが、黒岩とゆっくり話す時間がもあるだろうと留美は期待した。
三人は映画や撮影の話をしながら食事をした後、喫茶店で散会した。
かおりは来月の着ぐるみパーティーで舞い上がっていたが、留美も黒岩から誘われたことで同じように舞い上がっていた。かおりの特撮好きが功奏していい流れになってきたようだ。
「そういえば、黒岩さん、家を買われたって、社長さんが言われていましたね。」
「あー、深井社長でしょ。この業界は狭いですからねー、すぐに噂がひろまっちゃいますね。いやいや、親戚が引っ越さなければならなくなったんで安く譲ってもらったんですよ。戸建てですけど、全然豪邸とかじゃないですからね・・・。今まで長くスーツアクトレスやってましたから、全く貯金もないし・・・。小さい家ですよ。」
「そうなんですね。でも黒岩さんの若さで持ち家ってすごいですよね。戸建てだったら特撮関係の資料とかコレクションをお持ちなんじゃないですか。気になります。」
留美は、戦隊モノや特撮のスーツアクトレスの仕事が多くなっているため、少し興味も出てきていた。話しているうちに黒岩に彼女が居るかどうかも分るかもしれない。
「あー、結構ありますね。台本とか、スチール写真とか、テスト映像とか、着ぐるみも結構ありますよ。クランクアップで廃棄行きのブツなんかですね。戦隊ヒーローショーも最新でなくなると廃棄行きが結構出ますから、著作権の関係で捨てないといけないんですけど、もったいないんで個人的にもらっています。巨大ヒーローとかマスコットのふかもこ着ぐるみとかもありますよ。」
黒岩は少し饒舌なっているようだと留美は感じていた。我ながらいい振りだった。しかし、静かになっていたかおりが突然言葉に反応して会話に割り込んできた。
「私が着られそうなものあります?今日は全部無理って言われて・・・」
「かおりさん背が高いですからね。男性用の巨大ヒーローとか、怪獣ならありますよ。着てみます?」
「是非お願いします。」
「じゃー、今度、家で着ぐるみパーティーをやるときに参加しますか。次は来月だったかな。映画とか特撮好きが集まって、着ぐるみ着て撮影会したり、映画見ながら食事したりするんです。他にも自分の友達や、友達の知り合いとか、知らない人もきますけど・・・。留美さんも一緒に来ませんか。かわいいマスコットの着ぐるみとかもありますよ。ちょっと古いですけど・・。」
「留美と一緒に行きます。うれしいー。」
かおりは本当にうれしそうだった。留美の了解も得ることなく、一緒に黒岩の家を訪れることを決めてしまった。かおりの猪突猛進のアタックが功を奏したということだろう。留美を誘ってくれたところを見ると、黒岩も多少は留美を気に掛けてくれているようだ。単なる社交辞令というわけではなかろう。彼女がいるかもという心配は無用のようだ。他の女性もいるようだが、黒岩とゆっくり話す時間がもあるだろうと留美は期待した。
三人は映画や撮影の話をしながら食事をした後、喫茶店で散会した。
かおりは来月の着ぐるみパーティーで舞い上がっていたが、留美も黒岩から誘われたことで同じように舞い上がっていた。かおりの特撮好きが功奏していい流れになってきたようだ。