第1章 美少女着ぐるみ
留美の入社面接の申し込み先は従業員10万人を超す規模のグループ企業だった。留美は、出身大学、他の会社からもらった多数の合格通知から、当然、本社に入れると思い込んでいた。そのおごりからか、外国語科を卒業したくせに英語が苦手だった留美は、苦し紛れにアジアでのビジネスに興味があると言ってしまった。この一言が運悪く尊重されてしまい、本社ではなく、アジアからいろいろな部品や商品を仕入れる小さな子会社に入ることになってしまったのだった。
予想通りアジアの取引先は、日本語と少し英語が話せれば商談はできた。日本にものを売ろうとする海外会社の営業はかたことの日本語はしゃべれるので、英語、ましてや現地語を話す必要はない。
しかし、英語がいらないとは言え、なによりアジア特有の、責任感のない、いいかげんな約束をする取引先にも、また、この会社の社員のレベルの低さにも、留美はうんざりしていた。グループ企業としてはなかなかの規模だし、面接会場や、面接官もきちんとしたものだった。
しかし、子会社に配属された途端、その雰囲気は全く異なっていた。そのあたりの個人企業と変わらないのではないかと思えてしまう。上から下までみんなどこかいい加減。口調はなれなれしいし、体に触ったりこそないもののセクハラ発言は普通だし、全体にゆるーい空気が流れている、ぬるま湯のような事務所だった。
本来なら、グループ企業の本社の摩天楼の、天井から床までガラス張りの会議室で、かっちりしたスーツに身を包み、自分で世界中から情報を集めて市場調査を行い、緻密に企画したプロジェクトの資料を、100インチのディスプレイに表示して、一流大学を卒業した全員やり手の社員に向かって説明し、プレゼンを展開する、これが自分のあるべき姿だといつも夢見ていたのだった。
予想通りアジアの取引先は、日本語と少し英語が話せれば商談はできた。日本にものを売ろうとする海外会社の営業はかたことの日本語はしゃべれるので、英語、ましてや現地語を話す必要はない。
しかし、英語がいらないとは言え、なによりアジア特有の、責任感のない、いいかげんな約束をする取引先にも、また、この会社の社員のレベルの低さにも、留美はうんざりしていた。グループ企業としてはなかなかの規模だし、面接会場や、面接官もきちんとしたものだった。
しかし、子会社に配属された途端、その雰囲気は全く異なっていた。そのあたりの個人企業と変わらないのではないかと思えてしまう。上から下までみんなどこかいい加減。口調はなれなれしいし、体に触ったりこそないもののセクハラ発言は普通だし、全体にゆるーい空気が流れている、ぬるま湯のような事務所だった。
本来なら、グループ企業の本社の摩天楼の、天井から床までガラス張りの会議室で、かっちりしたスーツに身を包み、自分で世界中から情報を集めて市場調査を行い、緻密に企画したプロジェクトの資料を、100インチのディスプレイに表示して、一流大学を卒業した全員やり手の社員に向かって説明し、プレゼンを展開する、これが自分のあるべき姿だといつも夢見ていたのだった。